わけぎは春先に旬を迎える葉ネギの一種です。
ねぎよりも辛みも香りもマイルドで立派な副菜になります。
ねぎ類特有の数々の健康効果があり、季節になったら取り入れたい食材です。
わけぎの栄養

栄養素は葉ネギとほぼ同じ緑黄色野菜に分類されます。
【わけぎと葉ネギ、根深ねぎ(長ねぎ)の栄養価比較表】
食品100g中の栄養価 | わけぎ | 葉ネギ | 根深ねぎ |
エネルギー kcl | 30 | 30 | 34 |
水分(g) | 90.3 | 90.5 | 89.6 |
たんぱく質(g) | 1.6 | 1.9 | 1.4 |
脂質(g) | 0 | 0.3 | 0.1 |
水溶性食物繊維(g) | 0.3 | 0.3 | 0.3 |
不溶性食物繊維(g) | 2.5 | 2.9 | 2.2 |
カリウム(mg) | 230 | 260 | 200 |
カルシウム(mg) | 59 | 80 | 36 |
鉄(mg) | 0.4 | 1.0 | 0.3 |
β-カロテン(μg) | 2700 | 1500 | 82 |
ビタミンK(μg) | 170 | 110 | 8 |
ビタミンC(mg) | 37 | 32 | 14 |
わけぎと葉ネギは栄養価も似ていますね。
白いところを食べる根深ねぎはβ-カロテンが少ないことがわかります。
わけぎの健康効果
硫化アリルがビタミンB1の吸収を助ける
ねぎ類と同様、硫化アリルを含むことから、ビタミンB1の吸収を助け、血行を促進してくれます。
血栓を予防・・・脳卒中、心筋梗塞(しんきんこうそく)を防ぎます。
また、ビタミンB1は糖質をエネルギーに分解するときに必要なビタミンです。
そこから、硫化アリルは間接的に疲労回復、スタミナ増進、食欲増進、殺菌などの効果が期待できます。
硫化アリルは根元の白い部分に多く含まれます。
わけぎの他にもたまねぎ、長ねぎ、葉ネギ、ニラ、にんにくに含まれています。
β-カロテンを多く含む
特徴はβ-カロテンを多く含むこと。β-カロテンは必要に応じてビタミンAに変換されます。
注・・・ビタミンAに変換された分はβ-カロテンとしての働きはしません
β-カロテンは体内で以下のように働きます
- 病気や老化の原因になる活性酸素の発生を抑える作用
- 免疫を活性化させ細菌やウイルスから身体を守る
- 免疫が活性化することによってがんを抑制する
- 皮膚や粘膜、目の網膜を保護して健康に保つ
ビタミンKがある
ビタミンKはわけぎの青い部分に多く含まれます。
ビタミンKは骨にカルシウムを定着させる作用があります。
ビタミンCが豊富
ビタミンCは以下のように働きます
- コラーゲンの生成をうながして皮膚や粘膜を健康に保つ効果
- 体の免疫力を高め風邪などの感染症を予防るす効果
- メラニンの生成を抑えて、シミの予防
食物繊維
食物繊維は整腸作用があり排便の調子を整えます
わけぎには水溶性の食物繊維も不溶性の食物繊維も含まれます
新しいわけぎは内側にヌルヌルしたゼリー状のものが含まれます。ヌルヌルは水溶性食物繊維です。胃腸の粘膜を保護し、たんぱく質の消化を助けます。
カリウム
カリウムはナトリウムとバランスを取り合う関係にあり、ナトリウムが過剰になると、これを排泄する作用があるところから
- 細胞内の水分量を調節
- 筋肉の働きをコントロール
- 血圧を安定させる
などに働きます
鉄を含み貧血の予防になります
わけぎは・・・
わけぎはユリ科の多年草で葉ネギの一種です。葉ネギと異なるのは肉質が厚くて独特の香りと甘みもあります。
1500年ほど前に中国から渡来したそう。
冬の間に新しい葉が伸びて株が増えるところから「分葱(わけぎ)」と呼ばれるようになりました。
江戸時代には別名を「冬葱(ふゆぎ)」といい、冬野菜として食べられていました。
広島県が全国シェアの約65%で、広島の特産品となっています。
明治の初め頃から広島市の近郊で栽培され、大正の頃から尾道、三原などの瀬戸内沿岸で栽培されています
旬は3月から5月頃です。

わけぎとねぎを比べると
わげぎはねぎとたまねぎの雑種です。
ねぎよりも根元が白くふくらんでいるのが特徴です。
味は辛みが少なく甘みがあり、香りもマイルドです。
他の細ねぎ同様、色がきれいで薬味としても重宝されています。長ねぎほど香りが強くないので炒め物やサラダにも向いています。
わけぎの選びかた
- 青々としてビンとしているものがよい
- 内側のヌルヌルが多いものが新鮮
- 葉先の緑が鮮やか
- 根元の白い部分が多く、太すぎない
さけたいものは
- 葉先がしおれている
- 葉に斑点がある
- 根の部分がつぶれている
わけぎはイカと組み合わせて効果アップ

わけぎは免疫力を高め、疲労回復を助けてくれます。イカも同じく疲労回復に作用するタウリンが豊富です。
わけぎは“ぬた”がいいですね。ぬたとは酢みそ和えのこと。“わけぎのぬた“といえば、サッと熱湯をくぐらせた白いイカとすごく合います。少し練り辛子を加えると味が引きしまります。
昔の人は経験から、わけぎの季節になるとイカと合わせて辛子酢みそ和え=“ぬた“を作ってきました。きっと、これを食べると体にいいと体感していたのだと思います。
しかも、辛子は味がしまるだけでなく、多少ですが殺菌作用もあります。
タウリンは中性脂肪やコレステロール値を下げる作用もあります。
【まとめ】わけぎは春先がおいしい

たくさん食べるものではないけれど、緑黄色野菜としてのパワーを持っている”わけぎ”
健康効果を持つ 硫化アリルがあります。
辛みも独特の臭いもマイルドです。
春先の身体にわけぎはいかがですか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
〈参考〉
- 家の光協会:和の薬膳食材手帳
- 高橋書店:あたらしい栄養学
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
関東では葉ねぎのことを「わけぎ」と呼ぶので注意してくださいね