ジビエのE型肝炎に注意しよう。ジビエの安全・安心を考える

野生のシカ

 

2019年6月10日夕方、ジビエについてのショックなニュースがありました。

ジビエを食材として食べたことによるE型肝炎が都内で多発しているというのです。

ジビエのなにが肝炎を招いたのでしょうか。

また、E型肝炎とはどんな病気なのでしょう。ジビエのE型肝炎に注意し、防ぐ方法も合わせて考えてみました。

 

 

ジビエのE型肝炎の調査はいつから

都の患者報告数は「感染症発生動向調査」が始まった1999年から調査、記録されています。

今年はすでに過去最多だった去年、2018年を上回る患者数とのことです。

都内で食べたものだけではなく、中国など海外で感染したケースもあるようです。

 

 

ジビエによるE型肝炎はどんな病気か

ジビエ料理

E型肝炎はウイルスが原因の急性肝炎です。

ウイルスに汚染された食べものや水を摂取することで発症します。

15日から50日の潜伏期間の後、腹痛や食欲不振などの消化管症状を伴う肝炎を発症します。

野生のシカやイノシシなどを生のままや加熱が不十分な状態でウイルスが死滅していないと感染源となります。

以下国立感染症研究所の記事からお伝えします。

国立感染症研究所から

E型肝炎は、従来、経口伝播型非A非B型肝炎とよばれてきたウイルス性の急性肝炎で、その 病原体はE型肝炎ウイルス(HEV)である。

E型肝炎の致死率はA型肝炎の10倍といわれ、妊婦では実に20%に達することがある。

また、日本、ヨーロッパ諸国、北米大陸においては非A非B 肝炎といえばC型肝炎を意味するが、発展途上国では事情が異なり、大部分はE型肝炎である といわれる。

E型肝炎はアメリカ、日本、ヨーロッパ等の先進各国では散発的に発生し、その大半は輸入感染症と考えられてきた。

しかし最近、アメリカ、日本において全く渡航歴の無いE型急性肝炎患者がみつかるようになってきたことから、従来、非流行地と思われる地域にもHEVは既に土着していると考えられる。

わが国でも、イノシシの生レバーの摂食が原因と見られる急性型肝炎での死亡例が報告されるなど、これまでに動物由来のHEVがヒトに感染することを間接的に証明する症例がいくつか報告されている。

市販の豚レバーを調べた結果、1.9%からHEV遺伝子が検出され、さらに10人のE型肝炎患者について豚レバーの摂取歴を調べたところ、発症の2〜8週間前に9人の患者が生豚レバー、あるいは加熱不十分の豚レバーを食べたことがあると答えている。

また、野生のシカ肉を生で食べた4人がE型肝炎を発症したことが報告され、患者血清と残存したシカ肉から、ほぼ同じ配列を持つG3の遺伝子が検出されている。

これは、 動物からヒトに感染することが直接証明された初めて症例でもある。

このように、E型肝炎が人獣共感染症である可能性が強く示唆されている。しかし、シカの 抗体保有率やHEV保有状況などはまったく把握されておらず、感染状態は依然として不透明である。

 

東京都福祉保健局からの記事もご覧ください。

東京都福祉保健局 ~知っていますか?ジビエ料理~

 

 

ジビエのE型肝炎に限らず生肉・生レバーは絶対にダメ!!

以上の記事から、生肉、生レバーは絶対に食べてはいけないことがわかります。

よく「すりおろしたにんにくと食べると毒消しになる」「生の方が体によい」などといわれますが、肝炎にかかっては元も子もありません。

 

すずまり

生肉、生レバーは絶対に食べちゃダメ!!

 

 

E型肝炎ウイルスについて

東京都福祉保健局の「食品衛生の窓」でもE型肝炎についての注意喚起が出ていました。

 

ウイルスの特徴は

→E型肝炎は、E型肝炎ウイルスによる急性ウイルス性肝炎です。このウイルスは、肝臓で増殖し糞便中に排出され、食品中では増殖しません。

どんな食品が原因となりますか

→E型肝炎の常在地域では、水が主な感染経路と考えられています。
国内では、ブタ、イノシシ及びシカなどから抗体が検出されており、これらの食肉及び内臓の生食、または加熱不十分での喫食(きっしょく)が原因となる恐れがあります。

どんな症状ですか

→潜伏期間は3~8 週間(平均 6 週間)です。発熱、吐き気、腹痛、黄疸、肝腫大などの症状が出ます。特に妊婦では劇症化しやすいため、注意が必要です。

 

 

東京都では飲食店向けリーフレットを作っています

以下に東京都福祉保健局が作った飲食店向けリーフレットをご紹介します。

ジビエのリーフレット表面 都のジビエリーフレット裏面

イノシシやシカなどの野生鳥獣は、牛や豚など飼養方法が管理された家畜と異なり、寄生虫やE型肝炎ウイルスを保有している可能性があります。 また、家畜と異なり、食用に解体する時に病気の有無等の検査が義務づけられておらず、 これらの動物由来の肉は、食品衛生上のリスクが高い食品といえます。 このため、国は平成26年11月に「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」 を策定しました。 このリーフレットでは、ガイドラインのうち、飲食店の皆様に守っていただく主なポイン トについて説明します。

 

ポイント1  ジビエは信頼できるところから仕入れましょう!

  •  食肉処理業の許可を受けた施設で解体されたものを仕入れましょう。
  •  狩猟の状況や、食肉処理に関する情報を仕入れ先からもらいましょう。

ポイント2 ジビエの衛生管理を徹底しましょう!

  •  臭いや味、異物の付着等の異常がないか確認しましょう。
  • 異常があった場合には、取り扱いを中止し、仕入れ先に連絡しましょう。
  • ジビエの調理・加工に使用したまな板などの器具や食器は、処理終了ごとに洗浄、83℃ 以上の温湯又は 200ppm 以上の次亜塩素酸ナトリウム等による殺菌をしましょう。
  •  他の家畜の食肉と区別して、10℃以下で保存しましょう。

ポイント3  ジビエは必ず加熱して提供しましょう!

  •  生または加熱不十分な野生のシカ肉やイノシシ肉を食べると、E 型肝炎や腸管出血性 大腸菌症の食中毒のリスクがあるほか、寄生虫の感染も知られています。
  • ・中心部まで火が通るようしっかり加熱し、生食での提供は絶対にやめましょう。

 

 

飲食店で生肉を提供することは法律違反です

平成27年6月より食品衛生法に基づき、豚の肉や内臓を生食用として販売・提供することが禁止されました。

尊い命が生肉・生レバーによって失われたことからできた法律です。

「生だから体によい」ということはありません。

「加熱しすぎると味が落ちる」としても、人命と天秤にかけるわけにはいきません。

今後、加熱不十分な肉やレバーを食べての感染症が起きないことを願っています。

 

 

安全にジビエを楽しみましょう

イノシシ

手塩にかけて育てた農作物を収穫目前にシカやイノシシに荒らされたのではたまりません。被害額もかなりな額に上ります。

近年、鳥獣被害が増えるにつれて、「駆除」としてシカやイノシシを捕獲しています。

ですが、駆除として命を奪うのは、やはり猟をする方の心に堪えるそうです。

そのこともあり、駆除した動物をだた山野に廃棄するのではなく、命を無駄にしないで食肉として「いただく」ことで有効活用を図る仕組みが考え出されています。

それがここ数年のジビエレストランなどです。

私もシカの肉をいただく機会が数回ありました。

このシカはどこの山野を飛び回っていたのだろう。どんなものを食べていたのだろう。「里に下りて来なければ・・・」と考えながら味わいました。

 

 

【まとめ】ジビエからのE型肝炎が増えています

シカ肉

近年、街ではジビエを提供するレストランが増えてきました。

鳥獣被害対策としての色合いも強いジビエ料理です。人と鳥獣の良好な関係のためにもジビエは適正に楽しみたいものです。

ジビエによるE型肝炎などの発症は残念としか言いようがありません。

ジビエ料理は十分に加熱して食べましょう。

しっかりと加熱したものは安心して食べられます。

駆除した命を大切に味わいましょう。

 

お読みいただきありがとうございました。

☆管理栄養士asariが書きました。

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管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。