春らんまんの景色に菜の花は欠かせませんね。
菜の花は咲いたあとの種を絞り、油をとるために重用されてきました。
その油は江戸時代の頃より、照明用としてきました。食用になったのはその後のことだそうです。
まだかたく締まっているつぼみと花茎、柔らかい若葉を「なばな」と呼んで春の青菜としていただきます。
菜の花はからし和えが伝統の食べ方といわれます。昔から伝わっているこの食べ方には、どんな理由があるのでしょうか。
目次
菜の花はからし和えがあう理由

菜の花の手軽でおいしい食べ方は「からし和え」で、伝統的な食べ方として紹介している薬膳の本もあります。
菜の花には苦み成分があり、これが春にはおいしいのですが、大腸と肺の働きを抑制するとあり、これには香辛料の「からし」で和えるとよいとあります。
からしは薬膳では胃腸薬としても用いるため、とても合理的な食べ方だそうです。
からし和えの作り方

- 菜の花は水で洗いつぼみと柔らかいところ、茎を切り分けます。
- 沸騰している湯に塩を少々入れ、茎からゆでます。
- 柔らかいところやつぼみはゆですぎないようにします。
- すぐに水にとってひやし、ざるにあげて水を切ります。
- ボールやどんぶりなどに溶きがらし(チューブでよい)をめんつゆと合わせます。
- 水をしぼった菜の花と合わせます。
作ったら水っぽくならないうちにいただきましょう。

菜の花の辛み成分は「アリルイソチオシアネート」

菜の花には「苦み」の他にアリルイソチオシアネートという「辛み」があります。
「わさび」や「からしな」「大根」などの野菜に含まれる揮発性の硫黄(いおう)化合物で特有の辛み成分です。
この辛みはきざんだり、つぶすことで多く出ます。
抗菌や抗かび作用の他にがんの予防にも効果があるとされ、注目されています。
菜の花の特徴的な栄養成分
ビタミンCを多く含みます。
さらにビタミンEやベーターカロテン、辛み成分のアリルイソチオシアネートと抗菌作用のある成分がそろっています。
食物繊維も豊富です。
ミネラル分は
- 高血圧を防ぐカリウム
- 骨を健康に保つカルシウム
- 貧血を防ぐ鉄
が期待できます。
冷凍の菜の花も大活躍

昨今、外食産業では季節を問わず「青物」として菜の花が使われることがあります。
「高いだろうに」と思っていましたが、業務用に手頃な値段の1kg入りの冷凍品があることを知りました。
もうゆでてありますので、他の具材と合わせてサッと加熱すれば供せます。
菜の花は、ほうれん草や小松菜とちがって花茎がしっかりしているので、加熱してもカサが減らないので存在感があります。
ほろ苦さもあり、大人向けのちょっとした料理にはうってつけだと思います。
菜の花となばなは同じもの?
アブラナ属のつぼみと花茎、柔らかい若葉を「なばな」と呼んでいますが、「菜の花」という栽培品種はありません。
通常「菜の花」と呼んでいるのは、「白菜」や「かぶ」「キャベツ」「ブロッコリー」「からしな」などの黄色い十文字の花を咲かせるアブラナ属の野菜の花です。
花屋さんの菜の花は食べてもよい?

花屋さんで売られる「菜の花」は「西洋アブラナ」がメインとのこと。きれいに咲かせるために食用とは異なる肥料や農薬を使っている場合がありますので、観賞にとどめておきましょう。
【まとめ】菜の花で春の苦みを楽しもう

菜の花は黄色い花ですが、食用にするのはつぼみで、みどり色です。
苦みも辛みもあり、春の体をシャキッとさせてくれます。
抗菌や抗かび作用の他にがんの予防にも効果があるとされる、辛み成分のアリルイソチオシアネートを始め、生活習慣病の予防にも積極的にとりたい食材のひとつとされています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
〈参考〉
- NHK出版:からだのための食材大全
- 家の光協会:和の薬膳食材手帳
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
青菜をゆでるときには湯に塩少々を加えます。塩を加えることによって沸点が上昇し、高い温度になります。そうすると早くゆだるために、色よくゆでることができます。