ゼリーは季節を問わずうれしいデザートですね。
市販のゼラチンや寒天で簡単にデザートが作れます。
どちらも液体を固めるものですが、どう違うのでしょうか。
ゼラチンと寒天の使い分けでは、衛生面やアレルギーに考慮して選んでいただきたいと思います。
目次
ゼラチンと寒天の特性
ゼラチンと寒天・・・今では両方とも粉で手軽に使える状態のものが市販されています。
1回分ずつが分包になっていて、水の量を計って入れればほぼ失敗無く作れます。
ですが、ゼラチンと寒天では原料がまったく異なります。
どちらも温めると溶けて、冷えると流動性がなくなって固まる点は同じですが、溶かすときの温度が異なりますので注意が必要です。
ゼラチン
動物の皮、腱(けん)、軟骨などを作っているコラーゲンを加熱したときに溶け出してくるたんぱく質です。
水やジュースなどと合わせて加熱すると溶けます。溶けたところで冷やすとゲル化して固まります。
融点が低い
主にゼリーなどのデザート作りに使います。ゼラチンは溶ける温度(融解温度)が低いので室温に置くと溶けてしまいます。
口溶けがよい
寒天にはないフルフルとした弾力や口溶けの良さがあります。
パイナップルやキウイは加熱してから使う
たんぱく質でできているのでたんぱく質分解酵素があるパイナップルやキウイと一緒にすると固まらなくなります。その場合はパイナップルやキウイを加熱して酵素が働かない状態にすれば大丈夫です。
糖が入るとしっかり固まる
ゼラチンは糖が入るとゼリー強度が増します。
寒天
寒天の原料は海藻です。テングサ、ヒラクサなどが使われます。
寒天の主成分は非でんぷん性の多糖類です。消化できない「水溶性の食物繊維」と呼ばれるものです。
たんぱく質でできているゼラチンと大きな違いですね。
融点が高い
寒天はしっかり煮溶かさないと固まりません。吹きこぼれに注意して、1~2分は沸騰を続ます。混ぜている木べらを引き上げて見たときに細かい粒がなくなるまで煮溶かします。
ゲルの強度が強い
寒天はしっかり固まり、ゼラチンのようにフルフルしません。ゼリー強度はゼラチンの約10倍あるといわれます。
酸と一緒に加熱しない
酸味のあるジュースなどと一緒に加熱するとゼリー強度が低下してしまいます。
先に寒天と水、砂糖などを十分煮溶かし、温めておいたジュースと合わせます。
冷たいままのジュースですと、入れたところからすぐに寒天液が固まってしまい、きれいに仕上がりません。
糖が入るとしっかり固まる

ゼラチン同様、糖が入るとゼリー強度が増します。
寒天ゼリーは何も入らないときは白濁(はくだく)していますが糖度が強くなると透明度が増してきます。金玉寒(きんぎょくかん)などがきれいな透明なのはこのためです。
ゼラチンは沸騰させない

板ゼラチン
ゼラチンはたんぱく質でできていますので、沸騰させると構造が変り、ゲル化できなくなってしまいます。そのため、80℃位までで仕上げることになります。
しっかり加熱したい大量調理の場、特に学校給食などでは不向きとなってしまいます。
以前(学校給食で腸管出血O-157の食中毒事故があったとき)は手作りゼリーを作る際には寒天とゼラチンの両方を使って、口溶けがよく、室温でも溶けないものを作っていたのですが、以来、ゼラチンの使用を控えて寒天のみで作るようになりました。
ゼラチンはアレルギー表示のある食品

消費者庁はアレルギー表示の対象になっている食品を使っている場合には表示するよう定めています。
表示の義務がある7品目の他に、表示が推奨されている20品目についても定めています。
その中にゼラチンが含まれています。それだけゼラチンのアレルギーを持っている方が多くなっているということですね。
よそのお子さんにデザートを提供するときにはアレルギーについても注意することが大切です。
表示の義務があるもの(7品目)
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生
表示が推奨されているもの(20品目)
あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
寒天は沸騰させて煮溶かす

棒寒天
ゼラチンと異なり、寒天は融点が高いので沸騰させて煮溶かす必要があります。
吹きこぼれに注意して少し火を弱めて1~2分は沸騰を続けます。
今は粉寒天を使うことが多いと思いますが、昔は写真のような棒寒天を水に浸してふやかし、押し絞ったのち、鍋にちぎり入れて溶かしました。
その場合は、念のため、ざるでこしましたが、粉寒天はざるでこす必要はありません。
【まとめ】ゼラチンはたんぱく質、寒天は海藻から作る
ゼラチンと寒天の特徴と選ぶ際の注意点をみてきました。
ゼラチンは沸騰させないで固めるので、学校給食などの大量調理施設では使いにくい食品であること。
ゼラチンはアレルギー表示が推奨される加工食品であることを踏まえて選びましょう。
寒天を使う際にはしっかり沸騰させて煮溶かします。強火のままですと吹きこぼれますので、沸騰が続く程度に火を弱めます。
ゼリーが冷蔵庫に入っているとうれしいですね。
家で作るゼリーは甘みも大きさも自由です。大人仕様のコーヒーゼリーでも作ってみましょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
〈参考〉
小学館:食材図典Ⅱ
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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