「たまごは物価の優等生」と言われます。
安定した安価で、なにより栄養価が優れています。
私たちに欠かせないたんぱく質の質を計る「たんぱく価」の指標になっているくらいです。
たまごの栄養についてみていきましょう。
目次
たまごは物価の優等生!いつから安いの?

日本の鶏卵生産量はここ20年ほどは横ばい状態で、個数にすると約400億個だそうです。
日本人の年間消費量は340個ほどでイスラエルに次いで世界第2位とのことです。
自分では認識していなかったけれど、日本人はたまご好きです。
江戸時代の料理本にゆで卵・卵焼き・卵酒の記述があるそうです。
でも、この頃は「たまごは病気にならないと食べられない」貴重な食べものでした。
子供や病人のための滋養強壮のための健康食品です。
今のようにたまごが日常的に食べられるようになったのは高度経済成長を迎えた昭和30年代以降です。
これはたまごをたくさん産む鶏に切り替えたり、飼料の開発や飼育技術の改良のおかげで大規模に飼育ができるようになりました。
値段の心配をしないでたまごが食べられて幸せです。
今では別の心配がありますが・・・コレステロールの心配です。
たまごは良質なたんぱく質の宝庫

たまごを初め肉や魚、大豆を「良質たんぱく質」と呼びますが「良質」ってなに?と思いませんか?
「良質じゃないたんぱく質ってあるの?」と思ってしまいますよね。
たんぱく質は筋肉や臓器、血液、骨格、皮膚、爪や髪の毛など人体そのものの材料になります。
他にも酵素やホルモン、免疫抗体を作る材料にもなります。
たんぱく質はアミノ酸の結合体です。
アミノ酸は炭素・水素・酸素・窒素などが多数結合した化合物です。
糖質や脂質と比べて窒素が含まれているのが特徴です。
この化合物は自然界に数百種類ありますが人の身体を作るアミノ酸は20種類といわれています。
この20種類のうち身体の中で分解して再構成されるものもありますが、どうしても他の動植物から補わなければ足りなくなるアミノ酸が9種類あります。
これを必須アミノ酸と言います。
「雨降り一色バス」と覚えたものです。
- あ アルギニン(必須ではありませんが成長期には食べ物で補うことが必要です)
- め メチオニン
- ふ フェニルアラニン
- り リジン
- ひ ヒスチジン
- と トリプトファン
- い イソロイシン
- ろ ロイシン
- ば バリン
- す スレオニン
たまごはこの9種類を絶妙なバランスで構成しているため私たちにとってとても都合がいいたんぱく源なのです。
この都合の良さを測ったものが「プロテインスコア」です。100に近いほど人の身体作りに都合よいアミノ酸バランスといえます。
たまごのプロテインスコアは100です。他にも牛乳・牛サーロイン・豚ロース・マグロ・アジ・サケ・サンマ・大豆が100です。
お米(精白米)は61、小麦粉は42となっています。
野菜や果物にも全く「0」というわけではありませんが、量が少なく、プロテインスコアも低くなっています。
もちろん、いろいろなものを取り合わせて食べることで、それぞれのアミノ酸がうまく組み合わされて私たちの血や筋肉になるわけです。
その点プロテインスコアが高いたまごや肉や魚・大豆は単体でも無駄なく血や筋肉に変わることができる点が「良質たんぱく質」と言われるゆえんです。
たまごと同等のたんぱく質の量を他の食品の値段と比べてみる
たまごLサイズ1個のたんぱく質量を牛肉や豚肉・牛乳・魚・大豆などの食べもので摂った場合の値段を比べてみると以下のようになります。
以下の表は 農林水産省Webページ 食品価格動向(平成31年1月)より私が作成したものです。
食品成分表では肉は部位別に細かく分かれていますが、一般的なものの部位のたんぱく質量で比べてみました。目安としてご覧ください。
食品名 | たまごLと同等のたんぱく質量の値段(円) |
鶏卵 全卵 | 22 |
国産牛 | 295 |
輸入牛 | 111 |
豚肉 | 94 |
鶏肉 | 43 |
まぐろ | 157 |
ぶり | 105 |
さけ | 83 |
えび | 112 |
牛乳 | 576 |
プロセスチーズ | 68 |
豆腐 | 26 |
食品名 |
たまごLと同等のたんぱく質量の値段(円) |
鶏卵 全卵 |
22 |
国産牛 |
295 |
輸入牛 |
111 |
豚肉 |
94 |
鶏肉 |
43 |
まぐろ |
157 |
ぶり |
105 |
さけ |
83 |
えび |
112 |
牛乳 |
576 |
プロセスチーズ |
68 |
豆腐 |
26 |
たまごLを1個食べたのと同じ量のたんぱく質を他の食品で摂るとすると表の金額を払わなくてはなりません。
今更ながらたんぱく質は高い!その中でたまごは最安値!
庶民の味方です。
たまごは準完全栄養食品

たまごと野菜・果物の組み合わせで完全栄養食
たまごでたんぱく質を摂ることの優位性をみてきました。
では他の栄養素はどうなのでしょうか。
たまごはひよこが雛になるための栄養素をすべて持っています。
ビタミンCと食物繊維を除く栄養素をバランスよく含む準完全栄養食品です。
ちなみに完全栄養食品は生後半年までの赤ちゃんが飲む母乳しかないと聞きました。
このことからもたまごの栄養的価値は高いです。
たまごに足りないビタミンCと食物繊維、具体的には野菜や果物を補うとバランスがとれた食事になります。
たまごのコレステロールが気になりますが・・・

こんなに素晴らしい庶民の味方のたまごですが、コレステロールはどうなのか、気になるところです。
たまごのコレステロールについては以下の記事もご覧ください。
でも、卵黄に含まれるレシチンには血中コレステロールを抑制する効果があります。さらにレシチンには老化や認知症の予防にも役立っているそうです。
医師からの控えるようにとの指導がなければ1日に1~2個食べる分には特に心配はないでしょう。
【まとめ】卵は物価の優等生は本当でした
たまごの栄養と価格の優位性をみてきました。
なにより私たち日本人はたまご好きです。
きっと本能的にたまごが身体によいことが染みついているのでしょう。
養鶏の関係者、流通の関係者のおかげですね。
大切に食べていきたいと思います。
最後までお読みくださりありがとうございました。
〈出典・参考〉
- 文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂) アミノ酸成分表編 第1章 説明
- 農林水産省Webページ 食品価格動向
- 小学館 新版 食材図典
- 高橋書店 あたらしい栄養学
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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