ひな祭りを祝う食べものと陰陽思想

 

ひなまつりは もともとは 農村で 始まった 行事です。

3月に なって 田んぼの 仕事が 始まる前に 紙で 作った 「人形(ひとがた)」で からだを なでて 穢れ(けがれ)を 移して 川に 流しました。

身も 心も きれいにして 田んぼの 神さまを お迎えする ための 「儀式」 だった そうです。

だんだんと 川に 流さず、豪華な 人形に なり、女の子の すこやかな 成長を 祝う 行事に なりました。桃の 花を 飾って 雪どけの 春を 待つのに ぴったりの 行事 ですね。

ひな祭りを祝う食べものと、ひな祭りに隠された陰陽思想について見ていきましょう。

 

 

ひな祭りを祝う食べもの

春先の行事であるひな祭りは菓子類も行事食も色とりどりで置いてあるだけで華(はな)やぎます。

 

ひな壇に飾る食べもの

節分の豆まきや恵方巻きの売り出しが終わるとスーパーではひな祭りに向けての商品が並びますね。

それらはおひな様を飾るのと同時にひな壇に置きたいものです。

色とりどりの「ひなあられ」そして「ひし餅」、白いビンとラベルがかわいい「白酒」が思い浮かびます。

私が子供の頃はこれに「金花糖(きんかとう)」が加わりました。

 

ひなあられ

「ひなあられ」は関東と関西では違うそうです。知らなかった!

スーパーにお米の形そのままのあられと、お餅を小さく切って作ったあられが

あるなあと思っていたのですが、地域による違いだとは知りませんでした。

私は関東在住ですので「ひなあられ」といえばお米を炒って膨らませ砂糖を絡めて甘くし

薄くピンクやみどりに色づけしたものが混ざっているものだと思っていました。

炒って砂糖をかけた大豆や甘納豆も入っていましたが、最近は甘納豆入りは見かけなくなりましたね。

餅で作った大きなあられも混ざっています。

関西では餅を小さく切って作ったものが主流のようです。

しょうゆや青のりを使って甘くないあられを作っている老舗のお店があります。

あられの色のは三色のものと黄色を加えた四色のものがあるそうです。

三色の方は

  • ピンク(赤)命を表し
  • 白 雪のイメージから大地を表し
  • みどり 芽吹きのイメージから自然の力を表しているそうです。

四色の方は

  • ピンク 桜(春)
  • みどり 木々の緑(夏)
  • 黄 紅葉(秋)
  • 白 雪(冬)

で四季を表しているとか。かわいい娘が一年中健やかにとの願いがこもっているそうです。

 

ひし餅

ひし餅は食べものとして特殊な形状だなあと思っています。菱形の食べものって他にちょっと思いつきませんもの。

この菱形には諸説あります。

  • 正月に宮中で召し上がるという菱葩餅(ひしはなびらもち)から
  • 室町時代の足利家の正月に食べた菱形の紅白餅から
  • 小笠原流の小笠原家の家紋から
  • 心臓をかたどっている

などと言われていますが、さて、どうなのでしょう?

甘く煮たゴボウを白あんと求肥(ぎゅうひ)で包んだ正月だけ売っている「花びら餅」が好きですが、そういえばちょっと菱形っぽいかな?

ひし餅の三色にも、もちろん意味を見出したいですね。

  • ピンク:魔除け
  • 白:清浄
  • みどり:健康・長寿

というものと

  • ピンク:桃の花
  • 白:雪
  • みどり:木々や草の芽吹き

を表しているという説があります。

私は後の方を推したいですね。夢がありますものね。

積もった雪から桃の花が顔を出し、雪の下にはしっかり芽吹きが準備されているって、まだ寒さが残るこの時期に爛漫の春を待つ気持ちにぴったりの気がします。

ですから、ひし餅を飾るときはピンクが上になるように置きましょう。とはいえ、小さな頃からひな飾りを随所で目にしていると無意識にピンクを上にしていることに気づきます。

ビニールで真空パックされているので、興ざめの感はありますがすぐにかびるのでそのまま飾ります。

ひな祭りが終わったら、包丁で三枚に切りはがして、オーブントースターで焼いていただきましょう。

餅でできたものが本式ですが、「おこし」でできたものやゼリーで小さく作ったものもあります。

 

白酒

「白酒」はつい甘酒と混同してしまいますが、「白酒」は江戸時代に売り出されて大好評になったものです。

甘酒の材料に焼酎などを加えてひと月ほど発酵させたもので、家庭ではなかなか作れないものです。

元々は三月三日にお酒に桃の花びらを浮かべて飲んだことから来ています。

桃が中国から伝わったことで、霊力がある果実とされています。また百年を意味する「ももとせ」とも通じる縁起のよい果実です。

白酒はこの「桃花酒(とうかしゅ)」をいただく風習からきています。

三月三日の「桃花酒」といい、九月九日の「菊花酒(きくかしゅ)」といい、なんて風流なんでしょう。

横道にそれましたが、本式の白酒はネットで購入できるようです。

こちらはアルコール度数が10%あるので、大人の楽しみとして

子供向きにはノンアルコールの甘酒をビン詰めしたものがありますね。

「白酒」も「甘酒」もビンがかわいいので一緒に飾って、いただく日を待ちましょう。

 

桃の節句の当日にいただくもの

さて、三月三日の当日がうまく土日にあたれば、ゆったりとひな祭りを楽しめますが

平日だと働くお母さんはちょっとせわしないですね。

そこが「こどもの日」として祝日になっている端午の節句と違うところ。

でも、なんとか雰囲気を整えてひな祭りをお祝いしましょう。

 

ひなまつりのちらし寿司

ひな祭りの定番のごちそうといったらやはり「ちらし寿司」でしょう。酢飯に煮た具材を混ぜ、大皿に盛りつけたら上に彩りよく玉子やでんぶ、切り海苔、菜の花またはきぬさやなどをのせましょう。

正月のお節料理ともかぶりますが

  • えび:腰がまがるまで元気で長生き
  • レンコン:見通しがきくように

など、縁起のいい食材を使います。

ご飯が温かいうちに寿司酢と合わせ、大皿に広げて冷ましておきます。

卵は錦糸玉子にするといいのですが、手早く炒り玉子にしても、お母さんの手作りなら申し分ないでしょう。

混ぜるだけで混ぜ寿司ができる市販の具材など利用して時間をやりくりしたいものです。

忙しく遅くなってしまったときは、丸いプラ皿に盛り付けられたちらし寿司が売っていますね。

忙しい保護者の精一杯の気持ちが伝わることが大事なのではないでしょうか。

 

ハマグリのお吸い物

ハマグリは天敵から身を守るための工夫があります。

大きく育つと碁石の素材になるほど貝殻が丈夫で分厚いです。

そして簡単に開けられないように貝柱(閉殻筋-へいかくきん-)が大きくとても強いです。しっかり閉じるために二枚の貝殻の合わせ目も大きく、しっかりしています。もちろん、一対になっていて、他の貝殻では合いません。優雅な「貝合せ」の遊びができる所以です。

そこが男女の仲に見立てられ、「生涯添い遂げられるように」の願いでひな祭りの定番になっています。

ハマグリの潮汁(うしおじる)、いい出汁が出て、あさりの潮汁とともに大好きです。

できればいい天然塩で調味したいものです。日本酒も少々加えると味に深みが出ます。

今はほとんど輸入物だそうです。大きいものになると結構な値段ですが、たまのことなので、いただいてみますか。

 

桜餅

まだ寒い毎日の中で、お菓子屋さんに桜餅とうぐいす餅が並べられると、「ああ、春が来たんだなあ」と思います。

そういう意味で和菓子は季節を先取りしてくれますね。余談ですが、町の和菓子屋さんがだんだんと少なくなって寂しい限りです。私の自転車圏内では5件の和菓子屋さんがあったのに店じまいされました。

それはさておき、桜餅は「道明寺桜餅」と「小麦粉の桜餅」(筆者の母談)があります。

詳しいことは他のサイトにお任せしますが、よく言われる「関西と関東」と簡単に線引きできるものでもないようです。

職場などで話題にすると盛り上がると思います。

桜餅の二つ並んだ写真は左が道明寺粉で作った桜餅、右が小麦粉を溶いて鉄板で楕円に焼き、あんに巻いた桜餅です。

以前、北海道ご出身の方が「自分の桜餅は道明寺粉であんを包んだもの!これこそが桜餅!」とおっしゃり、周りは「そんなの知らない」となり、とうとう、道明寺桜餅を買ってきて振る舞うことになりました。私もごちそうになりました。

北海道出身の彼「おれ、もう絶対桜餅で議論しない!」とおっしゃってました。散在させちゃいましたね。

北海道は関西の文化の影響を受けているといわれていますので、桜餅もそうなのでしょう。

桜の葉も春の香りでほんのりした塩分があります。私は葉の筋を取って一緒にいただいていますが、ここは好き好きでしょう。

 

 

ひな祭りの歴史

冒頭、ひな祭りのいわれを記しました。

ひな祭りがいつ頃から行われていたのかはっきりしないそうです。

しかし米作りは厳寒期から準備が始まることから、身の穢れを紙や木の人形(ひとがた)に移して田んぼの神様をお迎えする儀式と、中国からきた三月三日の行事が融合して平安時代から江戸期、そして現代まで受け継がれてきたと考えられます。

 

桃の節句に受け継がれる陰陽思想

日本は中国からたくさんの影響を受けています。

その上で日本独自の年中行事として伝わっています。

もともとは桃の花も中国では陰陽思想にある「金」の力を持つものとされ、魔除けとしています。

また、奇数は陽の数字で奇数が重なる三月三日は五節句の一つとして特別な力のある日と考えられています。

季節に合わせた招福の日として長い歳月をかけて陰陽道の教えが日本の生活に溶け込んできました。

季節が順調にめぐり、豊潤な農作物の実りがもたらされるように神仏に願った

呪術ともいえる行事は自然と共に生きる日本人の生活に今でも深く溶け込んでいます

 

 

【まとめ】ひな祭りで春の到来を祝いましょう

ひな人形もバブル期の豪華な段飾りから今はコンパクトでも豪華なものへと変わっています。

女の子が大きくなっても、また、子供がいてもいなくても、春らしいひなの飾りを楽しみたいものですね

 

お読みくださりありがとうございました。

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

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管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。