「西洋すもも」とよばれるプルーンは、近年日本でも栽培が定着してきました。
生のプルーンは皮ごとおいしく食べられるし、種もとりやすく「プルーンが一番好き」という声も聞きます。
また乾燥プルーンは機能成分がたっぷりの健康食品で、プルーンの栄養は美肌と造血によく効くミラクルフルーツです。
プルーンの栄養・・・美肌に効くのはカロテンです

プルーンは西洋すももことで、欧米ではミラクルフルーツとよばれています。
カロテンがとてもたくさん含まれているからです。
カロテンは必要によりビタミンAにかわります。
ビタミンAはいろいろな働きをしていますが、人の皮膚や髪、爪、粘膜の表面をおおう上皮細胞の材料になります。
上皮細胞は常に新しく生まれ変わっているため不足するとうまく入れ替わりができません。そうなると皮膚がかたくなるため、肌荒れやシワの原因になってしまいます。
また、そうなると、皮膚のバリア機能が落ちるため、細菌やウイルスが入りやすくなり、その結果、免疫力が低下します。
ビタミンAが十分にあると粘膜を丈夫にするため、特にのどや肺などのがんの予防に効果があります。
また、ビタミンAは網膜の材料になります。ものを見ること、特に暗い場所でものを見ることにとても大切です。映画館などの暗い場所でも目が見えるのは網膜が健康な証拠、少ない光でも、ものが見えます。ビタミンAが不足すると暗いところで目が見えにくくなる「夜盲症」にかかりやすくなります。
体内の脂肪組織にカロテンの量が多いと心臓病にかかりにくいとの報告もあります。
ドライフルーツのカロテン量比べ 100g中 単位は㎍(マイクログラム 100万分の1)
ドライプルーン | 1300 |
レーズン | 11 |
ドライブルーベリー | 81 |
同じドライフルーツですが、カロテンについてはプルーンが圧倒的に豊富なのがわかります。
クリプトキサンチンも豊富です
クリプトキサンチンもカロテンと同じ系列の色素成分です。体内で必要に応じてビタミンAにかわります。
クリプトキサンチンはカロテンの5倍もの抗酸化パワーがあります。
プルーンの栄養・・・造血に効くのは鉄分です

プルーンは鉄分が豊富です。ドライプルーンは水分が抜けている分、含有量が多くなっています。
鉄の量比べ 100g中 単位はmg
プルーン 生 | 0.2 |
プルーン 乾 | 1.0 |
貧血気味の方はプルーンを定期的に摂るとよいでしょう。
種を抜いたドライプルーンだけでなく、ジュースやペースト状のもの、粉末などありますので、手近に置かれるとよいでしょう。
鉄分には肉や魚に含まれる「ヘム鉄」と野菜や納豆などの植物性の食品に含まれる「非ヘム鉄」があります。「ヘム鉄」の方が吸収されやすいのですが、「非ヘム鉄」でも
- ビタミンCと一緒に摂る
- 肉と一緒に食べる
と吸収がよくなります。
プルーンの栄養・・・カリウム・マンガン・カルシウムも
プルーンにはカリウム、マンガン、カルシウムなどもバランスよく含まれています。
- カリウム・・・利尿作用や高血圧予防効果があります
- マンガン・・・体内のいろいろな代謝に欠かせないミネラルです
- カルシウム・・・骨や歯を作るだけではない、筋肉の収縮や血圧の調整、神経の働きをスムーズにするなど様々な働きがあります
プルーンの皮にはアントシアニンが!

プルーンの皮が紫色なのはアントシアニンという色素があるためです。アントシアニンは植物に多くある抗酸化作用がある色素のひとつです。
アントシアニンはポリフェノールの1種で、苦みや渋み、アクの素でもある色素成分です。
ポリフェノール類は食べて30分ほどで体内で働き始めますが、効果は2~3時間で消えてしまいます。こまめに摂りたいですね。
アントシアニンはプルーンの他に、赤ワイン、ベルーベリー、ぶどう、すいか、紫キャベツ、紫いもなどに含まれています。
植物にこうした働きがあるのは、気温の変化や風雨などきびしい状況になっても、逃げることができません。そこで外皮に戦うための成分を備えています。その成分が私たちにも有効に働いてくれるということです。
プルーンには緩下作用があります

ドライプルーンの袋には「おなかがゆるくなることがあります。量を加減してお召し上がりください」などと書かれています。
これはプルーンに含まれている水溶性食物繊維のペクチンの働きによるものです。
熟した果物のペクチンは水に溶けてゲル状になります。ペクチンの働きで水分が多い大便となるので、おなかがゆるくなる場合があるのです。
おなかの中でもゲル状になって移動し、コレステロールなどを吸着します。
また腸内細菌のえさとなって腸内環境を改善します。
【まとめ】プルーンには美肌と造血に効く成分があります
プルーンには体内でビタミンAに代わるカロテンがとても豊富で、ミラクルフルーツと呼ばれています。
カロテンはビタミンAに代わって人の皮膚や髪、爪、粘膜の表面をおおう上皮細胞の材料になります。
またプルーンには鉄分が多く含まれているので月経がある女性は口さみしい時などに食べるとよいでしょう。
アントシアニンは紫色の色素で抗酸化作用があります。
プルーンには緩下作用がある、水溶性食物繊維のペクチンが含まれていて、腸内環境を改善します。
ミラクルフルーツと呼ばれるプルーンを上手に活用していきたいですね。
お読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
- NHK出版:からだのための食材大全
- 家の光協会:和の薬膳食材手帳
- 日本文芸社:栄養を知る事典
☆栄養価は「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」「同 追補2016年」「同 追補2017年」「同 追補2018年」に準拠しています。
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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