牛肉の栄養は部位で変わるのか、エネルギー、たんぱく質、脂質で比較

 

日本では四つ足の動物の肉を食べることは長い間タブーとなっていました。

牛肉を食べるようになったのは明治政府が食の近代化を目指してからです。

肉がたんぱく質源として定着したのは1960年代から。その頃から和牛の肉質改良が進みました。

牛にはたくさんの部位があり、部位の特徴によって向く料理もかわります。

そこで牛肉の栄養は部位で変わるのか見ていきたいと思います。

牛肉の栄養は部位で異なる

牛の部位図牛は大きな家畜です。

部位も細かく分かれています。肉屋さんではネックとすねをのぞいて9つの部位に統一して部位表示しています。

下記に部位別の特徴とエネルギー・たんぱく質・脂質を表にしました。

【牛の部位別栄養価 100g中】

九つの部位 脂身つき 生  エネルギー(kcal) たんぱく質(g) 脂質(g)
1 かた ややかたい 286 17.7 22.3
2 かたロース   〃 411 13.8 37.4
3 リブロース やわらかい 573 9.7 56.5
4 サーロイン   〃 498 11.7 47.5
5 ヒレ(赤肉 生)   〃 223 19.1 15.0
6 ばら 脂肪が多い 517 11.0 50.0
7 もも たんぱく質が多い 259 19.2 18.7
8 そともも   〃 265 17.8 20.0
9 ランプ やわらかい 347 15.1 29.9
ネック かたい
すね かたい

(ネックとすねの栄養価は成分表に記載がないので割愛させていただきました)

肉のかたさ、やわらかさは結合組織の量によって決まっています。

すね

牛すね肉

牛すね肉

運動の激しい部位は結合組織がよく発達してかたくなります。

すねには白い腱が通っているのがわかりますね。いかにもしっかりした組織という感じです。この結合組織と呼ばれる部位はかたくて強いコラーゲンなどのたんぱく質でできています。さっと焼くくらいではかたくてかみ切れませんが、2時間ほど煮込むとコラーゲンが溶けてゼラチン質になり結合がほどけるのでやわらかくなります。牛肉としては買いやすい値段ですので、家庭での煮込み料理に向いています。時間にゆとりのある週末などにいかがでしょう。コラーゲンもたっぷりいただけるのでうれしいですね。

ただし煮込みすぎるとばらけてしまって、あの肉の塊はどこにいったのだろう?となります。

ステーキによい部位・牛丼に向く部位は

霜降り肉

脂肪が美しい高級部位

結合組織が少なくてやわらかい部位は背側です。

リブロース・サーロイン・ヒレ・ランプステーキに最適とされています。

特にリブロースやサーロイン脂肪が美しく入り、ステーキを堪能できる部位です。

ヒレは脂肪が少なくたんぱく質が多い部位ですが、体の奥で、筋肉が発達した部位ではないので、やわらかく、シニア層にもおいしくいただけます。ぽん酢やわさびも牛の脂とよく合うように思います。

もも・そとももはたんぱく質に富む部位で赤身肉です。すき焼き・焼き肉などに向いています。

腹側のばらと呼ばれる部位は脂肪が多く牛丼や肉じゃがにするとコクが出ておいしくなります。

牛丼

甘辛がおいしい牛丼は庶民の味

牛の内臓の栄養も部位で変化に富んでいます

牛の内臓も部位に分けて無駄なく消費しています。

12部位に分けて流通し栄養も豊かで変化に富んだ味わいや食感があります。

主な副産物の栄養価

生で比較  エネルギー(kcal) たんぱく質(g) 脂質(g)
356 13.3 31.8
心臓 142 16.5 7.6
肝臓 132 19.6 3.7
腎臓 131 16.7 6.4
小腸 287 9.9 26.1
492 11.6 47.1
横隔膜 321 148 27.3

舌(タン)や尾(テール)のエネルギーが思った以上に高いです。たんぱく質も多い部位ですね。タンは塩焼きにテールはシチューにするとおいしいですね。

肝臓(レバー)といえば鉄分の含有量が気になりますね。

レバーの鉄含有量を牛・豚・鶏で比べると・・・

牛レバー

牛レバー

牛・豚・鶏の肝臓(レバー)100gの鉄分を比べてみます。

  • 牛の肝臓の鉄分   4.0mg
  • 豚 〃  〃  13.0mg
  • 鶏 〃  〃    9.0mg

レバーの鉄含有量にこんなに開きがあるとは、今更ながら驚きました。

鉄分は必要だけれど、レバーが苦手な人には、鉄分が少ない分、牛のレバーがいくぶん食べやすいかもしれませんね。

牛肉1kgを得るためのえさはどれだけ?

サイロ

ところで牛は大形の家畜でいわゆる出荷までの日数が豚や鶏と比べても長くかかります。

オスの牛が生まれてから出荷まで2年近くかかっています。

生まれてから出荷まで 出荷時体重 肉1kgにえさは
23~24ヶ月 約700kg 7~8kg
約6ヶ月 約110kg 4~5kg
2ヶ月弱 3㎏弱 2~3kg

【参考】東京都卸売市場Webページ

現在えさはとうもろこしや麦類などの穀物が主になっています。

牛の場合、体重を1kg増やすのに7~8kgの穀物が必要といわれています。

外国のように広い牧場で育てればえさ代は少なくてすむのですが、日本のように穀類で育った牛は経費がかかります。

穀類で育った牛は、肉がやわらかく、うま味も多くなるメリットもありますが、日本での肉の消費量が増えるにつれ、家畜用の肥料の輸入も増えています。試算によると一人分の肉を得るために10人分の穀物が必要ともいわれています。

現在、日本では低糖質の食事が脚光を浴びて穀類の摂取を控える風潮がありますが、途上国の食糧事情も考えると日々穀類を適切に食べることが大切ではないかと思います。

狂牛病の全頭検査も・・・日本の牛肉が高価なわけは

日本ではとても手をかけて牛を育てています。

えさも多くは輸入しています。

その上、日本では狂牛病(BSE)の検査を全頭に行っています。

全頭検査をしているのは日本だけだそうです。

オーストラリアでは狂牛病は存在しないとして検査はしていません。

アメリカでは狂牛病の検査を政治的に制限しているそうです。

日本では安全・安心のために費用をかけています。

そういったものが価格に反映しているため国産牛肉=和牛は高くなっています。

毎日のように牛肉をたっぷり食べるには家計に厳しいところはありますが、酪農関係者・食肉関係者に想いを寄せて、高いけれどおいしい和牛を味わって食べていきたいものです。

牛肉を食べて幸せ気分になろう

 

私はたまにですがサーロインステーキをいただきます。食べているときこんなごちそう、食べられて幸せ」という気持ちになります。

これには体に必要な必須脂肪酸が関係しています。

牛肉や豚肉に含まれている必須脂肪酸のアラキドン酸は脳内で「アナンダマイド(アナンダミドとも)」という物質に変化し、幸福感を感じるというのです。

必須脂肪酸は体内で合成できず必ず外から摂らないとなりません。肉を食べると幸せを感じるのは理由があったのですね。

アナンダマイドにはリラックス効果もあるとか。肉の脂肪なので適度に摂取したいものです。

【まとめ】牛肉の栄養は部位で変わる

ビーフシチュー大きな牛の体は約700kgもあります。

背側や腹側でたんぱく質や脂肪の含有量が変わります。

やわらかくステーキに向く部位もあれば可動部で結合組織(筋)が多く、かたい部位もあり、それぞれ脂肪が多いとかたんぱく質がおおい特徴があります。

やわらかいところはステーキなどレア(半生)で食べられますし、すねなどの硬い部分はゆっくり煮込むことでコラーゲンが溶け出してとろけるような料理ができます。

部位ごとの特徴を生かして、ステーキを「自分にご褒美」としたり、落ち着いた気持ちで煮込み料理に挑戦したりとおいしく牛肉と付き合いたいですね。

和牛肉を食べて幸せな気分になりましょう。

お読みいただきありがとうございました。

〈参考〉

群羊社:たべもの・食育図鑑

☆栄養価は「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」「同 追補2016年」「同 追補2017年」「同 追補2018年」に準拠しています。

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

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管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。