水飴とは、実のところ原料はなに?

水飴の屋台

甘味料は砂糖以外にもいろいろとあり、どうやって作るのかわからないものもあります。

水飴もお祭りなどでおなじみですが、では、原料は?どうやって作っているの?と改めて聞かれても、「?」となります。

水飴についてみてみましょう。

水飴とはなに?

水飴

甘くて透明な水飴。

さて、改めて水飴の原料はなんだろうと聞かれても、砂糖のように「サトウキビ」とか「サトウダイコン」とか「ビート」とかと答えられません。

実は水飴は自然界にあるものから、直接しぼったり煮詰めたりしてできたものではありません。
水飴の原料は穀類やいも類です。
穀類やいも類を原料にしてでんぷんを作り、そのでんぷんを加工して作ります。

といっても、まだ、ピンときませんね。

水飴の製造方法は二つあります。

水飴の製造その1 酵素糖化飴

コーンスターチに含まれるでんぷんを「アミラーゼ」という酵素で分解して作ります。

ご飯をよく噛むと甘く感じるといいますが、それを工業的に行って作ります。

アミラーゼ

アミラーゼは発芽させた大麦などに含まれる分解酵素の一つです。
澱粉などの高分子の糖を分解して分子量の小さい糖にします。

生物界に広く分布していまて、私たちの唾液や膵液にも含まれていて消化を進めます。

麦芽に含まれているものはジアスターゼと呼んでいます。

微生物由来のものもあり澱粉工業に使用されています。

水飴の製造その2 酸糖化飴

酸と熱ででんぷんを分解して作ります。

でんぷんをシュウ酸で分解して、デキストリンとブドウ糖の混合物です。

分解させた糖化液は精製して水分が16%以下まで濃縮して製品にします。

食品成分の分類は「でんぷん糖類」

りんごあめ

りんごに温めた水あめをからませて固めたりんごあめ。

甘味料の種類は多岐にわたっていて、食品を製造する際

砂糖よりも

  • 安価な材料
  • 手に入りやすい材料
  • 加工しやすい材料

と、工夫を重ねて発展してきました。

食品成分表で「砂糖および甘味料」のページには何種類もの糖類があげられています。

成分表では固有名詞は出さないので、これはどういうものだろうと思う糖類がありますね。

成分表では(砂糖類)、(でんぷん糖類)、(その他)の三つに分けられています。

エネルギー(カロリ-)と無機質の中からと鉄を書きだしてみます。

食品名 100g当たり エネルギー kcal 鉄 mg
(砂糖類)
黒砂糖 356 4.7
和三盆糖 384 0.7
車糖
・上白糖 384 微量
・三温糖 383 0.1
ざらめ糖
・グラニュー糖 387 微量
・白ざら糖 387 微量
・中ざら糖 387 0.1
加工糖
・角砂糖 387 0.1
・氷砂糖 387 0.1
・コーヒーシュガー 387 0.2
・粉糖 386 0.2
液糖
・しょ糖型液糖 263 微量
・転化型液糖 296 微量
氷糖みつ 265 0.7
(でん粉糖類)
粉あめ 381 0.1
水あめ
・酵素糖化 328 0.1
・酸糖化 328 0.1
ぶどう糖
・全糖 335 0.1
・含水結晶 336 0.1
・無水結晶 367 0.1
果糖 368 微量
異性化液糖
・ぶどう糖果糖液糖 276 0.1
・果糖ぶどう糖液糖 276 0.1
・高果糖液糖 276 0.1
(その他)
黒蜜 199 2.6
はちみつ 303 0.2
メープルシロップ 257 0.4

長い表になってしまいましたが、砂糖や甘味料にはたくさんの種類があるといいうことをお示ししました。

さすが、原料を絞って煮詰めた黒砂糖、黒蜜にはミネラル分が多いですね。

水あめを含めて、甘味料にはこんなに種類があります。用途によって使い勝手の良い甘味料を開発してきたのでしょう。

水飴の用途は

水飴

割りばしにとって空気を含ませると白濁します。縁日の一コマです。

原料は穀類や芋類でありながら「天然甘味料」のくくりには入らない「水飴」はいろいろな利用方法があります。

  • 飴・キャンディー
  • 製菓
  • 製パン
  • ジャム
  • 佃煮

飴、キャンディーはともかく、本来は水飴を用いなくても作れる場合も、価格を下げる、粘土を出す、艶を出すなどの目的で水飴を加える場合があります。

水飴は甘味が穏やかでくせがないので、使いやすい甘味料です。

大学芋のたれにも少し水飴を加えると揚げたさつまいもにたれがしっかりつきますし、おいしそうな照りも出ます。

のどのトラブルに大根飴はいかがですか

私が子供のころ、気管支が弱かった叔母は冬になるとよく1㎝くらいの棒状に切った大根を水飴のビンに埋めて、出た汁を飲んでいました。

結構水分が出るんです。夜になるとその大根の汁を小さいコップに入れて飲んでいました。
大根はのどの痛みや咳止めの民間薬として知られていたようです。

また大根を足して、すっかり水分が抜けてしなびた大根は取り出して、健康なまわりの者が食べていましたね。

しばらく繰り返していると、水飴が緩んできて、そこまで行くとみんなでお湯で割って飲みました。

思い出の一コマとなっています。

すずまり

今のように情報が溢れているわけではない時代には健康情報はどうやって伝わったのでしょうか?

井戸端会議かな?

大根飴は水飴だけでなく「はちみつ」や「麦芽糖」でもおいしく作れます。

価格的に手軽に使うには水飴が良かったのでしょう。

大根については以下の記事をご参照ください。

「大根おろしに医者いらず」大根は脇役ながらの人気野菜

【まとめ】水飴とは穀類や芋類を加工した甘味料

穀類や芋類などのれっきとした農産物が原料でありながら、天然甘味料ではない「水飴」。

かつては庶民が口にできる甘いものは果物程度でした。

砂糖が作られるようになっても、高嶺の花でした。

そこでいろいろと工夫を重ねて今日まで来ています。

飴や砂糖の製造工程や歴史について紹介しているページがありますのでご紹介します。

飴と砂糖の話|農畜産業振興機構

神武天皇は水飴を皆にふるまえば天下は丸く収まるといったそうです。甘い物は今も昔も人々を笑顔にしますね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

〈参考〉

小学館:食材図典Ⅱ

成美堂出版:看護に役立つ栄養の基本がわかる事典

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。