「正月」の「正」の字には「改まる」の意味があります。
昔は1月そのものを「正月」としていましたが最近は1月7日までを松の内として正月とするようになっています。
元旦は幸せと豊作をもたらす「年神様」をお迎えする大切な行事です。そのために各家庭では年末から年神様を迎える準備をして、元旦には様々な儀式で祝い、お供えをしてきました。
おせち料理は神様と一緒にいただく料理です。1つ1つの材料、料理に意味を持たせています。
おせちのおもな料理とその意味について見てみましょう。
目次
おせちのおもな料理とその意味
おせちは日本料理の粋(すい)であると同時に、それぞれに祝いの日にふさわしいおめでたい意味があります。それを知ってこそ、伝統の行事を楽しむことができます。
縁起物なのでいくつかは用意したいものです。
その際は陽の数といわれる奇数でそろえましょう。
黒豆(くろまめ)

まめに働き、健康に暮らせますようにとの祈りを込めています。
黒は魔除けの意味もあるとか・・・
黒豆については以下の記事もご覧ください。
田作り(たづくり)

田作り
昔、小魚を田にすき込んで肥料にしました。そこから豊作を願っていわしの稚魚を食べるようになりました。
数の子

数の子はニシンの卵です。そのたくさんの卵にあやかって子孫繁栄の意味を持たせています。
数の子については以下の記事もご覧ください。
たたきごぼう

たたきごぼう
すりこぎでたたき、ごま酢で和えたものです。
関西の三つ肴(みつざかな)の一品です。
細く長くという意味を持たせています。
ごぼうについては以下の記事もご覧ください
栗きんとん

甘いきんとんの黄色を黄金(こがね)に見立てて、財運に恵まれて豊かに暮らせるようにという願いを込めています。
海老

海老
海老の姿のように、腰が曲がるまで長く健康に生きられるようにという願いを込めています。
昆布巻(こぶまき)

「よろこぶ」の語呂合わせです。
魚を昆布の芯に巻き込むことで福を包み込むという意味もあります。
昆布については以下の記事もご覧ください。
紅白かまぼこ

紅白かまぼこ
赤は喜びを表し、白は神聖な意味を持つおめでたい配色です。
二色を組み合わせて盛りつけます。
すり身については以下の記事もご覧ください。
伊達巻き(だてまき)

伊達巻
卵と魚のすり身を合わせて焼いたものです。
伊達政宗(だてまさむね)の派手さと卵の華やかさをかたどったなどの諸説があります。
鯛(たい)

めで「たい」の意味です。
縁起のいい赤色と恵比寿(えびす)様が釣り上げた魚としてお祝いには欠かせない一品です。
鯛については以下の記事もご覧ください。
酢れんこん

酢れんこん
れんこんは穴が開いていて、向こうが見えます。将来の見通しがいいようにという思いが込められています。
れんこんについては以下の記事もご覧ください。
紅白なます

紅白なます
白の大根、赤の人参でおめでたい水引を表しています。
保存性もあり体によい酢のものです。
さと芋

里芋
里芋は親芋にたくさんの子芋、孫芋ができることから、子孫繁栄の意味が込められています。
里芋については以下の記事もご覧ください。
煮しめ

煮しめ
しいたけ、里芋、こんにゃく、たけのこなどの「山の幸」をふんだんに用いた煮物です。
重箱の最後の段に入れます。
鮭(さけ)・鰤(ぶり)

鮭

ぶりの照り焼き
神様にお供えする「年取り魚」です。
関東は「鮭」、関西では「塩ぶり」が一般的に使われます。
【まとめ】おせちは究極のおもてなし
おせちはもともとは神様にお供えする料理でした。それがいつしか正月料理だけを「お節」「おせち」と呼ぶようになりました。
その内容は大変なごちそうです。しかも冬に不足しがちな栄養素を十分に取り入れたもので、昔の人の取り合わせの知恵に驚かされます。
さらに一つ一つの料理に意味を持たせたり語呂を合わせたりユーモアを感じさせる縁起のよい詰め合わせです。
お正月にはおせち料理を前にして豊かな気持ちになりたいものですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
〈参考〉
宝島社:入門歳時記ライフ
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
コメントを残す