奈良時代以降、魚は「真菜」と呼ばれ「真のおかず」の扱いでした。
その中でも鯛は「魚の王様」でした。特に真鯛はすがたかたちの美しさ、クセのない味わいが愛されています。
真鯛はおめでたいときの魚としてちょっと近寄り難い雰囲気も・・・
真鯛の旬はいつなのかをはじめ、真鯛について書いてみました。
真鯛の旬 天然物の場合は秋から冬がおいしい
真鯛は季節を問わず、おめでたい席に登場しますので、旬をあまり意識しない魚ではないでしょうか。
真鯛は北海道から朝鮮半島、台湾、中国に分布します。沖縄周辺には、いないということです。
水深20~200㍍の大陸棚に住んでいます。

鯛の歯は強そうです
甲殻類、イカ類、貝類、ゴカイなどを食べています。そういえば歯が鋭いですね。肉食だったのですね。
産卵期は春から夏です。
産卵の前の鯛はおいしいのですが、産卵を終えた後は鯛も疲れて身がやせますので、味は期待できません。
春の産卵前の鯛は桜鯛と呼ぶそうです。
秋になりえさをたくさん食べた鯛は脂がのっておいしくなります。
11月頃からの鯛をもみじ鯛と呼びます。
真鯛の旬は11月頃から産卵が始まる前の3月くらいまでとなります。
真鯛の旬 養殖物の場合
真鯛は養殖も盛んです。
養殖の出荷量が多いのはトップは愛媛県でシェアは5割以上となっています。特に宇和島で盛んに行われています。
他に熊本県、高知県、三重県などで盛んです。
養殖では稚魚から出荷まで約20ヶ月かけるそうです。この間、年間を通して出荷できるようにいろいろと調整していますので、いつでもお祝い事に使えるということですね。
えさの配合やいけすで飼育する量、日光に当てる時間などを細かくこだわって、天然物と同じように仕上げるそうです。
ですから養殖の真鯛の旬は特になく、いつでも出荷できるように調整しているといえるでしょう。
増殖事業も盛んです
各地で稚魚(種苗という)を放流して沿岸域の鯛資源の増加をはかる増殖事業も活発に行われています。
真鯛のランク

日本人の魚の食べ方は古代からほとんど変わっていないといえますが、好まれる魚の種類は時代ごとに変化があります。
平安時代までは都の奈良や京都は海から遠く、また、保冷技術も発達していなかったので、海の魚より新鮮な川の魚が上等とされました。
中でも鯉(こい)が一番の魚とされました。
14~15世紀に鯛が魚の王様になりました。鯛の姿、形の美しさ。一年中おいしくてクセのない味わいが愛された結果です。
17世紀に日本の中心が江戸になり、魚も海のものが中心となってきました。
ここでもランクが高いとされたのが鯛、ヒラメなどの白身魚でした。
イワシやアジ、サバなどは庶民が食べる下品な魚とされました。
かつお、まぐろなどの赤身魚も好まれるようになりましたが、まぐろのトロなどはきらわれて、廃棄され足り、煮付けにされたりしたそうです。
鯛の語呂合わせ

「おめでたい」の語呂合わせ、長寿で多産、縁起のいい色、味の良さとその名前から、日本人の祝いの席に欠かせません。
七福神の恵比寿(えびす)が鯛を持つ姿もよく知られています。
春の鯛を「桜鯛」、秋の鯛を「もみじ鯛」と呼び、愛されているのもいつの時期にも追いしく食べることができるからでしょう。
真鯛の効能

鯛のからだの色はアスタキサンチンの色素によるものです。
頭や骨の部分にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やIPA(イコサペンタエン酸)が豊富です。かぶと煮やあら煮にするとおいしくいただけます。
昔は「お乳の出がよくなる」といわれていました。昔は産後、おかゆを食べていたそうなので、全体的に考えてもたんぱく質が足りなかったのかもしれませんね。
アミノ酸の一種のタウリンも豊富です。タウリンは血液中のコレステロールや中性脂肪を減らしたり、血圧をコントロールする作用があります。また肝機能を活性化させて疲労の回復などに働きます。
カリウムも豊富なのでナトリウムの排泄をうながすことで血圧を下げる作用に働きます。
【まとめ】

鯛はお祝いの席に欠かせない魚で、一年中需要がありますが、天然物は産卵期から回復した秋11月頃から産卵の前までの3月頃までがおいしいとされています。
養殖も盛んに行われています。
春の鯛を桜鯛、秋の鯛をもみじ鯛と呼んでいます。
「おめでたい」に通じる名前、きれいな色、美しい形、クセのない味が「魚の王様」とされて、親しまれ愛されています。
お読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
- 小学館:新版食材図典
- NHK出版:からだのための食材大全
- 西東社:薬膳・漢方食材&食べ合わせ手帳
- 家の光協会:和の薬膳食材手帳
- ポプラ社:食べももの大常識
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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