にんじんはとても身近な野菜で、どこのご家庭でも冷蔵庫に入っているのではないでしょうか。
学校の給食にも毎日のように登場します。
それは
- 緑黄色野菜として不動の位置を占めている
- にんじんのオレンジ色が加わるとおいしそうになる
- 価格も比較的安定している
などが理由として挙げられます。
料理に欠かせないにんじんの彩りですが体にうれしい効果が詰まっています。
にんじんのすばらしい効果についてみていきましょう。
にんじんの効果は
緑黄色野菜をたくさん食べる人のグループはそうではないグループと比べてがんにかかる率が少なかったという統計から緑黄色野菜の効果についての研究がはじまりました。
にんじんの効果に付いても以下のことが考えられています。
ビタミンA・カロテンとして働く効果
- 体の免疫力・抵抗力を高める
- 活性酸素を減らす
- 視覚の正常化
- 肌の調子を整える
- 粘膜の健康維持
- 抗がん作用
カリウムの効果
- 筋肉の働きをコントロール
- 余分なナトリウムを排泄して血圧を安定させる
食物繊維の効果
- 消化をゆっくりとさせる
- 腸の働きをよくする
- 血糖値が急に上がるのを防止
- コレステロールの吸収を抑制する
- 血圧の低下
- 便秘解消
総合してアンチエイジングに効果がある
などがあります
にんじんの効果 その1 ビタミンAとして働く

にんじんはカロテンの宝庫です。このカロテンは消化吸収の際、小腸の壁で酵素によってビタミンAに変わって活躍します。ビタミンAの必要量に応じて変換されるそうです。
ちなみによく知られているものにα(アルファ)カロテン、β(ベーター)カロテンがあります。βカロテンの方が他のものと比較してビタミンAに変換する率が大きいそうです。にんじんには両方含まれています。
ビタミンAは皮膚やのど、鼻、肺、消化管などの粘膜を健康に保つ働きをします。この働きから、感染症を予防し、免疫力を高めることに役立っています。
ビタミンAによる発がん抑制作用も多くの動物実験によって認められています。
必要によりカロテンからビタミンAに変換した残りのカロテンは抗酸化力を発揮して有害な活性酸素を消去し老化やがんの抑制に働きます。
また、ビタミンAといえば暗いところでものを見るのに必要です。
ものが見えるのは目が光を感じるからですが、網膜にある色素のロドプシンはビタミンAが主成分になって作られています。この色素が光を感じています。
カロテンの取り過ぎはいけないか
ビタミンAは油に溶けるビタミンです。食べて使われなかったビタミンAは体内に蓄積されて過剰症を引き起こします。サプリメントなどで取り過ぎることがあります。
ですがカロテンは必要に応じてビタミンAに変換されるため、にんじんなどの緑黄色野菜を食べ過ぎてのビタミンA過剰症は心配ありません。
にんじんの効果 その2 カリウムの効果

私たちの体は微妙なバランスの上で健康が保たれています。
体内のカリウム量は体重の約0.2%で、その多くは細胞の中に取り込まれています。細胞の外に多いナトリウムと作用し合いながら細胞の浸透圧を維持しています。それにより、水分を一定に保持しています。
野菜をよく食べてカリウムを体内に取り入れ、余分なナトリウムの排泄を手助けして、高血圧を予防しましょう。
なお、カリウムはいろいろな食品に含まれています。野菜だけでなくきのこ・海藻・果物にも含まれています。積極的摂りたいですね。
にんじんの効果 その3 食物繊維の効果

「炭水化物」はエネルギーとして使われる「糖質」と、ヒトの消化酵素で消化されない「食物繊維」でできています。
食物繊維があることで消化に時間がかかり、食べものが小腸に運ばれるのがゆっくりになります。その結果、吸収も少しずつとなって、血糖値が急激に上がることが防げます。
また、コレステロールなどを包み込んで吸収を抑制します。
この働きから生活習慣病の予防によいとされています。
食物繊維はかつて食べもののカスとして評価されませんでしたが、近年は腸内細菌の働きで分解・発酵を経てエネルギー源になったりさまざまな生理作用をもたらすことがわかってきました。さらに次々と健康機能が明らかにされ、注目されています。
にんじんの食物繊維は100㌘につき水溶性のものが0.7㌘、不溶性のものが2㌘です。カボチャと同じくらいです。特別に多いわけではありませんが、煮ると柔らかくなり、離乳食や高齢者の食事に取り入れやすい食材です。毎日手軽に利用できる点もありがたいです。
にんじんの効果を引き出す調理の注意点 ① 油と一緒に調理する

にんじんのカロテンは皮のすぐ下に多くあります。皮は薄くむくか、無農薬のものを選んで皮ごと料理すると効果的です。
カロテンは油と一緒にとると吸収率が上がります。炒め物や天ぷらの他、油を使ったドレッシングをかけるのも方法です。
にんじんの効果を引き出す調理の注意点 ② ビタミンCを壊すと言われてきましたが
にんじんにはにんじん特有のアスコルビン酸オキシダーゼ略してアスコルビナーゼが含まれています。にんじんをすりおろしたりミキサーやジューサーにかけて細胞が壊れると活性化してビタミンCを壊してしまいます。大根とにんじんを一緒に下ろした「もみじおろし」はせっかくの大根のビタミンCが壊れるからよくないと思われてきました。しかし最近の研究ではビタミンCが酸化して出来た成分も、体内ではビタミンCとほぼ同じ効果を発揮することがわかってきました。
アスコルビナーゼは酢と熱に弱いので、もみじおろしに酢を少し加えれば、酸化そのものを押えることができます。また、にんじんを軽く加熱したり電子レンジにかけるのもよいと思います。
どちらにしても、下ろしてから1時間程度ならビタミンCは10㌫位の減少にとどまるので、食べる直前におろすようにするとよいでしょう。
にんじんの種類

私が子供の頃はにんじんはごぼうのように細長い姿でした。「きんぴらごぼう」に、にんじんを入れますし、私は子供の頃、にんじんとごぼうはセットになっているものだと思っていた位です。それがいつの間にか短い形状になっていました。
にんじんは細長いもの・短いものそれぞれ伝播(でんぱ)ルートが異なります。
ピーターラビットが持つ丈の短いにんじんがヨーロッパ系、ごぼうのように細長いものは東洋系と大別されます。
短いヨーロッパ系の方が収穫時の労力が少なく、周年で栽培できるためすっかり主流になりました。
普段は短いにんじんばかりが流通していますが、正月用に少量ではありますが長くて中心まで鮮やかな金時にんじんが流通しますね。このにんじんで「紅白なます」を作ると白と赤がきれいなめでたいなますになります。
にんじんは薬

古代、野生種のにんじんの葉を薬用として用いたそうです。大昔からにんじんには体にすばらしい効果があることが体験的にわかっていたのですね。
どんな薬として用いたのか興味のあるところです。
にんじんと朝鮮人参は別物です

朝鮮人参
漢方薬でおなじみの朝鮮人参(朝鮮半島では高麗人参)とにんじんは別物です。
朝鮮人参はウコギ科の多年草で、セリ科のにんじんとはまったく別物です。
朝鮮人参の根が人の形に似ているので「人参」となりました。中国や朝鮮半島で人参といえば朝鮮人参をさし、古代より「霊薬」として珍重されたそうです。
日本には朝鮮人参が8世紀、にんじんは16世紀末に渡来しました。
【まとめ】にんじんにはたくさんの効果があります
色の濃い緑黄色野菜としてのにんじんの効果をみてきました。
ビタミンA・カロテンとして働く効果
- 体の免疫力・抵抗力を高める
- 活性酸素を減らす
- 視覚の正常化
- 肌の調子を整える
- 粘膜の健康維持
- 抗がん作用
カリウムの効果
- 筋肉の働きをコントロール
- 余分なナトリウムを排泄して血圧を安定させる
食物繊維の効果
- 消化をゆっくりとさせる
- 腸の働きをよくする
- 血糖値が急に上がるのを防止
- コレステロールの吸収を抑制する
- 血圧の低下
- 便秘解消
などたくさんの効果がありました。
料理に暖かい彩りを添えてくれるにんじんを普段の野菜として常備し毎日食べていきたいですね。
読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
- 成美堂出版:栄養の基本がわかる図解事典
- 高橋書店:あたらしい栄養
- 小学館:新版食材図典
- 群羊社:たべもの・食育図鑑
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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