重陽の節句と菊花の話

菊の花

 

9月9日は五節句の最後、重陽(ちょうよう)の節句です。別名「菊の節句」で親しまれています。

この重陽の節句は今ではほとんど忘れられていますが、学校給食の献立では9月の行事食として健在です。

重陽の節句と菊花についてみていきましょう。

重陽の節句には菊のりを使おう

菊海苔食用菊が出回るのは晩秋の頃。まだ残暑が厳しいこの頃には手に入りません。

そこで菊のりを使うことをおすすめします。

 

菊のりは食用菊の花弁を蒸して板状にまとめ、乾燥させたもので干し菊ともいいます。

結構お値段が張りますので数㌘で良いと思います。私は中学校の給食献立で0.5㌘の菊のりを用い「青菜の菊びたし」を作ったことがありました。

でも、さすがに0.5㌘では寂しいので1㌘あってもいいかな。予算次第ですね。この時期の青菜も高いので千切りにした大根を入れたり、もやしを入れてかさ増しです。

菊のりは水で戻してほぐしておき、野菜をゆであげる間際に入れて混ぜておきます。菊だけだとかたまりになってしまい、ほぐして他の野菜と混ぜるのにとても大変です。

そして、生の食用菊が出回る文化の日の頃に「菊花ご飯」など作ってみてはいかがですか。 

重陽の節句とは

陰陽五行説によると一切の万物は「陽」と「陰」に分けられるのだとか。

奇数は「陽」偶数は「陰」となるそうです。

ですから

  • 1月1日(人日-じんじつ)
  • 3月3日(上巳-じょうし)
  • 5月5日(端午-たんご)
  • 7月7日(七夕-しちせき)
  • 9月9日(重陽-ちょうよう)の各日は「陽」が重なる祝いの日です。特に「9」は一番大きな「陽」の数字としてめでたい日とされています。

重陽の節句には菊が用いられる

重陽も節句も中国から伝えられた行事です。

平安時代から菊酒を飲んで邪気を払い長寿を願う「観菊会」が行われ、やがて庶民の間にも広がって祝うようになりました。

菊酒は本来は菊の花をつけ込んで作るそうですが、日本酒の上に菊の花びらを浮かべて香りを楽しみながら飲むのも優雅です。

菊花を使った料理には

日本で菊の花を初めて食材としたのは室町時代とのこと。酢の物・和え物・おひたし・天ぷら・お吸い物などで楽しめます。

菊花の効能

菊は古くから不老の妙薬といわれています。漢方では解熱沈痛、消炎薬として用いられてきました。

「菊の着せ綿」という風習もあります。前の晩に菊を綿でおおって夜露で湿った綿で体を拭くと、若返りや長寿にあやかれるともいわれ、平安時代には女官の間で流行したそうです。

菊の字はたくさんの米を表しています

「菊」という字の中には「米」があります。米を両手ですくい取った時の指の様子と、花びらが一点に集まって咲く「きくの花」の様子のイメージが同じとしてあてられた字です。

菊の字がたくさんの米を表し、それが米を大切に思う日本の象徴の花になったということでしょう。

愛知・新潟・東京でかみ合わない食用菊の話

さて、重陽の節句では料理用の食用菊は出回っていないのですが、秋も深まり10月11月になると大輪の食用菊が出回ります。

ある秋、愛知の知人と新潟の知人と私の3人で新潟県内で会ったことがあり、食用菊の話になりました。

愛知の知人は昨日「かきのもと」なる食用菊を初めて食べたといいます。

私は「『かきのもと』ってはじめて聞いたけれどけれど、食用菊は秋になればいちごのパックみたいなケースで売っているじゃない」と申しました。

すると新潟の知人は「ふ~ん、そうなんだ」といいます。「食用菊は大きな箱に入っていて㎏単位の買い物」といいますし、愛知の知人は「料理のツマ用の菊は見るけれど、そんなに大きな菊は見たことがない」と・・・

ツマ用菊

なんだかかみ合わない会話になりました。

今思うと、三人の話はそれぞれ正しかったようです。

地域によって食材の食べ方、流通の仕方がさまざまであることを知りました。

食用菊の産地は

  • 1位 愛知県
  • 2位 山形県
  • 3位 青森県
  • 4位 新潟県 が多いです。

愛知は年間を通して料理や刺身のツマに使う小さい黄菊を生産出荷しています。日本のトップシェアを誇っているのでわざわざ他県から大輪の食用菊を運んでくることはないのでしょう。

新潟県もたくさん生産するので時期になると大きな箱で売ります。

私が買うのは一回分としてパックされた食用菊で「黄色の菊」「紫色の菊」も見かけます。

黄菊

「もってのほか」とは

もってのほか

ちなみに2位の山形県のひときわ大輪の紫菊を「もってのほか」「もって菊」と呼びます。とてもおいしいので庶民が食べるのは「もってのほか」あるいは菊のご紋章に使われている菊を食べるのは「もってのほか」というところから付いた名前のようです。

「かきのもと」とは

かきのもと

新潟の食用菊を「かきのもと」と呼ぶのは

かきのもとの名前の由来は、「生け垣の根本に植えたから」、「柿の木の根本に植えたから」など、諸説ありますが、現在は、「柿の実が色づいてくるころ赤くなるから」というのが一般的になっています。このことから、かきのもとの旬は10月ということになります(新潟市のWebページより)

だそうです。確かに大きな箱で売っているようです。

【まとめ】「重陽の節句」から始まる菊花の季節を楽しもう

9月9日は「重陽の節句」ですが、食用菊の季節はまだ先です。そこで菊のりを使って、行事食の紹介をしたいものです。

そして秋も深まった頃にはほろ苦くも優雅な菊花の料理を楽しみたいものですね。

お読みくださりありがとうございました。

〈参考〉

  • ぎょうせい:子どもに伝えたい食育歳時記
  • 宝島社:別冊宝島1367号 入門歳時記ライフ
  • 筑波書房:「年中行事から食育」の経済学

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

↓ブログランキングに参加しています。よろしかったら応援お願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

アバター

管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。