戻り鰹の時期と産地は

鰹の塩たたき

 

江戸時代「女房を質に入れてでも」食べたいと見栄を張ったさっぱりした味わいの初鰹が、秋の深まりとともに戻ってきました。

戻り鰹の濃厚な味わいは江戸っ子には「品のない食べもの」とされていましたが、一部の食通の間では昔から珍重されてきた秘密の味わいでした。

秋の味覚、おいしい戻り鰹の時期と産地を調べてみました。

今年も時期を逃さず味わいたいですね。

戻り鰹の時期と産地は

鰹回遊の図

歴史・由来・意味の雑学Webページより

鰹の寿命は約10年

毎年、酸素とえさがたっぷりの黒潮に乗って北上と南下を繰り返しています。日本では黒潮に乗って回遊します。

黒潮に乗って移動することが鰹にとって心地よく生活に都合がよいのでしょう。

どんどん北上していきますが秋の気配が近づいてきた頃、海温が低い親潮と出会うとUターンしてまた南下するという季節的な回遊をする魚です。

青森・岩手・宮城県にまたがる三陸海岸の沖あたりまで北上します。

北海道南部の沖まで北上する鰹もいるようです。水が冷たいのか日本海にはほとんど入らないそうです。

日本で戻り鰹と呼ばれるものは早い時期では8月中旬から、多くは月中旬から10月下旬に三陸沖から千葉の房総半島にかけて南下したものを戻り鰹と呼んでいます。

どの海域・時期で獲れたものを旬と呼ぶかはいろいろですが、漁の最盛期としては4月5月に獲れるものを初鰹8月中旬から9月下旬頃に三陸沖で漁獲された鰹を戻り鰹の旬と呼ぶことが多いようです。

さらに南下して10月下旬頃に千葉県沖の房総半島にかけて南下したものも漁の対象になります。

もともと鰹は暖かい海で生活します。

世界中の暖かい海で海流に乗ってえさを追いながら高速で泳ぎ回っています。

鰹漁は遠方まで獲りにいきます

鰹世界の漁場

静岡県:マルコ水産Webページより

日本で流通している鰹は近海ものだけでなく、赤道に近かい南方地域、インド洋や大西洋の赤道付近、南半球のニュージーランドに近いタスマン海域などで漁獲されています。

やはり捕獲された緯度や時期によって身の質に違いがあります。

戻り鰹と初鰹、味の違いは

戻りカツオは、7月~8月に三陸北部から北海道南部まで北上します。

この間、太平洋のプランクトンや小魚をたっぷり食べています。

南下を始めた頃は脂肪がのりきった濃厚な味わいになっています。

江戸っ子が高価であっさりした初鰹をありがたがっていた頃でも、食通の間では昔から珍重されていたということです。

初鰹を楽しもう

戻り鰹と初鰹のエネルギー・水分・たんぱく質・脂質量の違い

100g中 エネルギー(kcal) 水分(g) たんぱく質(g) 脂質(g)
春獲り 生 114 72.2 25.8 0.5
秋獲り 生 165 67.3 25.0 6.2

「春獲り」とある初鰹と「秋獲り」の戻り鰹では明らかに「脂がのっている」がわかりますね。

脂質の量が違うのでエネルギーも秋獲りの方が多くなっています。

どちらがおいしいかはもちろん好みによります。

トロガツオとはどんな鰹?

東北うまいもの市場:三陸戻り鰹より

脂質が多い秋獲りの鰹 戻り鰹をトロ鰹とも呼んでいます。

マグロのトロ・中トロ・大トロで希少価値が異なり、脂のノリによって値段も変わってくることにあやかってのことでしょう。

江戸っ子と違って現代人は脂のノリを重視、やせ我慢よりおいしいものが大事です。

鰹のたたきってどんな料理?

鰹をたたきに鰹のたたきは新鮮な鰹の鱗や内臓を取って5枚に下ろした、皮を付けたままの節を皮目を中心にさっと表面にだけ火を通したもの「たたき」と呼んでいます。

火力が強い稲わらで焼くのが一番いいそうです。が、今ではガスであぶるのが主流です。

焼いた後は熱が徐々に中に通ってしまわないように用意しておいた氷水に入れて、すぐ冷やすように習いましたっけ・・・

「たたき」と呼ぶ理由については諸説ありますが、私は皮目の香ばしさと水分が飛ぶことで若干でも「いたみ」が遅くなることが利点だと思っています。

塩たたきとは・・・

鰹塩たたき鰹の本場、高知ではたたきにした鰹を土佐醤油やポンスではなく、塩で味を付ける食べ方があるそうです。

薬味は好みに応じて、しょうがが定番の鰹ですが、わさびや柑橘果汁がおすすめとのこと。スライスにんにくも推奨されています。

これも新鮮な鰹が手に入るからこそ、シンプルな味付けが活きますね。

焼きたての暖かい鰹のたたきにさらにおいしい天日干しの海水塩と合わせれば、これが「ぜいたく」というものではないでしょうか。

鰹の土佐作りとは

皿鉢料理

土佐料理 司 高知本店Webページより 皿鉢料理

高知で食べる鰹のたたきは特に「土佐作り」と呼んでいて高知県の郷土料理となっています。

高知県の豪快な酒宴料理である「皿鉢(さわち)料理」にも鰹のたたきは入ります。

写真の皿鉢料理は祝いの席用で、手前に鰹の土佐作り(たたき)とその後ろには鰹の刺身がたっぷりと盛り込まれています。

【まとめ】戻り鰹の時期は9月中旬から10月下旬

鰹刺身

鰹の刺身

鰹の旬は春と秋の2回。春の初鰹はさっぱりとした味わい。秋の戻り鰹はえさの小いわしをたっぷり食べて脂がのり濃厚な味わいです。

海に囲まれた日本だからこその季節の味わい。季節の楽しみですね。

お読みいただきありがとうございました。

〈参考〉

小学館:新版食材図典

☆文中の食品名および栄養価は「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」「同 追補2016年」「同 追補2017年」「同 追補2018年」に準拠しています。

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

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管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。