「万葉集」の時代にすでに「~秋の香(か)のよさ」と、きのこの香りをたたえる歌があるそうで、日本では古くからきのこを好んで食べてきました。
きのこは健康志向の高まりから、低エネルギーで食物繊維を含む食品として注目を集めています。
今日、しいたけ、ぶなしめじ、えのきだけ、まいたけなど大量に栽培されていて一年を通して手軽に楽しめます。
そこで、きのこの種類で異なる栄養と効果をみていきたいと思います。
しいたけの栄養と効果

- 食物繊維は血中のコレステロールの上昇を抑えます。
- レンチナンは高い免疫機能がある多糖類で抗腫瘍の効果があるとされています
- エリタデニンは血中コレステロール値を下げ、血流をスムーズにさせます。また活性酸素の働きを抑制します
- ビタミンDが骨を強くします
- エルゴステロールは光でビタミンDに変わり、骨を強くします。
- カリウムが豊富です
ビタミンDについては干ししいたけになると生のときの10倍に増えます。
しいたけについてはこちらもご覧ください↓
まいたけの栄養と効果

- 強い抗がん作用があることが分かってきました
- 他のきのこと構造がちがうβ(ベーター)グルカンがあり、腫瘍の増殖を押えることがわかってきました
- まいたけ特有のβ-グルカンはMDフラクションと名付けられています
- ナイアシンが多く含まれています
- ビタミンD2に変わるエルゴステロールを含有。骨や歯を丈夫にします
まいたけについては以下の記事もご覧ください
しめじの栄養と効果

- カルシウムの吸収をよくするエルゴステロールを多く含んでいます
- エネルギー代謝に関わるビタミンB2を多く含んでいます
- 肝臓の代謝機能を高めたり成長ホルモンの分泌に関わるオルニチンが多く含まれています
- 歯ごたえがよくどんな料理にも合います
しめじについては以下の記事もご参照ください
えのきたけの栄養と効果

- えのきたけに含まれる食物繊維の一種のキノコキトサンは腸内で善玉菌を増やしたり、有害物質を吸着して排泄する働きがあります
- えのきたけに含まれるEA6という糖たんぱく質成分ががん抑制効果があるという報告があります
- 煮るとぬめりが出てなめこと似るので「なめたけ」とも呼ばれます
- 副交感神経の働きを高めるGABAとストレスに強くなるパントテン酸が含まれて、リラックスして穏やかな気持ちになれる効果があります
なお、参考図書によって「えのきたけ」と「えのきだけ」の記述がありますが、食品成分表の記載にならい「えのきたけ」としてあります
エリンギの栄養と効果

- β-グルカンが免疫力を活性化させる効果があり、アレルギーの予防や改善効果が期待されています
- エリンギの効果は直接、腸に働きかけるので空腹時に食べるとよいそうです
- ヨーロッパ原産のキノコで日本では1993年に栽培が始まりました。
- 歯触りがよくクセがないので急速に普及しました。
エリンギはカサが減ることがすくないので、料理したものは存在感がありますね。
きくらげの栄養と効果

- 食物繊維がたっぷりで整腸作用があります
- 近年、国産の生きくらげが出回るようになりました。乾燥品より生の方が弾力があります
- カルシウムが多く含まれています
- ビタミンDも含まれ、カルシウムの吸収率を高めます
味に個性はありませんが他のきのこにないコリコリとした歯触りがあります。きくらげは食感が大切なきのこです。
なめこの栄養と効果

- なめこ特有のヌメリは粘膜の保護をする働きがあります。
- なめこにはコンドロイチン硫酸が微量ながら含まれていて、肌に弾力を与えたり、関節をスムーズに動かす効果が期待されています。
なめこについては以下の記事もご覧ください↓
なめこの味噌汁はお好きですか? なめこはやっぱり味噌汁ですよ
マッシュルームの栄養と効果

- 水溶性ビタミンのパントテン酸を含んでいて糖質や脂質の代謝を補助しています
- 善玉コレステロールの生成を促しています
- コロンとしてかわいいカサを持つヨーロッパ原産のきのこで、世界一の生産量を誇ります。
- 茶色種と白色種があり、日本では白い方が多く出回っています。
まつたけの栄養と効果

- 日本のきのこの王様です。
- 香り高い松茸は栽培が難しく国産品の流通量は少ないため、毎年高値で取引されます。
- まつたけの香り成分は「マツタケオール」と「桂皮酸メチル」で食欲増進や消化酵素の分泌を促す効果があります。
- 近年、中国、カナダ、アメリカ、トルコ、フィンランドなどからの輸入が増えています。
- 輸入品は収穫から時間が経っていることと、検疫で洗浄しなければならないため、香りが弱まってしまいがちです。
やはりまつたけの香りは国産品が最高ですが、香りを堪能することは難しいですね。
トリュフの栄養と効果

- 黒いダイヤと呼ばれる高級食材です
- 通常のきのことは形が違い、カサ、ひだ、柄がなく、ゆがんだかたまり状になっています
- 成長ホルモンに働きかけて細胞を活性化させて潤いを保ちます
- トリュフ入りのシャンプーやオイルもあります
- 消化を助けるアミラーゼが含まれていて、でんぷんを分解する働きがあるため、パスタやパンなどと相性がよい食材です
- キャビア、フォアグラと並ぶ世界三大珍味と言われます
- フランス産の黒トリュフ、イタリア産の白トリュフが特に珍重されています
トリュフは土中にあるため人の目ではなかなか探せません。そこで豚や訓練された犬に探させます。
豚はトリュフが大好物だそうです。見つけるともちろん食べようとしますので、取り合いになることもあるとか。まつたけ同様収穫が大変です。
【まとめ】きのこの抗酸化作用、抗がん作用が研究されています
木の根元に生えるから「きのこ」と呼ばれてきましたが、いくつかのきのこは衛生的に菌床栽培されて通年流通しています。
価格も手ごろなので食物繊維と抗酸化作用を期待して食卓にのせることができますね。
逆に今もって栽培が難しいきのこもあります。
料理にきのこが入ると歯ごたえと味がアップしますね。
年間を通して食べられるきのこですが、秋にはきのこを何種類かたっぷり入れた「きのこ汁」を楽しみましょう。
お読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
NHK出版:からだのための食材大全
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
コメントを残す