スーパーフードは身近にもたくさん!日本古来のスーパーフードを検証

和食

 

昨今、スーパーマーケットでは「スーパーフード」のコーナーがあり、なじみが薄い食品が並んでいます。

なにか体にいいことがあるのだろうか?と思いますが、結構いいお値段ですし、基本的に身近で手に入る食べものをいただいて命をまっとうするのが本来だろうと思うので見るだけにしています。

が、調べてみると、スーパーフードと呼べるものは私たちの食生活にも日常的にあることを知りました。

実はスーパーフードは身近にもたくさんあります。日本古来のスーパーフードを検証してみましょう。

 

 

スーパーフードは身近にある

スーパーフードヘルシー志向の海外セレブやモデルの間で関心の高いキーワードで、近年のブームになっています。

ですが、スーパーフードとして取り上げられている食品は決して新しいものではないとのこと。

それぞれの産地で人々の健康や美を支えてきたものです。

近年は食品の持つ栄養素だけでなく機能性成分の研究が盛んに行われています。その中で昔から食べてきたけれど、実はこんなに機能性が優れていたということが次々わかってきました。

 

スーパーフードって何?

「スーパーフード」は1980年代の頃、アメリカやカナダで食事療法を研究する医師や専門家の間で生まれた概念のようです。その当時は「有効成分を突出して多く含む食品」とされていました。

それ以前から欧米では加工されていない生の食品から酵素や栄養素をできるだけ摂取する「ロー・リビングフード」(ローフード)が人気を集めていました。ローフードを実践する人の間でだんだんとスーパーフードが注目されるようになりました。

その後、ディヴィッド・ウォルフというアメリカのローフード界のカリスマが2009年に『Superfoods』という本を著し、スーパーフードが世間に広まっていきました。この本はスーパーフードのバイブル的な本だそうです。

 

「ジャパニーズスーパーフード」というジャンルもあります

日本にもスーパーフードの考え方に適合する食品がいくつもあります。これをジャパニーズスーパーフードと呼んでいます。

やはり長い民族の歴史の中で親しまれてきたものは身体によいものが残るものだと思います。

 

 

日本古来のスーパーフードを検証する

納豆

納豆

もともとは中国から麹(こうじ)を使う塩辛納豆が伝来したそうですが、糸を引く納豆の起源はよくわかっていないそうです。

糸を引かない大徳寺納豆などは鎌倉時代以降に日本に定着したようです。お寺の納所で作られたから納豆になったとか。

糸引き納豆の伝承としては、後三年の役のときに八幡太郎義家(はちまんたろうよしいえ)が奥州に出向く途中、現在の茨城に宿営しているときにうまの餌のわらの上に捨てられていたゆで大豆が糸を引いて発酵しているのを発見したとか・・・

真偽の程は定かではありませんが、糸引き納豆は生活の場から偶然に作られたもののようです。高温多湿の日本だからこそといえるでしょう。

納豆は大豆のよいところに加えて発酵食品ならではの効能があります。ネバネバのナットウキナーゼの働きです。ナットウキナーゼは血栓の溶解、血圧や血流を改善します。

納豆については以下の記事もご参照ください。

納豆 賞味期限が切れても大丈夫?

 

みそ

味噌

日本のみそ、しょうゆの伝来は仏教がもたらしたとされています。

それ以前は魚や肉を塩漬けにして発酵させた醬(ひしお)と呼ばれる塩辛いものでした。

その後、多くの百済(くだら)人が日本列島に移住してきましたが、その中にみそ作りの名人がいたのではないかと思われています。
みそ煮がはじまるのが鎌倉時代みそ汁は室町時代からだそうです。私はきょうもみそ汁を作り食べました。室町時代から続いていることとは知りませんでした。

昨今は野菜の摂取量を増やすためと、野菜料理をもう一品作る手間を省くため、そして減塩も含めて、「超具だくさんみそ汁」が提唱されています。やはりみそ汁ですね。

みそは兵糧(ひょうろう)として武士により製法が工夫され重用されてきました。

みそはまた、日本が生んだ長寿食ともいわれています。

みそもまた日本の湿度と気温が生み出した麹菌(こうじきん)による傑作です。

この麹菌は体内に入ると胃酸で分解されることなく、腸に届いて、整腸作用に力を発揮します。胃腸が整うことによって全身に生気がみなぎり、アンチエイジングも期待できます。これが日本人の長寿の元になっているといえるでしょう。

みそのパワーはすでに江戸の人々も周知していたとあります。

 

しょうゆ

しょうゆ

しょうゆはみそ造りの副産物からはじまりました。

「醤油」はみそからしみ出した液体をさす言葉です。

信州の禅僧の覚心がみそ造りを教えた際に、樽にたまっていた汁がとてもおいしいことがわかり、これが「たまり醤油」のもとになりました。「たまり醤油」は現在でも愛知、三重、岐阜の三県で生産されているとのことです。

しょうゆが本格的に作られるようになったのは戦国時代の中期といわれています。

特に生の魚を食べる食文化しょうゆがあればこそといえるでしょう。

しょうゆは大豆を発酵させた日本独自の調味料です。

発酵によって大豆のたんぱく質が分解され約20種のアミノ酸の作用が期待できます。しょうゆの複雑な味わいができただけでなく、胃液の分泌も促進して食欲増進に一役買っています。

 

塩麹

塩と麹を合わせる

塩と麹を合わせる

麹(こうじ)とは蒸した米、麦、豆にカビの一種である麹菌をつけて繁殖させたものです。

麹菌はカビといっても悪いものではなく役立つカビです。30種以上の酵素が含まれていて栄養成分を消化吸収しやすくし、胃腸の働きを助けます。

また、たんぱく質を分解して食材をやわらかくする、うま味に変える、でんぷんを分解して甘みを引き出す、など調理効果も様々です。

みそを造るときは塩と麹をよく混ぜ合わせて潰したゆで大豆に混ぜ込んで仕込みます。

塩麹の酵素は生きたまま体内の取り込まれると他の酵素の働きを助けるので加熱しない方がベストです。

 

甘酒

米麹と甘酒

飲む点滴」とまでいわれる甘酒です。

甘酒には麹で作るものの他に、酒粕を溶いて砂糖を加えて作るものも甘酒と呼ばれます。

ここでいう甘酒は米麹と炊いたご飯を同量混ぜて、55~60℃で一昼夜おき、発酵させたもの。砂糖を加えなくても自然な甘みがあります。
江戸時代から親しまれている、総合ビタミンドリンクで、本当に点滴に近い成分を持っているということです。

 

玄米

玄米ご飯

玄米は米の精製の段階で表皮に当たる籾殻(もみがら)だけを取り除き、糠(ぬか)と胚芽(はいが)を残したものです。

白米に比べて玄米は食物繊維やビタミンB群、ビタミンE、脂質、鉄が豊富です。特にビタミンEは4倍以上も含みます。

白米はビタミン類は減りますが、食味と消化がよくなります。対して玄米はよくかむ必要があります。

半日くらいは吸水させる必要がありますが今の炊飯器でしたら玄米モードにすれば1時間くらいで炊き上がります。

さらに水を取り替えながら夏場で1日くらい、寒いときなら2日くらい室内に置くと発芽します。発芽した玄米は「お急ぎモード」でもおいしく炊けますよ。

発芽玄米は普通に炊けて便利ですが、価格が高いのでなかなか使い切れないでいましたが、しっかり吸水させ、少しでも胚芽部分が膨らんでいれば普通に炊けるものです。

玄米は各種ビタミンが豊富ですので、日常のサプリメントといえます。少し前までは圧力釜でないと炊けないといわれていましたが、今の炊飯器はふたがしっかりしているせいか普通に炊けるのでぜひ食べていきたいものです。はじめは玄米1:精白米2くらいで炊くとそれほど違和感がありません。

 

緑茶

緑茶

日本茶と紅茶とウーロン茶が同じものだと知ったのは大人になってから。

日本ではお茶が伝来した当時から摘み取った茶の葉を発酵しないように軽く煎って火入れして飲みました。

お茶も僧侶によって中国からもたらされたものです。日本にも茶が自生していたそうですから、茶を飲む習慣がもたらされたといってもよいかと思います。

東大寺の記録には近鉄奈良駅の前に像が立つ行基さんが茶の木を植えたとあるそうです。

挽(ひ)いたお茶を点てて飲む「抹茶」に比べて、茶葉を急須に入れて飲む「煎茶(せんちゃ)」は江戸時代に入ってからで、庶民の喫茶が今日のように定着しました。

緑茶に含まれるポリフェノールの1種であるカテキンが注目されています。コレステロール値を下げ、活性酸素を除去して免疫力をアップ、ウイルスや細菌を撃退する頼もしい効能があります。

 

梅干し

梅干し

古来より、梅は食べものの毒や余分な水の毒、古い血の毒の三毒を絶つとされて、その薬効の高さが知られていました。

梅干しは江戸時代に庶民に伝わったものです。

殺菌作用に特に優れ、胃腸を活発にして食欲を増進させ、クエン酸が疲労回復に役立ちます。

「いい塩梅(あんばい)」という言葉は梅干しをさしている程、塩と梅の関係は絶妙なものですね。

まさに日本人の健康を支える重要な食べものといえます。

梅干しについては以下の記事もご参照ください。

梅干しの効果効能を活用しよう

 

そばの実

そばの実

そばの実

そばはやせた土地でも育つため、田んぼが作れない山間部などでも、おいしいそば処があります。

そばにはポリフェノールの1種のルチンという生活習慣病に有効な成分があります。ルチンは毛細血管を丈夫にして血行をよくし、血圧を下げる効果があります。さらに膵臓の機能を活性化してくれます。

生活習慣病の予防に頼もしいルチンですが、ゆでると湯に溶け出してしまうのでそば湯も飲んでそばの有効成分を余すことなく取り入れましょう。

 

 

【まとめ】 日本古来のスーパーフードと現代栄養学で長寿世界一に

アメリカは「ハンバーガーとコーラの国」といっては語弊があるかもしれませんが、そのアメリカでスーパーフードのバイブルが生まれたということに、興味深いものを感じます。

そして日本にもスーパーフードと呼べるものがこんなにあるのだとおどろきました。

特に発酵食品の効果効能はすばらしいものがありますが、それも日本の温度と湿度があってこそです。

ずっと昔から、身体によいものを順々に次の世代につなげてくれたご先祖に感謝したい気持ちです。

それにしても、ジャパニーズスーパーフード一昔前の日本の朝ご飯風景そのものですね。

原点回帰が必要ということでしょうか。

お読みいただきありがとうございました。

〈参考〉

  • マイナビ出版:スーパーフードの教科書
  • 角川ソフィア文庫:知っておきたい「食」の日本史
  • 家の光協会:和の薬膳食材手帳
  • NHK出版:からだのための食材大全

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

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管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。