学校給食ではなぜ毎日牛乳を出すのか考えてみます。
裏付けがなくても、反対する方というのは、なんによらずにいらっしゃるものです。
給食で出す牛乳もそうです。
7年ほど前に保護者の方に給食についてのアンケートをお願いしたところ
自由意見欄に「牛乳神話はもうやめよう」とありました。
目次
牛乳神話はもうやめよう

私は牛乳を出す、推奨する立場に40年以上立っていましたので 「またか」 と、まあ、そう思うわけです。
確かに、牛乳さえ飲んでいれば大丈夫。 カルシウムたっぷりだから背は伸びる。 骨は強くなる。 と、まあ、そんなに単純なものでもありません。
そこで、ある先輩が「そんなに牛乳を出すのが気に入らないなら、やめてみましょう」と、ひと月ほど牛乳を出さずに頑張ってみたそうです。ご本人から伺ったので本当のことです。
牛乳を出さないことで給食はどう変わったか…

牛乳に期待するものはやはりカルシウムです。
もちろんビタミン類やたんぱく質も、そしてエネルギーも摂れますが、やはりカルシウムですね。
その分をまかなうとなると、小魚やら青菜やら、もう一品二品余計に作らなければなりません。だからといって、調理員さんの人手は変わりません。
そして、材料費がもちろんかかります。
何より、食べる時間が足りなくて食べ切れなかったので、ひと月で中止したとのこと。
牛乳が身体に悪いとする論には今のところ、きちんとしたエビデンスがないそうです。
本やネットに出ているデーターはいかようにも解釈できるようなグラフが多いと言うことです。
高温殺菌牛乳は消化吸収できないというけれど
それから高温殺菌した牛乳は熱でたんぱく質が変性しているから消化吸収できないとか・・・?
でも、私たち、毎日煮炊きした肉や魚や卵を食べていますが、誰もたんぱく質が変性しているから吸収できないと言う人はいらっしゃらない。
ゆで卵などは生から半熟、固ゆでとそれぞれの消化時間を調べた研究がありますが、だからといって固ゆで卵は身体に悪いから子供に食べさせない。と言う方はいません。
第一、牛乳で高脂血症になるなら、卵はもっとキケンでしょう。
牛乳はやめてカルシウムは他の食べもので摂ろうと言った場合、一番最初に思い浮かぶのは「小魚」でしょう。
「小魚」のように頭から尻尾まで、まるごといただく「全体食」はいろいろな微量元素も摂れるのでとてもよいことです。
ですが、身体に好ましくない金属類も同時に摂ることになります。重金属や放射性物質は内蔵や神経組織に集まりやすいそうですから。
「牛乳のアレルギーが多い」
「牛乳の代わりにナッツ類もよい」とする意見があります。
でも、最近の小学生で増えている食物アレルギーは「ナッツ類」と「くだもの」です。
キウイフルーツやびわを給食で出し、突然アレルギー症状が出る場合があり恐くてもう出せません。
それと「えび」も増えましたね。
乳製品を料理に使うときはアレルギーに対してきちんと向き合わなければいけませんが、飲用牛乳は「飲むか 飲まないか」で対応できますからかえって間違いが少ないのではないかと思います。
できるなら牛乳は中休みに飲ませたい!
ただ、思うところはあります。
小学校低学年で200ccの牛乳を他の主食・主菜・副菜と一緒にいただくのでは量が多くて食べきれないと言う点です。
また、7時半前後に朝ご飯を食べて、正午過ぎまで学習や運動をするとお腹がすきます。
昨今は朝ご飯どころか夕飯も満足に食べていない子もいます。
私のところに「この子、昨日食べないで寝ちゃって、朝もそのまま来たんです。何かありませんか」と担任が連れてきた子に見かねてパックご飯やエネルギー補給の補助食品を渡すため机に忍ばせています。いいこととは思いませんが・・・
ずっと前から思っていることですが 「牛乳は中休みに飲ませたい!」 「ビスケットも1枚か2枚、食べさせたい」
そうしたら3時間目4時間目もしっかり座って授業を受けられると思うのです。
食育に熱心な校長からも同じお考えを聞いたことがあります。
でも、中休みは外で遊ばせたいし、子供の近くに牛乳用の大型冷蔵庫が必要ですし、人も配置しなくてはならないし・・・
やはり難しいことですね。
正直、お昼休みはおとなしくしていてほしい位です。
なぜって、食物依存性運動誘発アナフィラキシーが心配だから・・・。私も2回体験しました。
給食の後、昼休みに元気に外遊びをした後のことです。2回ともエビでした。
しかも今までエビを食べても何でもなかった児童がいきなりです。
ですから牛乳のアレルギーだけ特別なわけではありません。
背が伸びる条件は!

骨の端には骨端線という合わせ目のような線が入っていますが、この部分であたらしい細胞が生まれて骨の長さが長くなります。
この骨端線の細胞分裂は骨端線が閉じてしまうともう身長は伸びません。
細胞分裂は成長ホルモンが関与しています。成長ホルモンはゴールデンタイムと言われる夜11時くらいから1時くらいにもっとも分泌されるそうです。
そして伸びるときは重力の影響を受けないことが好ましいそうです。
つまり「ちゃんと布団で早寝する」
と言うことです。
それとともにどのくらいの身長になるかは遺伝の影響も大きいと言うことです。
ですが、幼少期の栄養状態は脛の骨の長さに影響すると聞いたことがあります。
戦時中の栄養状態が悪い時代に幼少期を過ごした方々の体型とだんだんと栄養状態が上向いた時代ではスラリ感が違うと言うことです。
骨は細胞からできている

ところで栄養生理学の先生の講習会で「骨は何からできているか」と発問がありました。
私は「カルシウム」とノートに書きました。ほとんどの人もそう書いたようです。
ところが、先生は「骨は細胞からできています。これが答えです」とおっしゃいました。
そう、骨は細胞から成り立っていて日々入れ替わっています。だから材料が必要です。
私が子供の頃は、ご近所に腰が90度曲がっているおばあさんがいました。祖母も多少腰が曲がっていました。
でも、最近はいかがですか。腰が90度も曲がっている方にはお目にかからなくなりました。
骨粗しょう症が減ったからではないでしょうか。
それには食事が大いに関係していると思います。
食べものに機能を求めるのはとても贅沢なことであり、また僭越なことでもあると思います。
いろいろなものを選べるからいろいろな意見が出ます。
本来は自分たちの足で仕留めたもの生産したものを食べるしか生きるすべがないはずなのです。
世の中には100%よくない食べものも100%安全な食べものもない
私たちが日々生きていくためには動植物から命をいただいています。このことを忘れずにいたいものです。
そしていろいろな理由をつけて一つの食べものを悪者にするのはやめたいものです。
あなたが食べなかった食べものが、誰かの命をつないでいるかもしれません。
【まとめ】保護者の意見は「給食には牛乳!」だそうです

保護者のアンケートで牛乳を給食につける是非を伺ったところ60人中57人が容認されました。
給食には牛乳!だそうです。
新型コロナウイルスの感染防止のため2020年3月2日から春休み明けまで小中高校は休校にするよう、政府からの要請がありました。
それにより様々な影響がありましたが、給食用に用意した食材が宙に浮いてしまったこともそのひとつです。
急なことでしたので行き場のなくなった牛乳をどうするか、大きな問題になりました。
改めて、学校給食での牛乳の位置付けの大きさを思いました。
牛乳の糖質については以下の記事をご覧ください
最後までお読みくださりありがとうございました。
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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