みかんといえば温州みかん!そういう名前であることさえ知らずにいるほど「みかんといえば温州みかん!」です。
そのみかんは江戸時代初期に日本に伝わりました。
当初は武士の間で珍重されていたようですが、その後、庶民に広がりました。
皮がやわらかく手軽にむいて食べられるみかんは寒くなるにつれて甘みが強くなり、こたつでのんびりするときになくてはならないアイテムです。
昔からみかんの栄養は風邪の予防に大活躍してきました。
ビタミンCの他にもどんな成分があるのか、みてみましょう。
目次
みかんの栄養

袋ごとが「じょうのう」果肉だけが「さじょう」
生の温州みかんの皮をむいた可食部100g中の特徴ある栄養価は以下の通りです。
じょうのう(外の皮をむいた袋つきのもの)
- たんぱく質は 0.7g
- 脂質 0.1g
- 炭水化物 12.0g うち食物繊維は1.0g
- カリウム 150mg
- ビタミンA 1000マイクロ㌘ (ベーターカロテン当量)
- ビタミンC 32mg
砂じょう(袋ものぞいた果肉部分)
- たんぱく質は 0.7g
- 脂質 0.1g
- 炭水化物 11.5g うち食物繊維は0.4g
- カリウム 150mg
- ビタミンA 1100マイクロ㌘ (ベーターカロテン当量)
- ビタミンC 33mg
袋をのぞいた砂じょうでは食物繊維が少なくなっています。
栄養士業務になくてはならないものに「食品成分表」という文部科学省から出ているデーターがあります。出版社がこのデーターを使いやすい装丁の本にします。栄養計算をするときはこのデーターを使うのが決まりになっています。
その食品成分表ではみかんはかんきつ類の分類で温州みかんは以下のように細かく分けて記載されています。
うんしゅうみかん
じょうのう
- 早生 生
- 普通 生
砂じょう
- 早生 生
- 普通 生
果実飲料
- ストレートジュース
- 濃縮還元ジュース
- 果粒入りジュース
- 50%果汁入り飲料
- 20%果汁入り飲料
缶詰
- 果肉
- 液汁
こんなに細かく分けて書かれているということは、みかんがとても身近な果物だということの表れですね。
蛇足ですが「ジュース」と呼べるのは100%果汁のものだけなので、50% 20% のものは「果汁入り飲料」となります。
ストレートジュースは絞ったままのもの、濃縮還元ジュースは絞った果汁の水分を除いて濃縮し、容量を小さくして保存。出荷する前に水を加えて元の濃度に戻し還元したものです。みかんの最盛期にさばききれない程の収穫があったときに濃縮果汁にしておけば夏場にジュースにして出荷できるのでいつでもジュースがいただけます。
生食用だけでなく約20%がジュースや缶詰になるということです。
みかんの効果

抗酸化作用の強い色素 ベータークリプトキサンチンが豊富
果肉の黄色は色素のベータークリプトキサンチンで、カロテノイドの一種です。
カロテノイドは脂溶性の赤やオレンジ、黄色の色素成分です。ポリフェノールと並ぶ強い抗酸化力があります。
みかんにはオレンジの100倍のベータークリプトキサンチンが含まれています。
この成分は熱に強いのでジャムや缶詰からもとることができます。
ビタミンCが豊富
みかんはビタミンCの宝庫で、風邪の予防や美肌効果があることはよく知られていますね。
果物が少ない冬場に手軽にビタミンCが補給できるので毎日のように食べたいものです。
酸味はクエン酸
みかんの酸味はクエン酸です。クエン酸は血液をサラサラにする効果や疲労回復に効果があります。
白いスジにはヘスペリジンが
みかんは外側の皮をむいたら白いすじも食べた方がよいといわれます。白いスジにはフラボノイドの一種のヘスペリジンを含んでいます。毛細血管を強くする働きがある成分です。
袋にはペクチンが豊富
袋の部分には水溶性食物繊維のペクチンが多く、便通を整えたり、血糖値の上昇やコレステロールの吸収を抑える働きをします。
皮にはよい香りの精油成分があります

秋の運動会の頃は、みかんの出始めにも重なります。お昼の時間にどこかのおうちから持ってきたみかんをむく、いい香りが届きます。まだ甘みが少なく、酸味が強いみかんですがこの清々しい香りは秋の深まりを予感させる香りです。
みかんの皮の香りには気持ちを落ち着かせる作用があります。香りのもとは「リモネン」です。
このリモネンは気持ちをすっきりとさせ、脂肪の燃焼を促進してくれるといわれています。
乾燥させた皮をハンカチやガーゼに包んでバッグ
に入れておき、イライラしたときに香りをかぐとストレスの緩和になります。
皮は漢方薬 入浴剤にもなります

みかんの皮は漢方薬で「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれて重宝されています。
皮の成分には
- 気の巡りをよくして
- 胃の働きを活発にし
- 食欲不振を解消し
- 咳止めや痰(たん)を切る作用があります。
七味唐辛子にも使われていますね。
また、食べた後の皮を捨てないで乾燥させておくと入浴剤になります。ガーゼやふきんなどで包みお風呂に入れます。からだが芯から温まります。一回ごとに皮は取り替えましょう。
【まとめ】みかんの栄養は風邪予防に大活躍
みかんはビタミンCが多く風邪の予防に大活躍です。
きれいな色素はカロテノイドの一種、ベータークリプトキサンチンで強い抗酸化作用があります。
白いスジや袋には血管を丈夫にする成分が含まれているので一緒に食べるようにしましょう。
皮も漢方薬の生薬として使われています。家庭でも干して入浴剤に活用しましょう。
お読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
- NHK出版:からだのための食材大全
- 西東社:薬膳・漢方食材&食べ合わせ手帳
- 家の光協会:和の薬膳食材手帳
- 日本文芸社:栄養を知る事典
- ☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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