かぼちゃは不思議なところがある野菜です。
盛夏の太陽を浴びて大きくなるのに、脚光を浴びるのは冬至の頃。
きれいなビタミンカラーの持ち主で色の濃い野菜なのに、エネルギー源にもなる。
いったいかぼちゃとどう付き合えばいいのか!?
いえいえ、悩むところではありません。カボチャの栄養特性と簡単な扱い方を考えてみましょう。
目次
かぼちゃの栄養

彩り鮮やかなビタミンカラーの野菜写真にはよくかぼちゃが登場します。
かぼちゃの皮は緑ですが中はきれいなオレンジ色。このオレンジに優れた特性があります。
カロテンを多量に含みビタミンB1・B2・Cが豊富でさらにエネルギーも高い野菜です。
100g中のエネルギーは
- 西洋かぼちゃ91kcal
- じゃがいもは76kcal
ですから十分なエネルギー源です。
さらに西洋かぼちゃのカロテン含有量は4000㎍(マイクロ㌘)と緑黄色野菜として立派な数字です。
カロテンは体内でビタミンAに変わります。
ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ち、細菌への抵抗力をつけるなど健康に欠かせない栄養素です。
ビタミンCもあります。100g 43mgあり、トマトやみかん1個半相当です。
このかぼちゃのビタミンCはでんぷんに守られているので加熱しても壊れにくいという利点があります。じゃがいも、さつまいもと同じです。
じゃがいものビタミンCはほうれん草と同等!航海や越冬食に必須の食品
レンジ加熱で手軽に使いましょう
かぼちゃは丸のままだと、まず二つに切るのが結構大変です。
十代の若い頃、まず二つに切ろうと「へた」の上から包丁を入れたら、どうにもならなくなり、困ったことがありました。
給食施設などでは数分ゆでると包丁が入りやすくなることから、軽くゆでますが、家庭ではレンジにかけてもよいかと思います。
また、スーパーでは半分、四分の一・角切り・薄切りにしたものが売られています。
ちょっと割高になりますが、手軽に回数多く利用するにはこのような切ったものを利用するのもよいと思います。
私は8mm位に薄く切ってから2分ほどレンジにかけていろいろな夏野菜の炒め物を作っています。
オイスターソースで味付けしていただくことが多いですね。
また、冷凍のかぼちゃもおいしい時期に商品化するためか、おいしく使いやすいと思います。
栄養たっぷりのかぼちゃを気軽に利用したいですね。
冬至にかぼちゃはなぜ

かぼちゃのいとこ煮
昔から「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」「中風(ちゅうふう)にならない」と伝えられています。
学校や保育園の給食でも冬至の頃に献立に入れて食育の教材にしています。
冬場には緑黄色野菜が少なくなりビタミン類の貴重な給源だった背景と優れた栄養面や機能性をしっかり評価していたからですね。
保存した方がおいしくなります

夏野菜のかぼちゃは堅い皮に守られているので、切らない限り常温で保管できます。
先人は冬至に食べるから、それまで保存して大事に食べるようにという教えがあると思います。
不思議なことに夏に収穫したかぼちゃも冬至の頃まではおいしく食べられます。
むしろ貯蔵中に熟成してでんぷんが糖と水に分解されて甘みが増し、粘質になりおいしくなるそうです。
でんぷんと糖の量が同じくらいになると果肉は赤みを帯びた黄色になり、もっともおいしい時期になります。
この時期を越すと今度は水分が急に多くなって、俗に言う「水かぼちゃ」になり味が落ちてしまいます。
上手に保管しても正月を越す頃には保存も限度を迎えるということですね。
それもあり、大事に食べていくけれども、冬至の頃には食べきってしまえという教えも入っているそうです。これは北海道出身の姑に聞きました。
かぼちゃは夏野菜。でも1年中食べられます

かぼちゃの旬は6月から9月。夏野菜です。この夏のかぼちゃは暮れまでは食べられます。
でも、現在は年中出回っています。
これは国内の端境期にメキシコやニュージーランド、トンガなどからの輸入が増えたからです。
近年は供給量の4割を輸入かぼちゃが占めています。
外国産かぼちゃも日本の種が使われていて、初めから日本向けに栽培されています。
かぼちゃの種類
かぼちゃは見かけによらず、きゅうりなどと同じウリ科の植物です。
種類は
- 日本かぼちゃ
- 西洋かぼちゃ
- ペポかぼちゃ
の三つに大きく分けられます。現在出回っているものはほとんどが西洋かぼちゃです。
日本かぼちゃ
大きさ・かたちがいろいろあります。地方品種が多数あります。
代表的なものは溝がくっきりした黒皮や菊座です。
一般的に水分が多く、ねっとりした食感です。甘みは少ないのが特徴です。
西洋かぼちゃ
19世紀に渡来しました。北海道を中心に作られています。
黒皮・青皮・赤皮などがあります。いずれも栗のような粉質でホクホクとして甘みがあります。
ペポかぼちゃ
19世紀末に中国から渡来しました。
そうめんかぼちゃがよく知られています。
最近はイタリア料理によく使うズッキーニも普及しています。
ペポかぼちゃは変わった形が多く、味が淡泊なので、他の食材と合わせてもおいしくいただけます。
観賞用にするものもあります。
そうめんかぼちゃの食べ方

そうめんかぼちゃ タキイの種より
皮も果肉もきれいな黄色のそうめんかぼちゃ。出先の物産展などで買ってきて、さて、どうやって食べるんだっけ?となったことがありました。
そうめんかぼちゃは完熟したものをゆでると果肉がそうめんのようにほぐれます。これを酢の物や和え物にしていただきます。
黄色の糸状にほぐれるので「金糸瓜」とも呼びます。きれいな名前ですね。
食べ方は
- 上下を切り落として、5㎝ほどの輪切りにする。鍋に入るように半割にしてもOKです。
- たっぷりの塩湯で5分ほどゆでます。
- 皮の方から竹串を刺して、堅くても通れば火を止めて水冷します。
- スプーンでかき出すようにほぐします。
- 冷やしてから好みの味付けでいただきます。
かぼちゃのワタはスイカの実と同じ!
切ったかぼちゃはワタをつけたままだといたみが早いと聞きました。
このワタは胎座(たいざ)といい、よく見ると一つの種から1本の細い糸がついていて果肉とつながっています。
へその緒のようですね。このワタ、実は栄養がたっぷりだそうです。
同じ構造で胎座があるものが「すいか」です。普段食べている赤い実のところが胎座です。
かぼちゃの種も栄養たっぷりです
かぼちゃの種はカロテン、ビタミンB群・E、ミネラル、脂肪分が含まれます。
特に必須脂肪酸のリノール酸が多く含まれています。
パンプキンシードの名で流通していますが、漢方では「南京仁」と呼ばれて、疲労回復や強壮の効能があるといわれています。
捨てずにから煎りして殻を割って、おいしくいただけます。
【まとめ】かぼちゃの栄養特性は緑黄色野菜とエネルギーを併せ持つところ
かぼちゃは色の濃い野菜に分類される緑黄色野菜です。
外側と断面の色はどちらもビタミンカラーです。
ビタミンAに変わるカロテン、ビタミンB群、ビタミンCがたっぷりです。
ですが炭水化物もじゃがいも並みにあります。サラダなどに加えると食べ応えのある1品になりますね。
かぼちゃは夏野菜でありながら、冬至の行事食になくてはならない野菜です。
昔からかぼちゃの効用が知られていたのですね。
栄養たっぷりのかぼちゃを気軽に利用していきましょう。
お読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
- 群羊社:たべもの・食育図鑑
- 小学館:新版食材図典
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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