味噌は日本の湿度と気温が生み出した麹菌(こうじきん)の働きにより、大豆を発酵させた調味料です。
日本での味噌汁が作られるようになったのは禅寺で、「ご飯と味噌汁」という価値ある組み合わせが生まれました。
大豆の栄養を更に進化させた味噌の栄養について考えていきます。
味噌の栄養

みそは 米麹や麦麹などの種麹(たねこうじ)が手に入れば家庭でも手軽に作れ、自分の家で作るものでした。手前味噌(てまえみそ)のことですね。
13世紀以降は一般にも広まり、梅干しとともにそのままご飯のおかずとして食べられていました。
味噌の原料の大豆は私たちに欠かすことのできないたんぱく質が豊富に含まれています。
しかし、大豆がどんなに良いものでも固くて手軽に食べることができません。その点でも味噌はすぐれた食品といえるでしょう。
大豆の栄養については以下の記事もご覧ください。
米味噌(甘味噌タイプ)
100g当たり | 味噌汁1杯(15g)あたり | |
エネルギー kcal | 217 | 33 |
たんぱく質 g | 9.7 | 1.5 |
脂質 g | 3.0 | 0.5 |
糖質 g | 0 | 0 |
カルシウム mg | 80 | 12 |
ビタミンB1 | 0.05 | 0.01 |
味噌の栄養は江戸時代からお墨付き

味噌は江戸時代から「滋養(じよう)がある」「毒を消す」「血のめぐりをよくする」などと言われてきました。
当時は科学的な裏付けはないものの経験上、そう思われてきたようです。
「畑の肉」と言われる大豆を原料にしている味噌の栄養価値はやはり“たんぱく質”です。
そして麹菌が出す酵素によって、たんぱく質はアミノ酸単体、あるいは数個(二つ以上)つながったペプチドにまで分解されているので消化がよくなっています。
栄養価値以外にも味噌汁を毎日飲む人は飲まない人に比べて胃がんが少ないという結果が出ています。
また、コレステロールの低下などの効果も注目されています。
更に味噌には体の老化を防ぐ効果があることがわかってきました。
これらは大豆が持つ成分によるものと考えられていますが、微生物が発酵によって、大豆に本来はなかった物質をつくり出しているのではと考えられています。
塩分に注意

味噌は本来は保存食です。塩分を強くして有害な微生物の繁殖を抑えるためにもある程度の塩を使いますが、昨今は塩分を控えたり減塩をうたっているものもありますので、上手に利用したいものです。
とはいえ、味噌汁1杯の塩分は約1.2g
また、食塩そのものより味噌からとる塩分のほうが健康への影響が少ないようです。
味噌汁をつくる場合は、野菜などの具だくさん味噌汁にすると野菜も採れます。
野菜をとるために味噌汁を作る
という発想がよいようです。
味噌の働き

味噌はいろいろな働きがあります。毎日の食生活の中で場面に応じて味噌の良さを利用しています。
- 油と相性がよい
- 生臭みを消す
- 保存性を高める
- たんぱく質を分解して柔らかくする
- コクをプラスする
- 香がよい
味噌の種類は麹と色で分類
味噌は原料の大豆に麹を塩で作るシンプルなもの。
ですが使う麹は三種類あり地方色を出しています。
米麹で作る味噌

米麹
国内生産量の80%を占めています。
種類が豊富で米麹の比率が高いものは甘味噌。低いものは辛味噌になります。
麦麹で作る味噌

麦麹
別名「田舎味噌」甘口の淡色、辛口の赤味噌があります。
麦特有の香りと、奥深い味わいが特徴です。九州地方でよく使われています。
豆に直接麹菌を付けて造る味噌

麹をつけた大豆
蒸し大豆に直接菌を付けて、塩と合わせて長期熟成させて造ります。
長期熟成の間に酸化されて、色も濃句なります。
濃厚なうま味と豆特有の香り、渋みがあります。
主産地は愛知、三重、岐阜です。
味噌を造っているところにお邪魔し見学させていただいたことがありますが、天井に届きそうな大きなタルに仕込み、石を積み上げて重しにしている様子は圧巻のひと言でした。
【まとめ】家康も具だくさん味噌汁を飲んでいた
大豆の良さを更にパワーアップさせ、手軽に使えるようにした味噌は、健康にも役立つ伝統食です。
日本型食生活にもなくてはならない味噌の栄養を見直して毎日の食卓に取り入れましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
〈参考〉
- 小学館:食材図典Ⅱ
- NHK出版:からだのための食材大全
- 群羊社:たべもの・食育図鑑
- 家の光協会:和の薬膳食材手帳
- ポプラ社:食べものの大常識
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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