蕎麦切りをせいろに盛るのはなぜ?

盛り蕎麦

 

やせた寒い土地でも収穫できる蕎麦。

古代から栽培されていたようですが、今のように細く切ってゆであげる「蕎麦切り(そばきり)」のスタイルになったのは江戸時代だそうです。

蕎麦の通(つう)は、冬でもせいろに盛られた冷たい「もり蕎麦」を注文しています。せいろは蒸し物に使う道具です。

ゆであげた蕎麦切りをせいろに盛るのはなぜなのか、蕎麦切りについてみていきましょう。

そばの栄養については以下の記事もご覧ください。

そばのカロリー

 

 

蕎麦切りをせいろに盛るのは蒸した名残

蕎麦切り

今食べている、薄くのして切った蕎麦を蕎麦切りと言い、略して「蕎麦」と呼ばれるようになりました。

蕎麦は古代から栽培され、粒のまま煮たり、粉にひいて、熱湯を混ぜて食べる「蕎麦がき」として食べていました。

その後、「小麦粉をつなぎに使う」と言う工夫により、包丁で切ってゆでる「蕎麦切り」の食べ方が定着しました。

16世紀後半から17世紀の初め頃のことで江戸時代の初期にあたります。

最初の頃は軽くゆでてからせいろにのせて蒸して食べた名残で今でも冷たい蕎麦はせいろに竹のすのこをしいた上に盛り付けます。

 

切る前は練っていた

蕎麦がき

蕎麦がき

蕎麦は小麦のようにグルテンがないので水で練ってもひとつにまとまらず、ポロポロしてしまいます。そこでそのまま皿に盛って、みそを造る際に出たたまりしょうゆのようなものを大根の汁で割って食べていたようです。

豊臣秀吉は蕎麦が好物だったということですが、秀吉が食べたのは「蕎麦切り」ではなく「蕎麦がき」でした。

「蕎麦がき」は今でも老舗のそば屋さんで出しているところがあります。

 

「蕎麦切り」は「切り麦」に対する言葉

小麦粉は水で練るとたんぱく質がグルテンに変わってコシがでます。薄くのして包丁で切ったり、引き延ばして細い麺にする方法があります。

練った小麦粉を薄くのして包丁で切った麺を「切り麦」と呼びました。今で言うと「ざるうどん」の原型です。

「蕎麦切り」は「切り麦」に対してつけられた名前です。

 

 

蕎麦はタデ科

そば畑

大部分の穀物はイネ科であるのに対し蕎麦はタデ科の1年草です。

原産地は中国大陸と言われています。広い中国の南西部、雲南省の山地のあたりが有力視されています。

日本には10世紀の頃、大陸から伝えられ栽培が始まったようです。

 

 

蕎麦切りの分類と蕎麦の利用

更科蕎麦

麺が白い更科蕎麦

蕎麦切りの種類は、蕎麦粉が蕎麦のどの部分を含むかで大別されます。

蕎麦の二大系は

  • 麺が白く味も淡泊な更科蕎麦(さらしなそば)系
  • 麺の色が濃く味も強い藪蕎麦(やぶそば)系

また、

  • 蕎麦の殻の破片が入って黒い田舎蕎麦
  • 蕎麦にほかの材料を加えた替わり蕎麦

などがあります。

替わり蕎麦には茶そばゆず蕎麦があります。

地方の名物蕎麦

蕎麦の名産地には名物蕎麦があります。また、地方性を持つ独特の食べ方がみられます。

  • 津軽蕎麦
  • 信州蕎麦
  • 出雲蕎麦
  • わんこ蕎麦
  • 割子蕎麦
  • へぎ蕎麦

調理法もいろいろです

  • 盛り蕎麦
  • かけ蕎麦
  • 月見蕎麦
  • とろろ蕎麦
  • にしん蕎麦

蕎麦切り以外の食べ方は

蕎麦切り以外では前述の「蕎麦がき」やそばをゆでて脱穀した「蕎麦米」などがあります。

 

 

蕎麦切りのつなぎは

蕎麦粉のたんぱく質は水溶性成分が多く、小麦粉のようにグルテンを形成しませんので、蕎麦粉だけで細い麺状態にするのは難しいことです。

ただ、蕎麦粉に水を加えてこねると、水溶性のたんぱく質が粘りを生み、弱いながらも蕎麦をつなぎます。新鮮で良質の蕎麦粉では100%の蕎麦を打つことができ「十割蕎麦」ができますが、時間の経過とともにもろくなるので、打ち立てゆでたてを食べることになります。

このため多くはつなぎとして、小麦粉を用います。ほかにも山芋などを利用した蕎麦もあります。

新潟県十日町の越後蕎麦は海藻のフノリをつなぎとしています。

 

湯こね製麺とは

蕎麦粉だけで製麺する方法として熱湯でこねる方法があります。

熱湯を加えることで蕎麦粉の一部を糊化(こか)し、その粘りを利用してつなぎます。

 

 

蕎麦屋でお酒が出るのは・・・

蕎麦屋さんのメニューにはアルコールもあるところが多いですね。

蕎麦切りとして出し始めた頃は、蕎麦をこねて、伸ばして、切って、サッとゆでて、さらに蒸していたのですから、なかなか時間がかかります。相手は江戸っ子、黙って待たせるにはお酒の一杯も飲ませておくに限ります。

こうして、蕎麦屋のメニューにアルコールが載るようになりました。

昨今は街道沿いの蕎麦屋は車でドライブがてら来る人もいるところから、メニューにアルコールを出さないお店も出てきています。

 

 

【まとめ】蕎麦切りをせいろに盛るのは蒸していた名残

蕎麦粉は小麦粉のようにグルテンが出てひとまとまりにならないので、蕎麦がきにして食べていました。

小麦粉を混ぜての蕎麦打ちが江戸時代の初期に始まりました。

蕎麦切りははじめ、軽くゆでた後、蒸してから供しました。その名残で今もざるそばは竹のすのこをしいたセイロに盛っています

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

〈参考〉

  • 小学館:食材図典Ⅱ
  • ポプラ社:食べものの大常識
  • 全国学校給食協会:食のことわざ春夏秋冬

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

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管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。