ごぼうの効能は豊富な食物繊維がにぎる

葉付きごぼう

 

世界中でごぼうを野菜として食べてきたのは日本だけといわれています。

ですがここへ来て、ごぼうの独特の風味や食感からフランス料理やイタリア料理でも注目されているそう。

昔ながらの日本の野菜でありながら、最近はごぼうの効能が再発見され、魅力ある根菜として注目されています。

ごぼうの効能は豊富な食物繊維がにぎる

ごぼう

ごぼうには水分を吸収して、腸の運動を活発にする食物繊維が多く含まれています。

不溶性のリグニン、イヌリンがほぼ同量ずつの割合です。

(リグニン・イヌリンについては「梨の薬膳効果」もご覧ください)

梨の薬膳効果

リグニン

リグニンは腸の働きを活発にして便秘や肥満を予防します。

大腸がんの原因物質を速やかに排出します。

木質素ともいわれ、木材を堅くするのがリグニンです。

体内では消化・吸収されず、肥満の予防や解消が期待されています。

イヌリン

イヌリンは血糖値の上昇を抑えます。

イヌリンは果糖の重合体で、消化・吸収されない食物繊維の一種です。

高血糖予防効果や血中脂質のバランスをよくする効果が期待されています。

食物繊維の役割が解明されてきた

 

けんちん汁

かつて食物繊維は体の栄養にならない余計者とされてきましたが、最近は大きな役割が解明されてきています。

腸内で乳酸菌の繁殖を増進させて腸を整え、便通をよくする働きがあるのはよく知られています。

そのほか、余分な脂肪の吸収を防いで肥満や動脈硬化を予防したり、糖尿病の予防や血中コレステロールの低下にも効果があることがわかっています。

ごぼうの料理には「あく」を生かす

ごぼうは触るだけで手や指が黒くなります。とてもアクが強い野菜です。

このアクはフェノール類で、あく抜きを上手にすることが料理のポイントです。

このアクはえぐみにもなりますが、ごぼう独特の香りやうま味そのものといえます。ですからアクはわざわざ抜かずに調理するという方もいます。

きれいにアクを抜いて切ってビニール袋詰めされたものは残念ながらごぼう本来の香りや味わいは失われています。

できれば土付きのものを買って調理するとおいしいごぼう料理ができます。

ですが土を流しているうちに泥水が飛び散りますし、料理の敷居を低くするためには洗いごぼうを購入してまわりを流す程度にしてどんどん切り込んでひんぱんに料理に使うこともよいことではないかと思います。

アクは中心部より皮に近い方が強く、若いごぼうほど少なくなっています。

新ごぼうはアクが少なくてやわらかく、ごぼうの香りも楽しめます。

ごぼうのおいしさを引き出す皮の処理方法

ごぼうの独特の香りやうま味は皮のすぐ下の部分にあります。調理の際にはたわしで洗うだけで十分です。

切った後にあく抜きのために酢水につける場合は、栄養分が流れ出てしまわないように短時間にしましょう。

ごぼう料理の代表「金平ごぼう」は細切り?ささがき?

きんぴらごぼう

ごぼうの料理といえばやはり金平ごぼうでしょうか?

きんぴらとは「金平浄瑠璃」の主人公の名前だそうです。

坂田金時の子でとても怪力の持ち主で正義感にあふれた人物に「金平」の名を冠したものです。

金平ごぼうの定義は

繊切(せんぎり)、あるいは笹がきにしたごぼうをごま油で炒め、唐辛子を加えてしょうゆと砂糖とで調味した料理。強壮作用があると考えられて、怪力金平の名が付けられた。と広辞苑にあります。

縦切り

ごぼう 縦切り

ここで注目したいのは「繊切」あるいは「笹がき」とある部分です。

広辞苑にもあるように、切り方は「どちらでもよい」となりますが、繊維に沿って縦に切った場合と笹がきのように繊維を断ちきるようにして切った場合とでは歯ごたえが異なります。

笹がき

笹がきごぼう

固いごぼうを「金平」にたとえたところから、もともとは縦に切って歯ごたえも味わう力強い料理だったのかもしてません。

食べやすさを優先させるには笹がきにするといいですね。

よくかんであごをきたえさせたい子供向けには縦に切った金平を、歯やあごが弱くなったシニア向けには繊維を断ち切る笹がきなどの切り方と、使い分けるとごぼうの効果を共有できますね。

ごぼうは伝統料理の名脇役

ごぼうのアクであるポリフェノールは体によいだけでなく肉や魚の臭みをカバーしてくれます。

この特徴を生かした郷土料理が各地に伝わっています。

ごぼうを抜きにしては考えられないものとして

柳川鍋

柳川鍋

柳川鍋

最初に出した江戸時代の日本橋のお店の屋号といわれています。柳川鍋は浅くて円形の素焼きの土鍋を使いますが、この鍋が福岡県の柳川産だからという説もあります。

背開きにしたどじょうをたっぷりの笹がきごぼうと甘辛く煮てたまごでとじた名物料理ですね。

どじょう鍋

こちらは開かないで丸のままのどじょうをやはりごぼうと煮たものです。どじょうの強いクセをごぼうの個性が受け止めている料理です。

八幡巻

ごぼうの名産地、京都の八幡市から発祥した料理です。ごぼうに開いたうなぎを巻き付け、甘辛く煮た料理です。

「八幡巻」とはきれいな名前だなあ。と感じています。

今ではうなぎだけでなく、あなご・牛肉・豚肉などでも作っています。しっかり味を付けておくとお節料理などのような、数日保存する料理にもできます。

たたきごぼうがお節に入るのはなぜ?

たたきごぼう

たたきごぼうはごぼうをゆでて、すりこぎなどで軽くたたき、三杯酢に漬けたものです。

特に関西のお節には欠かせません。

お節に入れる由来はごぼうのように大地にしっかり根を張っていくこと。また「たたいて開く」ことで新年の運が開けるようにとの縁起をかついだものです。

【まとめ】ごぼうの効果は繊維がにぎる

花びら餅

正月の花びら餅はごぼうを使用

ごぼうは古くから精が出る野菜として親しまれてきましたが、近年の食品の持つ機能の研究で再注目されています。

以前は食物繊維はなんの栄養にもならない余計なものとされていましたが、大きな役割が解明されてきています。

食生活の洋風化にともなって脂肪の摂取が多くなりましたが、余分な脂肪の吸収を防いで肥満や動脈硬化の予防、血糖値の急激な上昇を防ぐため糖尿病の予防や毛中コレステロールの低下にも効果があることがわかってきました。

年をとっても、体によいごぼうをしっかりかんでおいしくいただきたいものです。

お読みいただきありがとうございました。

〈参考〉

  • 群羊社:たべもの・食育図鑑
  • 高橋書店:あたらしい栄養学

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

↓ブログランキングに参加しています。よろしかったら応援お願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。