「麦茶の日」に麦茶の効果と歴史を考えよう

麦茶

 

急に夏日になったような日は「そろそろ麦茶を作って冷やしておこうか」と思います。

6月1日は「麦茶の日」。麦茶の材料や大事な穀物を煮出して飲むことになった背景、麦茶の効果を考えてみましょう。

 

 

麦茶の効果

麦茶の効果として、以下のものがあげられます

  1. カフェインが含まれていない
  2. 抗酸化作用がある
  3. 胃の粘膜を保護する

湯や水に溶け出た大麦の成分は安心できるものばかりです。

一つずつみていきましょう。

 

カフェインが含まれていない

水分補給として嗜好飲料を選ぶとき、日本茶やウーロン茶・紅茶・コーヒーにはカフェインが含まれています。気分転換をかねてカフェインが含まれているものを飲むワケですが、幼児には刺激が強いことが心配されます。また夜眠れない、たくさん飲むと胃が荒れるなど時間と量に注意が必要です。

その点、麦茶はノンカフェインなので乳幼児から高齢者まで時間や量を気にすることなく水分補給として安心して飲めるのがうれしいところです。

 

抗酸化作用がある

食品の機能については大学や食品を扱う企業にて研究が進められているところですが、麦茶についても研究されていて、抗酸化成分が認められるそうです。

麦茶の抗酸化成分は大麦のポリフェノールが抽出されたもので、大麦をそのまま食べることと比べると微量とは思われますが、水分補給しながら抗酸化成分も取り入れられるのはうれしいことですね。

 

胃の粘膜を保護する

麦茶の抽出成分に胃の粘膜を保護する効果があることが発見されました。水分として麦茶を飲むとき、多めに飲んでも胃の粘膜を荒さないだけでなく保護する働きもあるのはありがたいです。

コーヒーに似た香ばしい香りがありながら、量や時間を気にせず飲めることが特徴です。

 

 

麦茶になる大麦の種類

大麦

○六条大麦

  • 実った麦の穂を上から見ると6列に実が並んでいるように見える
  • 古くから炒って粉にしたものを「麦焦がし」「はったい」と呼び、湯で練って食べていた。

筆者も子供時代、カップに麦焦がしと砂糖を入れ、湯で練って食べた記憶があります。夕飯前のひとときのおやつ代わりでした。筆者の中では「麦小菓子(むぎこがし)」と変換されています(汗)

○二条大麦

  • 実った麦の穂を上から見ると2列に並んで見える。大粒である
  • 寒さに弱いため西日本や九州で作られる
  • 水あめ・ビール・ウイスキー・焼酎の原料になる

 

 

「麦茶の日」の由来

麦茶は大麦を炒って風味や色を抽出して飲用にしたものです。

6月は大麦の収穫が始る頃。ちょうど麦茶の季節も始ることから、きりのよい6月1日を「麦茶の日」としたそうです。

 

 

麦茶の歴史―出し殻(?)を捨てるのはもったいないのに・・・

大麦は繊維が多く、そのままでは主食として食べにくいとはいうものの、大切な農産物です。それを「炒って風味と香りを抽出して楽しみ、残りを廃棄する」というのは、もったいないのではないか?栽培の初期から今のような用い方をしたのだろうか?と疑問に思ってきました。

大麦が麦茶として飲まれるようになった歴史をみたいと思います。

 

大麦の歴史

大麦はアジアとエチオピアが原産といわれ、今からおよそ1万年前の新石器時代から栽培されていたようです。

日本でも縄文末期の頃には伝わって、米の自給が達成する昭和40年代まで主要な食用穀物として麦飯や麦焦がしとして利用されてきました。筆者が子供の頃に夕飯までのつなぎに食べた「麦焦がし」のような利用もそうですね。余談ですが麦焦がしは祖母の面影と一緒に思い出します。素朴な「おばあちゃんの味」でした。

今また健康効果から白米に大麦を混ぜて炊く「麦ごはん」が見直されています。

 

麦茶として飲み物になったのはいつから・・・?

5月から6月にかけての新麦の刈り入れ直後に加工した大麦はとても香ばしくておいしかったことから夏に向けての飲料となっていったようです。今のような抽出したものではなく、挽いた粉を溶かしたものを飲む用い方だったと思います。

戦国時代には武将が陣中でお酒に溶かし濁り酒のようにして飲んでいたということです。

 

麦湯のカフェがあった?

江戸時代になると「麦焦がし売り」が出現して麦焦がしを飲食させたり土産として販売し大いに繁盛したということです。

一時期は「麦湯屋」として盛り場で粋な女性が接客する屋台もあったとか・・・。今ならさしずめ「しゃれたカフェ」というところでしょうか。

その後の西洋文化に押されるように本当の「カフェ」の出現により「麦湯屋」は減少していったそうです。

 

「麦湯」から「麦茶」へ

やかん

明治時代には麦湯を飲む習慣は一般家庭に浸透していきました。

その頃の飲み方は「麦焦がしを溶かして飲む」方法ではなく、大麦を炒って煮出すという今のような家庭の飲み物となっていきました。

その頃の飲用水は井戸水が主流です。おいしい水といっても消毒されているわけでもなく、特に夏場は一度わかして、湯冷ましにして飲みます。

ですが湯冷ましは白湯(さゆ)とも呼ぶように、おいしいものでもありません。

そこでせっかく煮沸消毒するならコーヒーを思わせる風味がある麦湯にしようとなっていったようです。

 

大ぶりなやかんで炒った大麦をしばらく煮出すのですが、その間の香ばしい香りは夏の風物でした。ただ、気温が高くなかなか冷めないのが難点です。

その頃はまだ「麦湯」という呼び方が一般的でした。

「麦茶」となっていったのは昭和40年頃とのことです。

メーカーが商品に「麦茶」と名付けて売り出し、それがすぐに受け入れられていったのは、私たち日本人の日常には「茶」が必要との精神性の表れだと思います。

 

そして冷蔵庫の麦茶が「冷え過ぎてる。もう冷蔵庫に入れなくてもいいかなあ」と思う頃、季節は秋に入っているのを感じさせてくれる、愛すべき飲料です。

 

 

麦茶はいろいろな商品が出そろい、さらに身近になった

 

パックの麦茶

やかんから煮出した麦茶を掻き出して処分するのは結構面倒なことです。そこでパック入りが売り出され、さらに「水出し麦茶」、薄めてすぐ飲める「リキッドタイプ」、持ち歩きに重宝し少し容量が多い「ペットボトル入り」が流通しています。

 

 

【まとめ】麦茶の効果と歴史

 

赤ちゃんの麦茶

赤ちゃんから高齢者まで朝でも夜でも安心して飲める麦茶は暑い季節になくてはならない飲料です。

麦茶の効果は

  • カフェインが含まれていない
  • 抗酸化作用がある
  • 胃を荒らさない

といったものでした。

身近な麦茶ですが、6月1日の「麦茶の日」には大事な穀物である大麦が飲み物になった経緯を感じたいと思います。

 

お読みいただきありがとうございました。

〈参考〉

ぎょうせい:子どもに伝えたい食育歳時記

小学館:新版食材図典

常磐屋本舗 様のWebページ

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

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管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。