健康に留意して長生きをした徳川家康は麦ごはんを食べていたとか・・・
白いごはんをお腹いっぱい食べることができるようになった今、様々な利点がある「麦ごはん」が注目されています。
麦ごはんはお米に大麦をまぜて炊き上げた健康志向の主食です。お米に混ぜても目立たない製品もありますが、あえて大麦の黒状線(こくじょうせん “ふんどし”とよばれる黒い線)がハッキリしているものを買って「麦ごはん」を食べる自分を意識すると体だけでなく心にもプラスに。
麦ごはんの効果は体にも心にも効くところではないでしょうか。
麦ごはんの効果は食物繊維がプラスされるところ

日本人の誰もが主食に白いご飯を食べられるようになったのは、この60年ぐらいのことです。それまでは米の収量が安定せず、米に雑穀を混ぜることはめずらしくありませんでした。
白いご飯を食べられるようになった結果、食事から食物繊維が足りなくなり、いろいろな影響が出ています。
その対策として麦ごはんが見直されています。麦ごはんは白いごはんにプラスして足りないところを補います。
麦ごはんの効果① お通じが規則正しくなる
食事に食物繊維が増えることでお通じが規則正しくなります。押し麦には水に溶ける水溶性の食物繊維と水に溶けない不溶性の食物繊維がバランスよく含まれています。
100g中 | 押し麦 | 米粒麦 |
水溶性食物繊維 | 6.7 | 6.0 |
不溶性食物繊維 | 5.5 | 2.7 |
合計 | 12.2 | 8.7 |
毎日の普通に食べるご飯に繊維がプラスされることで便秘が解消され、お通じが規則正しくなります。
麦ごはんの効果② 血糖の吸収が緩やかに
精米された白いご飯は消化吸収が早いため血糖値も急激に上がります。急激な血糖値の上昇で、余分な血糖が中性脂肪に変わって使われないまま、蓄積され、肥満につながってしまいます。
大麦を加えることで、食物繊維がプラスされると、消化も吸収もおだやかになりますから血糖値が急に上昇することが防げます。
それによりインスリンの分泌もおだやかになりますから膵臓の負担が軽くなりますので糖尿病の予防が期待できます。
麦ごはんの効果③ 食物繊維が腸内のコレステロールをからめる

水溶性の食物繊維は小腸内でコレステロールをくるみ込み、吸収を妨げる作用を持ちます。
麦ごはんの効果④ ミネラルも増える
押し麦は精白米よりもカリウム、カルシウム、マグネシウムが多いので、麦ごはんを毎日の習慣にすると、知らず知らずのうちにミネラルも摂れます。
麦ごはんの効果⑤ 健康に留意する自分を意識できる
おいしい白米を食べられる時代にあえて麦ごはんを食べることで、健康作りを意識でき、自分を大切にできる気持ちが芽生えます。
学校給食でも日常的に大麦を加えたご飯を献立に入れ、その理由や効果を伝えていくことで心育てとしていました。
大麦の製品はいろいろあります
大麦には大きく分けて、六条大麦、二条大麦、はだか麦とありますが、ご飯に混ぜて炊く麦は六条大麦とよばれる品種です。
昔は精麦(せいばく)の技術が今ほど高くはなく、麦を混ぜると黒っぽくなるなど、食味が落ちてしまうようでしたが、精麦技術が進み、おいしく炊けるいろいろな製品が出ています。
押し麦
一般的な精麦方法で製品化された押し麦です。
外皮を取り除いた後、蒸気にあててローラーにかけて平たくしてあり、押し麦とよばれます。麦とろご飯で炊く大麦です。
真ん中に黒状線があります。
胚芽押し麦

胚芽押し麦
写真は胚芽押し麦です。黄色い口ばしのようなものがありますが、胚芽の部分です。
大麦に限らず、穀物にとって胚芽は大切なところです。胚芽部分にはビタミンB1やビタミンEが多く含まれています。
ちなみに「ふんどし」とよばれる黒状線は麦のくぼみに残った外皮です。あるなしで栄養価はかわらないそうですが、食物繊維は黒状線があった方が多いようです。上記の表で、黒状線がない米粒麦の不溶性食物繊維の数値が低くなっています。
ビタミンB1を強化した大麦

ビタミンB1を添加した大麦
小さな麦の粒を半分にしてプレスしたもの。少し黄色をしていますが、ビタミンB1を表面にまぶしてあります。
「江戸わずらい」といわれて恐れられた脚気(かっけ)はビタミンB1の欠乏症です。精製した白米とみそ汁、漬物ではビタミンB1が足りません。体調を崩して郷里に帰り、雑穀米でケロリと治るといわれました。
ビタミンB1を強化した大麦をご飯に加えることは自然にサプリメントを摂るのと同じですね。
米粒麦(べいりゅうばく)
炊き上がるとお米粒とそっくりになって、大麦が入っているとわからなくなります。お米と比重も同じにしてあるそうです。こんなに細かい粒をどうやって加工しているのか、おどろきです。
丸麦

丸くコロンとしている「もち麦」
大麦を製麦して、元の形のままの製品で、ローラーにかけたりの行程をしてありません。
今話題の「もち麦」の形状が丸麦です。

もち麦を炊いたもの
もち麦は、お米に「うるち米」と「もち米」があるのと同じように、アミロペクチンが多く、粘り気が多い大麦です。
上の写真はもち麦だけを炊いたものです。弾力がある噛み応えです。
「麦とろご飯」はなぜ何杯も食べられるのか?

とろろご飯はのど通りがよく、よくかまない上に何杯もおかわりできてしまいます。成長期には5杯食べた、6杯食べたと自慢げに話したものです。
こんな食べ方をして、胃にもたれては大変です。すみやかに腸の方へ移動させたいですね。
とろろにする「やまのいも」は生でも食べられる世界的にも珍しい芋類です。消化酵素のアミラーゼが含まれているので、たくさん食べても苦しくならずにすみます。
また、白米だけのご飯より麦ごはんの方が粘りが減ってさらにのど通りがよくなって何杯も食べられます。
やまのいもの消化酵素「アミラーゼ」については以下の記事をご参照ください。
【まとめ】麦ごはんの効果でお腹すっきり
健康志向の高まりで麦ごはんが注目されています。
ご飯を炊くときに何割か大麦を混ぜることで、食物繊維がプラスされます。
食物繊維が増えるメリットは
- お通じが規則正しくなる
- 血糖値の上昇をおだやかにする
- 腸内のコレステロールをからめて吸収しにくくする
さらに大麦はカリウム、カルシウム、マグネシウムが精白米より多いので、知らず知らずのうちにミネラルも取り入れられます。
麦ごはんを食べることで健康作りに取り組む自分と向き合えて、自分を大事にしていこうとする心を作っていくことができます。
大麦には種類がありますので適したものを選び、量も調節しながら無理なく麦ごはんを続けていきましょう。
お読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
NHK出版:からだのための食材大全
☆管理栄養士asariが書きました。
コメントを残す