大豆にはまだまだ計り知れないパワーが隠れていて今日も世界各地の研究者が大豆の機能性について研究しています。
大豆を「長寿の青い鳥」と呼ぶ研究者もいるほどです。
その大豆について女子栄養大学名誉教授の三浦理代先生の講演をうかがう機会を得られたので、抜粋・加筆してお伝えいたします。
大豆の栄養的特長
大豆に期待するものはやはり「たんぱく質」ですね。他の豆に特長的な「でんぷん」は含まれません。そこが不思議といえば不思議なところです。
「たんぱく質」が約34%
「脂質」が約20%です。大豆は白絞油(しらしめゆ)と呼ばれる大豆油の材料になるくらいですから、さすがに油が多いですね。
大豆はミネラルも豊富です。
カリウム・カルシウム・マグネシウムの他、血液の材料になる鉄・亜鉛・銅もあります。
ビタミン類で注目したいのはビタミンKです。
ビタミンKは血液凝固を促進、または抑制するなど正常な血液凝固に大切なビタミンです。なければ出血したときに血が止まらず、効き過ぎると体内で血栓ができてしまい、脳梗塞・心筋梗塞と言った命に関わる事態を引き起こします。
特にメナキノンと呼ばれる「ビタミンk2」は納豆にもっとも多く含まれています。ビタミンK2は微生物が生産するもので、大豆を菌の働きで納豆にする課程で生まれるビタミンです。
糖質も含まれていますが、分子量が大きい「でんぷん」ではなく「ショ糖」や「オリゴ糖」が約7%となっています.
栄養素ではありませんが食物繊維は約18%です。
以上のようにたんぱく質・脂質・ミネラル・ビタミン、食物繊維が豊富な大豆です。
まとめますと
①ビタミンC以外の栄養素がほとんど含まれる。
生活習慣病の予防に役立つ成分がとても豊富です。
②大豆のたんぱく質は血や肉になりやすい良質たんぱく質で、肉や魚に匹敵しています。最近の研究では大豆のたんぱく価は100であることがわかりました。以前(プロテインスコア)は卵や肉・魚の100に対して82くらいの値でした。そして私たちの血や肉になりやすく上に、コレステロールや中性脂肪の低下作用があることもわかっています。
③大豆の油成分のレシチンには乳化作用があり、善玉のHDLを増やし、動脈硬化を防ぎます。
④大豆まれるに含まれるイソフラボンは女性ホルモンに類似の作用があり、骨から血液にカルシウムが溶け出すのを抑えてくれます。結果、骨粗しょう症の予防に役立ちます。
⑤カルシウムと鉄が豊富です。骨や歯の形成を促し、鉄は貧血防止の作用があります。
⑥大豆のオリゴ糖は水溶性食物繊維として働きます。便通を整えるのに役立ちます。
⑦セルロースやグリシンなどの食物繊維も豊富です。コレステロールを吸着し、整腸作用があります。
大豆の機能性成分とその機能
大豆にはさまざまな健康に役立つ効果があります。
一例をあげると
- 心疾患・高血圧・脂質異常症・動脈硬化の予防
- 更年期障害の症状緩和
- 骨粗しょう症の予防
- 肥満の予防
- がんの予防
などです。
大豆は更年期障害にありがたい
大豆が更年期障害の緩和に働くのは大豆イソフラボンが女性ホルモンのエストロゲンと分子構造が似ているためだそうです。
どの位似ているかというと1000分の1位だそうです。これが大きい数字なのか、わずかな数字なのか、よくわからないところではありますが・・・
ですが薬やサプリメントではなく、普段食べる食品からつらい症状が緩和できるのはありがたいことですね。
骨からカルシウムが出て行くのを防ぐこともあり、大豆は女性ホルモンと機能が似ていると言われます。
また、更年期障害に特有ののぼせ・ほてり・発汗といったホットフラッシュにも改善作用があるそうです。
大豆イソフラボンはちりめんジワにも効果的!
大豆イソフラボンには皮膚の老化改善も改善するそうです。
30歳代後半から40歳代前半の女性13人に大豆イソフラボンと偽薬(プラセボ)を12週間投与した結果、両目の外側の直線的で細かいしわ(ちりめんジワ)を面積で比べた結果、偽薬の方は面積が増えていたそうです。つまりちりめんジワが増えていたと言うことです。
それに対して大豆イソフラボンを投与した群は2ヶ月過ぎる頃から少しずつ面積が減って改善が見られてそうです。
シワって面積で比べるんだと初めて知りました。
イソフラボンはどのような食品に含まれているか
ポリフェノールの一種であるイソフラボンは大豆だけでなくほとんどの豆に含まれていますが、日常的に食べるという点ではやはり大豆からの摂取が多いでしょう。
そのほかにアルファルファもやし・ピーナッツ・ヒヨコ豆などにも含まれています。
大豆の加工品である、豆腐、みそ、納豆にもあります。しょうゆまで加工するとさすがに少ないようです。
また、凍り豆腐、きな粉も上手に利用したいものです。
きな粉を上手に利用しよう
きな粉は大豆を炒って粉にしたものですからほぼ大豆の栄養が残っていると考えてよいでしょう。
大豆の機能性成分が豊富に含まれ、健康に役立つ、古くてあたらしい食材といえます。
大豆の豊富な油分が残っていますから料理に「こく」を出すことができ、工夫のしどころですね。
何より香ばしい香りがあっておいしいです。砂糖と合わせて使うとほっとする味になります。餅にまぶす「安倍川もち」だけでなく、ご飯にかけてもいけます。
おからは「御殻」とはよく言ったものですが・・・

卯の花とはきれいな名前ですね
おからって漢字で書くと「御殻」となります。
豆腐を作る時に大豆をゆでて漉し、搾ったかすですが、「かす」と言ってしまっては身も蓋もない。大豆の固い皮を殻になぞらえ「お」をつけて「おから」
でも「から」が「空」に通じるのを嫌うところから「きらず」と呼んだり、おからの料理を「卯の花」と呼んでいます。
「きらず」は切らなくても使えるところから「切らず」、また「雪花菜(きらず)」ときれいな字をあてています。
このおから、ご存じのように「搾りかす」なんて、とんでもない実力の持ち主です。
まず、豆乳として搾りきれなかった
- たんぱく質
- ビタミン類(ビタミンE、B1、B2)
- ミネラル(カリウム・カルシウム・マグネシウム)
- 大豆イソフラボン が残っています。
そして殻である食物繊維の宝庫です。「食物繊維の塊」です。特に不溶性食物繊維が多いです。
ペクチンなどの水溶性食物繊維もあるのでとにかくお腹にいいですね。
おからについては以下の記事もご覧ください。
おからパウダーのメリットがすごい!驚異の満腹感でダイエット効果も○
不溶性食物繊維は
1,腸内で水分を吸い取り、腸内細菌の餌になり、腸内細菌を増やすので糞便量が増え、排便がスムーズになります。
2,発がん物質を吸着し、排出することにより大腸がんを予防します。
水溶性食物繊維は
1,胃や小腸で糖質を取り囲むことで糖質の消化・吸収を阻害します。その結果、血糖値の上昇が抑えられます。
2,コレステロールを吸着、排出するので脂質異常症や動脈硬化を予防します。
3,海藻の食物繊維は腸内で食塩のナトリウムをくっつけ排出するので、血圧を下げることが期待できる。
【まとめ】大豆は長寿の青い鳥
大豆の栄養と機能性を見てきました。
大豆の生体調節機能をサプリメントとしたり、「特定保健用食品」として許可を受けている商品がいろいろとあります。
今後も大豆の機能性は日々研究されていくことと思います。
ただ、食品として食べていく限りでは「今日食べて明日効く」と言うものではありません。
食べ過ぎることなく、日々、程よく摂取して大豆の栄養・機能性の恩恵に与り「長寿の青い鳥」を身のうちに飼いたいものですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
《参 考》
女子栄養大学名誉教授の三浦理代先生のご講演を基にさせていただきました。
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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