こんなに家が建ち並ぶ前はちょっとした空き地や家の裏に無花果が植わっていたものです。
そして特に手入れをしなくても時期になるといくつかは収穫できて、甘い無花果を味わったものです。今では大きく熟した無花果がスーパーに並び、子供の頃を思い出して購入することも・・・
他の果実にはない舌触りの無花果-いちじく-の栄養と旬の時期についてみていきましょう。
無花果の栄養は
無花果の100g中の栄養は
- エネルギーは54㎉
- 炭水化物143
- うち食物繊維1.9g
- 食物繊維のうち水溶性が0.7g
- 不溶性が1.2g
- カリウム170mg
- カルシウム26mg です。
水溶性食物繊維のペクチンが特徴です。
無花果にはペクチンがいっぱい

熟した無花果(いちじく)はそのままでもゼリーのような舌触りがあります。
これはペクチンです。
ペクチンは食物に含まれる水溶性食物繊維です。
酸や砂糖とともに加熱するとゼリー状に固まります。増粘安定剤として食品添加物に使われています。
多くの単糖が結合したもので「非でん粉性多糖類」と分類されます。ペクチンは植物の細胞壁にあります。
消化されない食物繊維ですので腸内で消化されずに腸内の有害物質を排泄します。
また、下痢の時には腸内のビフィズス菌などの善玉菌を増殖させます。
ペクチンは下痢にも便秘にも有効です。
花がつかないのに実が大きくなる不思議

アラビア半島南部から小アジア起源の落葉低木です。
果実は内側に多数の白い小花を密生した花托(かたく 花がつく部分)がつぼ状に肥大発育しています。
外側からは花が見えず、しかし果実が発育するため「無花果」の字があてられています。
実が採れる旬は夏と秋
夏果と秋果があります。
夏果は前年、枝に着生した幼果が越冬して7月頃に熟します。
秋果はその年に出た枝にでき、8月から9月頃に熟します。
日本では受粉しなくても果実が発育する普通系の品種のみが栽培されています。
無花果の渡来と品種

アダムとイブの時代から知られていた無花果。
日本には寛永年間(1624~44年)にポルトガル人によって伝えられました。蓬莱柿(ほうらいし)という中国原産の無花果でした。
現在は蓬莱柿を在来種として「日本いちじく」と呼ぶことがあります。
先が裂けやすいので地元消費が主でしたが、流通方法が改善されてきた現在甘みが強い品種として、また、生産量が少ない希少性から価値が見直されてきている蓬莱柿です。
今日では1909年(明治42年)導入の夏果・秋果兼用の品種「桝井(ますい)ドーフィン」が主となり全栽培の75%ほどを占めています。
このほかに
- 黄緑色に熟し夏果・秋果兼用で、ドライ無花果にも向くカドタ
- 大きく熟すビオレ・ドーフィン
- 欧米に多いブラウンターキー
- 秋果用で小粒、味がよいセレスト などがあります
愛知県・和歌山県・福岡県などで年間1.7万㌧余り生産されています。
【まとめ】無花果はペクチンの宝庫
花が外から見えない無花果-いちじくは水溶性食物繊維のペクチンが豊富で腸内環境を整えてくれます。
その結果血糖値の急激な上昇を抑えたりとうれしい効用があります。
夏と秋に旬をむかる無花果-いちじくで季節を感じてみましょうか。
お読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
- 小学館:新版食材図典
- 高橋書店:あたらしい栄養学
- 西東社:薬膳・漢方食材&食べ合わせ手帳
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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