まだ寒さの厳しい早春に土の中からかわいい頭を見せるふきのとう。
ふきのとうは冬眠から目覚めた熊が最初に口にする食べものとか・・・
ほろ苦いふきのとうは熊ばかりか、私たちにとっても春眠から覚醒するにはうってつけの食材といえるでしょう。
ふきのとうの効能は苦みがにぎっています。
春の到来を告げるふきのとうについて見ていきましょう。
ふきのとうの効能は苦み成分にあります

ふきのとうの苦み成分の正体は
- クロロゲン酸
- フキノン
- クエルセチン
- ケンフェロール
などがあげられます。これらはファイトケミカルと呼ばれるもので抗酸化作用が報告されています。
花粉症や鼻炎などのアレルギー症状の緩和やがんの予防にも有効な成分といわれています。
ファイトケミカルについては以下の記事をご覧ください。
活性酸素をなかったことにするファイトケミカルを解説!その抗酸化作用は?
苦み成分はまた、新陳代謝を活発化させたり肝機能を強化する働きがあります。
香りの成分はフキノリドというふき特有の化合物です。
フキノリドには胃腸の働きを高める効果があります。
その他、せきやたんの民間薬としても用いられてきました。
ふきのとうの栄養価は
ふきのとうはふきよりも栄養価が高くカリウムやカロテン、ビタミンB1などのミネラル分や食物繊維を含みます。
生100g中 | ふきのとう | ふき |
カリウム(mg) | 740 | 330 |
ベーターカロテン(㎍) | 390 | 49 |
ビタミンB1(mg) | 0.10 | 微量 |
食物繊維(g) | 6.4 | 1.3 |
㎍(マイクログラム)=100万分の1㌘
アクに注意
ふきのとうには肝臓によくない「ペタシテニン」が含まれています。
ゆでてあく抜きをした方が安心です。
薬膳ではアクを生かす工夫が・・・
しかし、薬膳では苦みは食材の命との考えから、ゆでこぼすことはせずに生かす工夫をします。
薬膳でのふきのとうの下処理
- 水洗いをしながら、根の部分を切り落とし、汚れた葉をとり、外側の葉を1枚はがします。
- すぐに水にさらす。水がアクで黒くなるので水を何回か取り替えてから使います。
この下処理方法では、ゆでこぼすことで失われるビタミン類の損失も少なく、ペタシテニンの毒性も弱まります。
苦みをマイルドにして中和する味付けとして、塩味(み)、甘味、酸味があります。
ふきみそはみその塩味とみりん・砂糖の甘みが苦みを殺すことなくマイルドにして、理にかなったものとなっています。
ふきのとうのおいしい食べ方は

ふきのとうの天ぷら
天ぷらや味噌炒め、ふき味噌が一般的です。
ふきみその作り方

ほろ苦いふきみそ
- ふきのとうはアクがあるので、ゆでこぼすか、薬膳の下処理方法で水にさらします。
- 刻んでごま油で炒めます。
- 油が回ったらみそとみりん、砂糖を加えてよく混ぜます。
- 水分がなくなるまで練るように混ぜながら加熱します。
温かいご飯ととてもよくあう早春の味覚です。
ふきは日本原産の野菜
ふきは数少ない日本原産の野菜の一つです。北は北海道から琉球諸島、朝鮮半島、中国に分布しています。
【まとめ】ふきのとうの苦みは数々の効能があります
ふきのとうの苦みは何種類かのファイトケミカルの成分として抗酸化作用があります。
熊が冬眠から目覚めて最初に口にするふきのとうは冬にたまった老廃物や毒素を排出するためといわれています。
早春の苦みは「春眠(しゅんみん)暁(あかつき)を覚(おぼ)えず」のからだによい刺激を与えてくれます。
何よりもふきのとうのかわいい姿は「春がきた」とワクワクさせてくれることが魅力ですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
〈参考〉
- 小学館:新版食材図典
- NHK出版:からだのための食材大全
- 家の光協会:和の薬膳食材手帳
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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