トマトはうま味成分たっぷりの天然の調味料

トマト料理

 

トマトはかつて、夏野菜の代表でした。今ではハウス栽培が普及して1年中トマトが出回って久しいですね。需要があるから供給がある。トマトは料理の彩りにも最適です。

このトマト、実はうま味成分たっぷりの野菜なんです。

トマトはうま味成分たっぷり

 

トマトスパゲッティ

トマトにはうま味成分が多く、生で食べるより料理に使った方がトマトの良さを生かせるといわれます。

私たち日本人が長年なじんできた「だし」の材料は昆布と鰹節(かつおぶし)。植物性のものと動物性のものの合わせ技です。

これに匹敵するものが肉や魚とトマトソースのコラボとなります。

動物性のものと植物性のものを一緒に調理すると味の相乗効果でおいしさがグンと増します。

中華料理でもスープや炒め物にトマトを使いますね。

日本ではトマトはまだサラダや付け合わせなど生で食べることが多いですが、古くから料理用のトマトを栽培してきた諸外国では「トマトを使うとおいしくなる」ことをしっかり認識していたのですね。

トマトのうま味成分はグルタミン酸

トマトのうま味成分はちょっと意外ですが、昆布のうま味と同じグルタミン酸です。トマトとジュース

生ですと酸味も感じるトマトですが、ソースにすると酸味が飛んでトマトのうま味が濃厚になって魚介類や肉の料理を絶品に仕上げます。

イタリアではお袋の味として各家庭の万能ソースになっているそうです。

トマトが世界中で愛されているのは食欲をそそる鮮やかな赤い色と光沢、形のかわいらしさに加えて、うま味調味料としての役割が大きいと言えますね。

トマトはうま味だけじゃない!かわいいトマトに秘めたパワー

 

トマトとチーズヨーロッパには「トマトが赤くなるとお医者が青くなる」ということわざがあります。

このことわざ通り、トマトには健康によいビタミン類やミネラル分がたっぷりです。

色の濃い緑黄色野菜としてビタミンAがたっぷり。酸味があることからわかるようにビタミンCも豊富です。

ビタミンB群や老化抑制効果のあるビタミンEも期待できます。

さらにカリウムカルシウム食物繊維もバランスよく含まれています。

トマトの赤色成分の「リコピン」がうれしい!

プチトマト

トマトの赤色成分のリコピンが脚光を浴びています。

リコピンはにんじんなどに多いβ(ベーター)カロテンと同じカロテノイドという色素群に属する色素です。

カロテノイドについてはまだ研究途上といわれますが、老化やがん、数々の生活習慣病を引き起こす活性酸素の働きを抑える抗酸化物質ということがわかってきています。

トマトのリコピンは若返りの「ビタミンE」の100倍の効き目!?

さらにうれしいことにリコピンの抗酸化作用β(ベーター)カロテンのおよそ2倍、そして以前より抗酸化作用があるといわれてきた若返りのビタミンEの100倍もあるということです。これはトマトを食べないという手はないですね。

リコピンは完熟した赤いものほど多く含まれています。脂溶性なので油脂と一緒に摂ると吸収力がアップします。

にんじんのビタミンAと同じ扱い方ですね。

にんじんのカロテン効果がすごい

トマトを生で食べるだけでなく調理して食べることがすすめられるようになったのはこのような背景もあります。

トマトは青いうちに収穫するそうだけど・・・

トマト畑

生食用のトマトはは色づき始めた若いうちに収穫されます。店頭に並び家庭で食べることに程よく色づくように逆算しての収穫時期なのです。このように収穫してから追熟させたトマトは熟してからもいだトマトと見た目は変わりませんが追熟は根から吸い上げた養分ではなく、すでに果実にある栄養分を消耗させながら熟していくのでやはり追熟期間が長いほど味も栄養価も下がっていきます

やはり買ったら早めにいただきましょうということですね。

トマトの購入額は野菜で1位

家庭でもっとも購入金額が多い野菜がトマトです。1年を通して出回っていることと、生野菜として手軽に食べられることから人気が高い野菜です。

カラフルプチトマト

最近は大きさ・形・色・味わいがバラエティーに富んでいます。

その中でも手を加えずに食卓にのせられ、お弁当の彩りにもなるプチトマトの出荷量が伸びているとのことです。そういえば私もプチトマトはよく買いますね。

最近は加熱用の赤くてしっかりしたトマトがあり、アクアパツァなどに利用しています。

家庭でもトマトとバジルを加えオリーブオイルを仕上げに使うとグッとイタリアンぽくなりますよ。

トマトは毒と思われていた過去がある

手のひらのトマト

トマトは雨が少ないアンデス山麓に野生種が残っているそうです。

ここからメキシコに伝わって栽培されるようになったとの説が有力のようです。

16世紀初めに、メキシコを征服したスペイン人によってヨーロッパにもたらされたようです。

しかし当時は「トマトの全体からいやなにおいがする」葉や茎に毒がある」などの評判がたって、もっぱら観賞用だった時代が長く続きました。

食用のきっかけはイタリアで起きた飢饉で仕方なく食べたところが、

「食べられるじゃないか!」

となったようです。何がきっかけになるかわからないものですね。

以後、南ヨーロッパを中心に広く世界で使われるようになりました。

19世紀にの南ヨーロッパではパスタにトマトソースをかけることがすでに一般的になっていたそうです。

狩野探幽の絵に『唐なすび』が

地域・社会連携玉川学園WEBページより

狩野探幽の絵に『唐なすび』と題したトマトの絵が残っていることから17世紀の半ばには伝来していたことがわかります。

貝原益軒の『大和本草』では『唐ガキ』としてトマトが紹介されています。

はじめはヨーロッパ同様、観賞用として珍重されていたようです。

日本ではこの初めて見る野菜を「なす」や「かき」になぞらえられましたが、イタリアでは今でも「金色のりんご」(ポロ・モード)、フランスでは「愛のりんご」(ポム・ダムール)とりんごにたとえられているようです。

りんごはヨーロッパでは愛すべき代表的なくだものですから、それもむべなるかな。ですね。

りんごのことわざ 一日一個のりんごは医者を遠ざける

【まとめ】トマトにはうま味成分がたっぷり

トマト料理

トマトには昆布のうま味と同じグルタミン酸がたっぷりです。

魚介類やベーコンなどとオリーブオイルを使って料理するイタリア料理はトマトのおいしさ、効果を最大限に引き出した使い方と言えるでしょう。

あまりの鮮やかさにはじめは食用とされず観賞用だったトマト。

このうま味も効果もたっぷりのトマトを年間通して味わえるのですから、利用しない手はないですね。

お読みいただきありがとうございました。

〈参考〉

  • 群羊社:たべもの・食育図鑑
  • 高橋書店:あたらしい栄養学

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

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管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。