お屠蘇(とそ)といえばみりんを連想します。
和風の煮物にも大活躍のみりん。
みりんには「本みりん」や「みりん風調味料」「発酵調味料」と似たような商品が並んでいて、違いが気になります。
今でこそ、みりんは料理に使う調味料として台所にありますが、戦国時代まではみりんは高級酒として珍重されていたようです。
今でも「本みりん」を売るのは酒類販売の免許が必要です。
本みりんは酒の仲間です。本みりんをはじめ、みりんについて見ていきましょう。
本みりんは酒の仲間です

米、米麹(こうじ)、焼酎または醸造用アルコールを使って作る(れっきとした)酒類です。
蒸したもち米と米麹、焼酎(または醸造用アルコール)をかき混ぜてもろみをつくり、かきまぜながら約90日間、寝かせてつくります。
日本では古くから甘味調味料として利用されてきました。
本みりんの特徴
糖分
みりんの糖分はブドウ糖が主体なので砂糖よりも食品への浸透性があります。
【ブドウ糖】
ブドウ糖(グルコース)単体で存在している最小単位の糖で単糖といいます
【砂糖】
砂糖はブドウ糖と果糖の二つの単糖が結合したもので、二糖類といいます。
微酸性
本みりんにはアミノ酸が含まれていて、それがうま味成分となります。
アミノ酸があるので微酸性です。
アルコール分
アルコール分は約14%あります。
日本酒のアルコール分が15~16%ですから、みりんのアルコールの強さもなかなかなものです。

酒類を販売するには免許が必要です。
みりんもアルコール度数が14度もある立派な酒類。以前は本みりんは酒屋さんでしか買えませんでした。
今、スーパーでも手に入るようになったのは、酒類販売の規制緩和により酒の小売がしやすくなったからです。
発酵(醸造)調味料はみりんに塩を入れたもの

発酵調味料、あるいは醸造調理料として流通しているこちらの調味料は、みりんと同様につくられます。
違う点はつくる過程で食塩を添加していることです。
食塩を添加することで、飲用に適さないと見なされます。
上の写真でも左の方に「本品は酒税法上の酒類に含まれません」とあります。
そもそもは昭和30年代頃、水産練り製品としてスケトウダラが用いられるようになり、スケトウダラ特有のにおいを消すためにみりん同様の発酵調味料、醸造調理料が注目されました。
みりん同様、きれいな焼き色、つや出し効果などを備えています。
みりん風調味料もあります

みりんと同様に使うものにみりん風調味料があります。
アルコール度数は1%未満です。
みりんを作る時のようにアルコール発酵はなく、糖、アミノ酸、有機酸などを混合してつくります。上の写真の商品には水飴が使われています。
こちらは発酵という工程がなく、本みりんや発酵(醸造)調味料とはまったく別のものです。
主に一般家庭向けに流通しています。
開栓後は冷蔵庫で保管しましょう。
みりんの効果
みりんの調理効果
- 上品な甘みがある
- 料理に照りやつやを出す
- 若干のとろみがある
- きれいな焼き色がつく
- 特有の香気がある
- 肉類の保水性を高め、組織を強くする
- 糖分とアルコールのでんぷん流出を抑える作用でいも類などの煮崩れを防ぐ
みりんの効能
- 腐敗防止
- 素材の臭いを弱める
煮切りみりんとは
「煮切る」とは調理用語でみりんと酒に使われます。
含まれているアルコール分を除いて、甘みとよい香りを強くする操作です。
アルコールのとばし方は
- 沸騰させる。
- さらに着火して、揮発しているアルコールもとばす
- 電子レンジを利用する
などがあります。
アルコール度数が低いみりん風調味料は煮切る必要がありません。
また、煮物ではアルコール分は揮発するのでこちらも煮切る工程はいりません。
【まとめ】
お正月に無病息災を願って飲むお屠蘇の材料にもなっているみりん。
本みりんはうま味成分のアミノ酸を豊富に含む発酵食品として、酒と同様に愛されてきました。
酢と同様に米を原料とするみりんは米の食文化の中でできた、和食に欠かせない調味料として日々の食卓に彩りを添えています。
酢については以下の記事をご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
〈参考〉
- 小学館:食材図典Ⅱ
- NHK出版:からだのための食材大全
- 家の光協会:和の薬膳食材手帳
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
ちなみに日本酒の材料は「米、米麹、水」
本みりんと同様です。
食品成分表でも本みりんはアルコール飲料類として収載されています。