豚肉は価格も手ごろで、日本ではもっとも食べられている肉です。
とりわけ豚肉はビタミンB1がたっぷりで「疲れたら豚肉をたべるといい」といわれる豚肉。
豚肉のスタミナ補給・疲労回復効果をみていきましょう。
目次
豚肉はビタミンB1の宝庫

豚肉は牛肉や鶏肉などと比べビタミンB1が特別に多く含まれています。
ビタミンB1は糖質の代謝に関与しています。ご飯をおもなエネルギー源にしている日本人にとってはとても重要なビタミンです。
豚肉はスポーツ選手のスタミナ補給・疲労回復にも有効

食事で糖質を多く食べる人やスポーツ選手・肉体労働をしている方はビタミンB1を多く取る必要があります。
豚肉にはこのビタミンB1が豊富です。肉を食べるとスタミナがつくといわれるのはエネルギーの代謝が良くなることからもきています。
ビタミンB1は神経機能を正常に保つ働きもあります。中枢神経や末梢神経の機能を正常に保つ働きもあります。
脚気はビタミンB1欠乏症。かつては国民病と恐れられた

脚気の検査
ビタミンB1は糖質からエネルギーを生産するときに補酵素として働くチアミンピロリン酸の構成成分です。
この成分はご飯やパン、うどんなどが徐々に分解されエネルギーに変わっていく過程の数カ所で作用します。
そのため、ビタミンB1が不足すると糖質がエネルギーにうまく変換されなくなります。するとピルビン酸や乳酸など酸性の物質の血中濃度が高くなります。
倦怠感や手足のしびれなどの症状が現れます。
重症になると脚気とよばれるビタミンB1欠乏症になります。命を落とすこともまれではない病気でした。
肉食(にくじき)が御法度(ごはっと)で脚気が多かった
ビタミンB1は精製していない穀類にもたっぷり含まれています。
ですが精白米には残念ながらビタミンB1はほとんどありません。
江戸時代、町の庶民もおいしい精白米を食べるようになりました。
その時代はまだ肉食(にくじき)は御法度とされ、おかずは汁ものと漬物、せいぜい煮物などで済ませているうちにビタミンB1欠乏症になっていきました。
郷里に帰って精製度が低い玄米や七分づき・五分づきのご飯を食べるとたちどころに元気になったという逸話もあります。
現在は豚肉や豚肉加工品、その他ビタミンB1を含む食品をおかずに食べているため、ビタミンB1欠乏症はほとんどみられなくなりました。
しかし菓子を食事代わりにする、砂糖入りの清涼飲料水を大量に飲むなどの極端な食生活ではビタミンB1が不足しがちです。
なんとなくだるい。やる気が起きない。などの時には豚肉を食べてみることをおすすめします。
プラスにんにくでさらに効果的に
にんにくにもビタミンB1が含まれていますが、一緒に食べた食材のビタミンB1の吸収を高める効能があります。
にんにくの他にニラやたまねぎにも同様の効果があります。
焼き肉のタレににんにくを加えたり、ニラやたまねぎと一緒に炒めたりでさらに疲労回復の効果が期待できます。
にんにく、たまねぎについての記事もご覧ください。
豚肉はビタミンB2も豊富です

豚肉は牛肉、鶏肉などと同様たんぱく質やビタミンB2が豊富です。
ビタミンB2は糖質・脂質・たんぱく質の三大栄養素の代謝に不可欠な補酵素の成分になります。細胞の再生に関わりっています。
糖質・脂質・たんぱく質がエネルギーに変換されるそれぞれの過程で作用するため大変重要なビタミンです。
ビタミンB2は子供の成長に欠かせない

ビタミンB2は細胞の再生を促す働きがあり、皮膚や粘膜、髪の毛などを健康に保ちます。
細胞分裂が盛んな成長期に欠かすことができないビタミンで、発育のビタミンとも呼ばれています。
ビタミンB2は過酸化脂質を分解する力もあり、動脈硬化予防などの面からも注目されています。
ビタミンB2の欠乏症は

細胞の再生に深く関わっているため欠乏すると新陳代謝が活発な口内の粘膜にトラブルがあらわれます。口角炎・口内炎・舌炎などを起こします。
また、眼精疲労や脂漏(しろう)性皮膚炎が現れることがあります。
成長期の子供の場合は成長障害をおこすことがあります。
ビタミンB1もビタミンB2も過剰症はありません
ビタミンB1もビタミンB2も水溶性のビタミンです。大量に摂取することがあっても尿中に排泄されるため、過剰症の心配はありません。
逆に言うと一度に大量に食べてもビタミンB1・B2は使わなかった分は排泄されてしまうのですから、毎日摂取を続けることが必要です。
【まとめ】豚肉はスタミナ補給・疲労回復に大活躍です

豚肉にはたんぱく質や脂質だけでなくビタミンB1・B2が豊富です。
ビタミンB1は糖質の代謝に、ビタミンB2は糖質だけでなく三大栄養素の代謝に関わる重要なビタミンです。
主食として精白米を食べている方はビタミンB1・B2を摂取するためにも豚肉や豚肉加工品のハム・ベーコン・ウインナーなどを摂取しましょう。
スポーツ選手や肉体労働者には精製度の低い穀類を使った主食を摂り、豚肉をはじめとした主菜と野菜を使った副菜を程よく食べましょう。
成長期の子供には特にビタミンB2は必要です。
安価で流通も安定している豚肉を食べてスタミナを補給したいものです。
お読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
- 群羊社:たべもの・食育図鑑
- 成美堂出版:図解 看護に役立つ 栄養の基礎がわかる事典
- 成美堂出版:栄養の基本がわかる図解事典
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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