「ぼたん」は「いのしし」、「もみじ」は「しか」、では「さくら」は、な~んだ?
というなぞなぞ、聞いたことがありますでしょう?
答えは「馬」です。馬の肉は「さくら肉」と呼んでいます。語源は諸説あるようですが、空気に触れるときれいなさくら色になるからというのもひとつの理由のようです。
一般にはなじみが少ない馬肉ですが、地域によってはプレミアムな食べものとして流通しています。
馬肉の栄養は高たんぱく、低脂肪、低カロリー。どんなものか、ちょっとみてみましょう。
目次
馬肉の栄養は高たんぱく、低脂肪、低カロリー
馬肉はキメがやや粗く、比較的かためな肉といえます。
肉の色は暗褐色でグリコーゲンを多く含み、やや甘みがあるといわれます。
馬肉は高たんぱく質、低脂肪、低カロリーの食品です。
脂肪には不飽和脂肪酸のα(アルファ)-リノレン酸が多く含まれています。
アミノ酸は約20種類あります。
カルシウムなどのミネラルもビタミン類もまんべんなく含まれているといわれます。栄養のバランスがよい肉といえます。
馬刺しが生で食べられるワケ

きれいにサシ(脂肪)が入った馬刺し。
馬刺しを食べる習慣は全国各地にみられますが、熊本県、長野県、山梨県などが特に知られています。
特に熊本県では郷土料理にもなっています。
生で食べられる理由として二つが考えられます。
- 牛や豚に比べて体温が5~6℃高いため、寄生虫や病原菌が繁殖しにくい
- 遺伝子の違いから他の家畜より感染するウイルスが少ない
ところで、魚の刺身は鮮度が命です。それに対して、肉は熟成させて食べ頃にならなければおいしくないといわれます。
では、馬刺しはどうなっているのだろうと思い、熊本の専門店で聞いてみました。
「馬刺し用は熟成はさせていない、新鮮な馬肉を48時間冷凍させることに決まったので、冷凍保存が済んでいるものを使っている」とのことでした。
さらに調べてみると馬肉には「サルコシスティス・フェアリー」という馬・犬共通の寄生虫がいるということです。
人に寄生することはないそうですが、原因不明の謎の食中毒として多発した時期もあったようです。
摂取した場合は食後数時間で、下痢、嘔吐、腹痛が現れますが軽症で終わるようです。
対策はマイナス20℃(中心温度)で48時間以上冷凍処理すると、食中毒を防ぐことができます。(東京都福祉保健局:食品衛生の窓 より)とあります。
今では食肉加工場で冷凍したものを出荷するようです。
食べ方は おろしにんにく、おろし生姜を薬味に、ちょっと甘みがある刺身醤油でいただきます。
熟成させていないからでしょうか、まったくクセがない肉でした。
馬肉の部位は

馬肉の部位 熊本市観光ガイドより

左-たてがみ 右-赤身
馬肉にも部位ごとの特徴があります。
おどろくのが「コウネ」と呼ばれるたてがみが生えている部分。お品書きに「たてがみ」と書いてあると、何を食べさせるのだろうと思ってしまいます。
筋肉がないので赤くなく脂肪とゼラチンの白い部分です。
馬は古代に渡来し食用にしていた
馬は縄文時代から弥生時代にかけて渡来したとみられています。
馬や牛は労働力として使われていましたが、最後は食用として、重要なたんぱく源となっていました。
その後、675年に天武天皇による肉食禁止令により1200年もの間、動物の肉が遠ざかってしまいました。
ま、「薬喰い-くすりぐい-」として「ももんじ屋」さんがなかなか繁盛したとか・・・
明治時代になり肉を食べることが新時代のシンボルになっていきました。
なお、国や民族によってはタブー食とされています。
国産の馬肉の流通量はごくわずかで、生の肉はほとんどが専門店に卸されています。
馬刺しや味噌味のすき焼き(桜なべ)が一般的です。
【まとめ】馬肉の栄養は高たんぱく、低脂肪、低カロリー
馬肉の脂肪は体によいといわれる不飽和脂肪酸が多く、筋肉も多いため、高たんぱく質、低脂肪、低カロリーの栄養的にバランスのとれた畜肉です。
全国的に流通しているものではありませんが、国内に馬肉を食べる食文化があることをご紹介しました。
お読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
- 小学館:新版食材図典
- NHK出版:からだのための食材大全
- ポプラ社:食べものの大常識
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
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