お月見と言えばお団子です。
立ち並ぶマンションや軒を連ねる都会では空が狭いのでなかなか家から月夜を眺めることがかないませんが、収穫したものを供え、関東ではススキをかざって月を愛でる静かな風習があります。収穫を祝う儀式でもあります。
「中秋の名月」「芋名月」についてみていきましょう。
月見のだんごは収穫と月の象徴

月見で供えるだんごは米の粉で作っただんごです。
白く、丸く作り月に見立てます。そしてそのだんごに収穫の喜びを重ねました。
今年の月見はいつ? その日は満月なの?
お月見とセットの言葉で「十五夜」と「十三夜」があります。
旧暦で語られるため、私自身もお月見はいったい何月何日なのだろうと思うことがあります。お月見献立を考えるときなど、数ヶ月前から予定しておくことが必要で、現役時代、9月だと思っていたのが10月、10月だと思っていたら9月だったということがありました(汗)
2019年の
- 十五夜は9月13日(金曜日)満月は翌9月14日
- 十三夜は10月11日(金曜日)です。
ちなみに2020年は
- 十五夜は10月1日(木曜日)満月は翌10月2日
- 十三夜は10月29日(木曜日)です。
「十五夜」とはなに?

豊作をススキに祈る
十五夜とは月の呼び名のことで、新月を「ついたち」とした旧暦では、満月となる15日目を「十五夜」と呼びました。
この日の満月を特に「中秋の名月」と呼びました。
またこの頃、さといもが収穫でき、お供えに加えるところから「芋名月」とも呼びます。
そうそう、平安の貴族 菅原道長が満月を見て詠んだ句
「この世をばわが世とぞ思ふ望月(もちづき)の欠けたることもなしと思へば」と詠んでいますが、この望月というのは満月のことです。
中秋の名月
特に旧暦の8月15日の夜を十五夜、中秋といいました。空気が澄んできて晴れると鏡のような月が見られるところから「中秋の名月」と呼び特別に愛でたのです。
月見は中国から伝わった
月見はもともと中国の行事でした。
これが日本に伝わったのは奈良時代から平安時代にかけてだそうです。
平安時代の909年に醍醐(だいご)天皇が初めて「月見の宴」を催したといわれています。
庶民の間で月見が盛んに行われるようになったのは江戸時代で、収穫した農産物を供え月に感謝しつつ豊作を祈ったそうです。月に感謝とは街灯がない時代の月明かりに対してのようです。さといもの収穫の後、それを供えて感謝してきました。ここから「芋名月」とも呼ばれるようになりました。
仲秋とは・・・?
「中秋」と「仲秋」では、日にちの範囲が異なります。
「中秋」は旧暦8月15日だけを指すのに対して「仲秋」は旧暦8月を指すそうです。
旧暦の秋である7月8月9月のうちの真ん中の月ということです。
「十三夜」もあります

十三夜の月
こちらは旧暦9月13日の月です。十五夜をの月を愛でた後なので「後の月見」
中国から伝わった十五夜の月見に対して十三夜は日本独自の月見行事です。
その頃は、くりやえだまめも収穫できるので「栗名月」「豆名月」とも呼んでいます。
十五夜に月見をしたら次の十三夜にもお月見をする。片方だけでは「片月見」といって良くないこととされている地域もあります。
お供えは収穫されたばかりのもので・・・

月見のお供えとお飾り
中国の月見のお供えの代表は月餅です。小麦粉に砂糖やたまごをまぜて練った生地であんを包んで丸く作ります。あんの材料はまつの実・ごま・くるみ、干しがきを刻んだものです。
日本では収穫されたばかりのさといもや米粉で作っただんご・もちなど丸いものを供えて、おさがりをいただきます。
ススキは稲に似ているので、豊作の祈願です。このススキは軒下に吊しておくと1年間病気をしないとの言い伝えがあり、月見に欠かせないアイテムです。
日本生まれの「十三夜」はくりやえだまめ・かきが供えられます
月見が収穫祭の意味合いを持つことから、だんごの数や形、供え物には地域によって異なります。
盗み食いOK!縁起がいいと喜ばれました
昔はこのだんごを失敬することは子供たちのかっこうの楽しみだったようです。筆者も母親から聞いたことがあります。よその家から盗み食いという普段だったら許されないことをするスリルとだんごの味が併せて思い出になっていたようでした。これは神様が召し上がったと解釈され多く盗まれるほど縁起がよいとされました。
また供えただんごはみんなで分け合って食べると長寿になり子宝にも恵まれるという言い伝えもあるそうです。
【まとめ】
神秘を感じさせる月の満ち欠けに心を寄せることと、作物が育ち実ることに感謝する情緒が内包されたお月見を通じて秋の一夜にゆるりとした時間を持つのも優雅なことですね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
〈参考〉
- ぎょうせい:子どもに伝えたい食育歳時記
- 宝島社:別冊宝島1367号 入門歳時記ライフ
- 筑波書房:「年中行事から食育」の経済学
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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