黒豆といえば正月に欠かせない、お節料理の定番です。甘く炊き上げた黒豆は黒光りしていて、いかにも体によさそうです。
黄色いダイズとは別の品種かと思いきや、黒豆はダイズと同じマメ科ダイズ属です。
食品成分表を見ると黒豆の栄養はダイズとほぼ同じです。ならば、どこがちがうのでしょう?
目次
黒豆の栄養はダイズとほぼ同じ

ダイズはでんぷん質を含まない、たんぱく質たっぷりの豆です。それだけでなく脂質もありミネラルも豊富です。
ビタミン類もしっかり含まれていて、ビタミンC以外は何でもそろうともいわれています。
ダイズは「畑の肉」
「畑の肉」といわれるダイズは、良質なたんぱく質とビタミンB群が豊富です。
ミネラル類もカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄がたっぷりです。
更に食物繊維も多く含まれています。
和食の基本となるしょうゆ、みそ、納豆、豆腐などの原料としてなくてはなりません。日本人の体を作ってきたといってもよい食材です。
ダイズは栄養以外の機能成分にも注目が集まっています。
- コレステロールの上昇を抑えるレシチン
- 抗酸化作用があるサポニン
- 骨粗しょう症の予防効果があるイソフラボン
- 腸内環境を整えるオリゴ糖
など、期待が寄せられている成分を多く含みます。
ダイズは生活習慣病を予防する強い味方といえます。
ダイスの栄養については以下の記事をご参照ください。
実際に黒豆とダイズ、参考までにアズキも比べてみましょう。
乾燥したもの 100g | 黒豆 | ダイズ | アズキ |
エネルギー(カロリー) | 414 | 422 | 343 |
たんぱく質(g) | 33.9 | 33.8 | 20.8 |
脂質(g) | 18.1 | 19.7 | 2.0 |
※糖質(g) | 8.6 | 7.0 | 46.5 |
食物繊維(g) | 16.0 | 21.5 | 24.8 |
カリウム(mg) | 1800 | 1900 | 1300 |
カルシウム(mg) | 190 | 180 | 70 |
鉄(mg) | 5.7 | 6.8 | 5.5 |
βカロテン(μg) | 30 | 7 | 8 |
※糖質は炭水化物の中で、食物繊維を除いた、でん粉、ぶどう糖、果糖、しょ糖などカロリーとして利用できる数値です。
やはり黒豆とダイズはカロリーをはじめとして、糖質、たんぱく質、脂質の三大栄養素に大きな違いが見られませんでした。
お汁粉やあんを作るアズキはたんぱく質は20gほどあるものの、脂質が少なく、糖質が多いですね。アズキの糖質はほとんどがでんぷんです。でんぷんがあるので「あん」が作れます。
対して黒豆もダイズも、ほとんど糖質がありませんのであんを作ることができません。
大きくちがっていたのがβ(ベーター)カロテンです。
黒豆の特徴はβ(ベーター)カロテン

黒豆の三大栄養素はダイズとほぼ変らずでしたが、β-カロテンがたっぷり♪
β-カロテンは抗酸化作用が強いことに加え、必要に応じてビタミンAにかわります。
β-カロテンについては以下の記事をご覧ください。
活性酸素をなかったことにするファイトケミカルを解説!その抗酸化作用は?
黒い色素はアントシアニン
食品の分析技術があがって、各種栄養素以外にも生体のバランス維持や病気の予防に役立つ機能を持った成分が注目されています。
黒豆を煮ると黒い色素が溶け出して、煮汁が真っ黒になります。
黒豆の色素は水溶性のアントシアニン。
アントシアニンには赤や紫、青の水溶性の色素成分で、いろいろな種類があります。
抗酸化作用や視力を守る働きなどが期待されています。
アントシアニンについては以下の記事もご覧ください。
今も正月には欠かせない黒豆

昨今はお節料理は豪華な重箱に盛りつけられたものを、早くから予約して受け取る方が多いようで、様々なところから豪華なパンフレットが出ています。
ですが、お雑煮と祝い肴(いわいざかな)と、お屠蘇(とそ)があれば、立派にお正月が迎えられます。
祝い肴は海のものと山のものを合わせます。陽の数である三種はそろえます。
一般的には黒豆、数の子、田作りの三種です。地域によって多少入れ替わるようですが、黒豆はレギュラーといえます。
黒豆はまめまめしく働けるように
数の子は子孫繁栄
田作りはイワシの稚魚をから煎りして甘辛く味付けしたものです。たくさん獲れたので田んぼの肥料にしたところから豊作の願いが込められています。
五目豆やぶどう豆といったダイズを柔らかく煮た煮豆があるのに、お正月は黒豆を指名するところに、昔の人の知恵が詰まっていると感じます。
数の子と田作りについては以下の記事もご覧ください。
【まとめ】黒豆は黒い色素に価値がある

黒豆茶
黒豆のカロリーやたんぱく質、脂質は黄色いダイズとほぼ同じでした。
ですが、特徴的な黒い色素に価値があります。色素の名はアントシアニンです。
機能成分として注目されているアントシアニンは、たくさんあるポリフェノールの一種です。
現代までお節料理に欠かせないものとして受け継がれている黒豆。
昔の人は黒豆の色の力を知っていたと思うと改めてすごい!と思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
〈参考〉
高橋書店:あたらしい栄養学
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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