春菊の栄養と効果を検証 βカロテンたっぷりの香りの野菜

春菊

 

独特の香気がある春菊は様々な効果があり「食べる風邪薬」とも呼ばれて古くから用いられてきました。

青物として、小松菜やほうれん草と同じ棚に並べられることが多い春菊ですか、「キク科キク属」に属する別の葉物です。
春菊の栄養と効果をみるとβ(ベーター)カロテンたっぷりの香りの野菜であることがわかります。

 

 

春菊の栄養

すき焼きの材料
春菊の栄養素には小松菜ほうれん草と共通して豊富なものがあります。

カロテンビタミンCカリウムなどです。

 

カロテン

カロテン色素成分なので、色の濃いこれらの野菜に豊富です。

α(アルファ)とβ(ベーター)γ(ガンマ)と種類があるカロテンです。
β(ベーター)カロテンは体内でビタミンAとして働き、また、抗酸化作用、がんの予防に有効とされています。

食品100g中の β-カロテン量

  • 春菊     4500㎍(マイクログラム)
  • 小松菜    3100㎍
  • ほうれん草  4200㎍

小松菜、ほうれん草と比べてもβ-カロテン含有量は主役級ですね。

 

ビタミンC

ビタミンCは

  • コラーゲンの合成を促進
  • 悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールの酸化を防いで血管疾患を予防
  • ホルモンの合成を促進
  • 鉄の吸収を促進
  • メラニン色素の沈着を防ぐ

等々、体内でいろいろな働きをしています。

水溶性のビタミンです。一度にたくさんとっても蓄積されないので、毎食意識して摂りたいものです。

食品100g中の ビタミンC量

  • 春菊     19mg
  • 小松菜    39mg
  • ほうれん草  35mg

ビタミンCは特に多い方ではありません。やはりいろいろなものを取り混ぜて食べることが大切ですね。

 

カリウム

カリウムは

  • 細胞の浸透圧の維持
  • 体液のPHを調整
  • 血圧上昇を抑制する
  • 筋肉の収縮、弛緩に関与する
  • 骨粗しょう症を防ぐ

などの働きがあります。

カリウムはナトリウムとバランスを取り合う関係です。日本人はどうしても食塩としてナトリウムを多く摂りがちです。

カリウムはナトリウムが過剰になると排泄するポンプのような作用があります。この機能によって細胞内外の水分量を調節しています。

カリウムの多い、野菜類や海藻、大豆製品、芋類、果物を積極的に食べましょう。

食品100g中の カリウム量

  • 春菊      460mg  
  • 小松菜     500mg
  • ほうれん草   690mg

なお、カリウムは多く取り過ぎても、排泄されるので心配ありません

(ただし腎臓の機能が低下しているときは排泄がうまくいかなくなるので、高カリウム血症になることがあります。)

 

 

春菊の効果

春菊
ビタミンもミネラルもたっぷり冬が旬の春菊は風邪の予防にもぴったりですね。

 

春菊の香りの効果

春菊には独特の香りがあります。この香りには薬理作用がある精油成分が含まれています。

春菊の特徴ある香りの成分はα(アルファ)-ピネンです。この芳香成分は針葉樹にも含まれる香りで森林浴をしたようなリラックス効果の他、発汗や消化促進の作用があるそうです。

香りが自律神経に作用して、胃腸の働きを活発にして食欲を増進させます。他にも痰(たん)を取り除いてのどを守る作用もあります。

私は子供時代、春菊の芳香が苦手でしたが、いつの間にか、気にならなくなり、今ではおいしくいただいています。

 

 

春菊の名前は

春菊の花

春菊の花

春菊は地中海沿岸地方が原産のようです。食用としているのは東アジアの地域だけだそうです。ヨーロッパでは黄色や白の花を観賞する植物として扱われています。

室町時代に日本に伝わって、江戸時代には盛んに栽培されるようになりました。

春にかわいい花が咲くので「春菊」という名がつきました。また関西では「菊菜」という名前も使われています。

 

 

すき焼きに春菊を入れるのは

すき焼き

香に特徴がある春菊は好き嫌いが分かれるところではないでしょうか。

ですが、「すき焼きには春菊」が定番です。

農機具

左端が鋤(すき)。柄がまっすぐについているものもあります。

すき焼きの「すき」は農機具の「鋤-すき」からきています。

柄の部分を外して洗い、屋外で肉を焼いて食べたのでしょう。

すき焼きにはその名ごりがあり、今でも浅い鉄鍋で作りますね。

すき焼きは牛肉で作るのが一般的です。

まず熱した鍋に牛の脂を溶かして肉を焼きます。

火が通ったところで「割り下-わりした」と呼ぶタレをからめて肉をいただきます。

鍋に肉のうま味が出たところで割り下を足して、肉、長ねぎ、焼き豆腐など入れ始めます。

春菊も加えます。

春菊は個性がハッキリしていますが、アクが少ないので、生のまま加えられます。

そしてすぐにくったりとならないので肉に負けません

これが同じくアクが少ない水菜だったらどうでしょう。すぐに引き上げないと鍋全体が水っぽくなってしまいますね。

また、アクが強いほうれん草だったら、汁気が少ないすき焼きでは味が変りそうです。

小松菜の場合は茎がしっかりしているので、サッと煮て・・・というわけにもいきません。

 

こう考えると、やはりすき焼きには春菊が一番合うようです。

 

 

【まとめ】春菊にはβ-カロテンがたっぷりです

春菊には小松菜、ほうれん草と成分が似ていますが、β-カロテンは主役級に多い数値になっています。

β-カロテンは体内でビタミンAに変わり、皮膚や目などの健康を守ります。また感染症を予防する働きをします。

芳香成分はα(アルファ)-ピネンです。この芳香成分は針葉樹にも含まれる香りで森林浴をしたようなリラックス効果があります。

ヨーロッパでは食べずにもっぱら観賞の対象になっているとか。すき焼きの春菊のおいしさを教えてあげたいです(笑)

 

お読みいただきありがとうございました。

〈参考〉

  • 小学館:新版食材図典
  • NHK出版:からだのための食材大全
  • 高橋書店:あたらしい栄養学
  • 西東社:薬膳・漢方食材&食べ合わせ手帳
  • 家の光協会:和の薬膳食材手帳

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

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管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。