バナナはいつでも売っている身近な果物です。
価格も長い間ほとんどかわっていませんね。
バナナは手軽な朝ご飯やおやつとしたり、スイーツの立役者として、また、トライアスロンなどのハードなスポーツを支える補給食として、いろいろな活躍を見せてくれます。
こんなにいろいろな場面で登場するのも、バナナの栄養がからだにも心にも効くからでしょう。
バナナについてみていきましょう。
目次
バナナの栄養

皮をむくだけで食べられ、持ち運びにも便利なバナナはとても重宝な食べものです。
生のバナナの皮をむいた可食部100g中の特徴ある栄養価は以下の通りです。
- たんぱく質は 1.1g
- 脂質 0.2g
- 炭水化物 22.5g うち食物繊維は1.1g
- カリウム 360mg
- ビタミンB6 0.38mg
- 葉酸 26マイクロ㌘
- ビタミンC 16mg
バナナの効果

第28回宮古島100kmワイドマラソンより
ねっとりとした甘みは
- 単糖類のブドウ糖や果糖
- ブドウ糖と果糖が結合した二糖類のショ糖
これらの糖類が甘みの元になっています。
単糖類や二糖類は単純な構造なので吸収されやすく、すぐエネルギーに変わります。
また、バナナはでんぷん質も多く含む食品です。でんぷん質はゆっくりと吸収されるため腹持ちがよくなります。
上の写真は100kmマラソンの補給ブースです。私の中で、ウルトラマラソンやトライアスロンの補給といえば「バナナ」と「オレンジ」の印象があります。お腹にもたれないバナナとビタミンC補給のためのオレンジは食べるのも、準備するのも手軽で高い効果が望めるすばらしい組み合わせだと思います。
ブドウ糖や果糖が2~20個組み合わさったオリゴ糖は分解されずに大腸まで届き、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養になり、便秘の予防、免疫力があがって大腸がんの予防などの効果が期待できます。
食物繊維中のペクチンは水溶性の食物繊維。お腹の中でゲル状になって移動しコレステロールを吸着する働きがあります。また、腸内細菌のえさになって、腸内環境を整えます。
バナナに含まれるたんぱく質中のトリプトファンは必須アミノ酸です。精神を安定させて不眠やうつを防ぐといわれています。
カリウムは高血圧の予防に働きます
ビタミンB6はたんぱく質の代謝を高めます。
ビタミンCは抗ストレス効果があります。
葉酸は造血に働きます。
手軽に食べられて、たくさんの効果が期待できるバナナはありがたいです。
バナナの産地

バナナは熱帯地方でもっとも広く栽培されています。主にインド、ブラジル、フィリピン、エクアドルです。
バナナには生食用と料理用のバナナがあります。
料理用のバナナはかたく、イモ類に似ているそうです。ほとんどがでんぷん質なので熱を加えないと消化吸収できないバナナです。
日本で一般に流通しているバナナは生食用バナナです。主にフィリピン、エクアドル、台湾で栽培されたものが輸入されています。
フィリピンで日本向けに作っているバナナはカーベンディッシュと呼ばれる品種で適温で後熟させると美しい黄色になります。
台湾産のバナナの品種は北蕉(ほくしょう)といい、主として日本向けに輸出されます。果肉は緻密で黄土色がかって色が濃く、味も濃厚で根強いファンがいます。
バナナの食べ頃

ホットスポットが出た食べ頃のバナナ
青みが残るきれいな黄色だったバナナも追熟が進むと甘みが増してきます。バナナ特有の香りも強くなってきます。
その頃になると皮に茶色い斑点が出てきます。これが「シュガースポット」です。
シュガースポットは食べ頃のサインです。おいしいときにいただきましょう。
バナナを食べる
手軽が身上のバナナは「そのままでもおいしい」のが基本ですが、熟したものをむいてラップに包んで冷凍するとクールデザートになります。
切ったものにヨーグルトをかけてもおいしいですね。
他にもいろいろあります。
楽しく食べる

チョコレートを溶かしてフルーツにつけて食べるチョコフォンジュは女子の歓迎メニューではないでしょうか。
数人でワイワイといただくシチュエーションを考えただけで楽しい気持ちになります。
酸味がないバナナはチョコレートと合いますね。
おしゃれに食べる

そのままでも十分軽食になっていますが、薄く焼いたガレットやクレープで包んだり、パンケーキにのせたりと、切ってのせるだけでおしゃれな食べものになりますね。粉砂糖を振りかけるとさらにムードが高まります。
熟しきったバナナは「バナナケーキ」として潰したり切ったりして、パウンドケーキやマドレーヌに加えてもおいしいです。
和風甘味に添える

「クリームあんみつ」に数種類のフルーツをのせたものも華やかです。
きれいに切られたバナナが入ると酸味と甘味の橋渡しをしてくれます。
冷蔵庫に入れると黒くなる
バナナを冷蔵庫に入れると皮が黒くなってしまいます。冷蔵することでバナナの酵素が細胞を分解するので皮が変色するそうです。
もちろん食べるのに差し支えはありませんが、皮が切れてむきにくく、食べにくくなります。
保存法
保存に適した温度は13℃です。
まだ未熟でかたいバナナは常温に、程よく熟してシュガースポットが出たバナナは皮をむいて1本ずつラップで包んで、冷蔵庫の野菜室に置きましょう。
そうそう、すぐに食べないときは、割り箸でさしてラップで包み、冷凍すると「バナナキャンディー」になり、子供に安心して食べさせられます。
フェアトレードのバナナと通常のバナナ
バナナは価格が長期間にわたって安定しているありがたい食べものです。
安価なので助かっていますが、遠いところから運んでくる輸送費もあることですし、生産に携わる方々の収入はどうなっているのでしょうか。
通常のバナナ
通常の経路で生産されるバナナの価格のうちで、農場で労働に携わる方々に渡る分はほとんど無いに等しいと知り、ショックを受けます。
生産者と消費者の間のしくみが細分化されているためプランテーションから食卓まで数週間かかります。
安い価格のバナナのうち、プランテーションの所有者への支払い、輸送費、関税、熟成加工業者、小売り業者がそれぞれ取り分をとると残りはいくらもない上、大勢の労働者で分けるので、貧しさからぬけられないとなります。
フェアトレードのバナナ
通常のバナナに対してフェアトレードのバナナは一部を地元に還元し、フェアトレードの認証団体は若干の手数料を取り、かなりの割合が農家と労働者に支払われるとのことです。
小売業者への支払いも多くなるので、フェアトレードの農産物を扱う励みにもなります。
通常のバナナより価格は高くなりますが本来のものの値段としては真っ当な価格なのでしょう。
今まで、バナナを買うときにバナナの向こうの生産者に思いを寄せたことがありませんでした。
公正に取引された食品を広める推進力になるのは消費者の選択にかかっていますね。
まずは知ることが大事なことだと思います。
【まとめ】
むくだけで食べられるバナナの炭水化物はエネルギーに変わりやすい糖類、ゆっくり吸収され腹持ちがよいでんぷん質があり、スポーツ中のエネルギー補給に最適です。
気持ちを安定させ、リラックスをまねくなど心にもよい栄養素が含まれています。
食べ方も多彩で、むくだけでもおいしいのですが、一手間加えて、楽しくも、おしゃれにも演出できます。
頼もしいバナナは価格も手ごろでありがたいのですが、通常のバナナの生産者は低い収入に甘んじています。まずは知ることが大事だと思います。
お読みいただきありがとうございました。
〈参考〉
- 小学館:新版食材図典
- NHK出版:からだのための食材大全
- 家の光協会:和の薬膳食材手帳
- 創元社:ひと目でわかる食べ物のしくみとはたらき図鑑
☆管理栄養士 すずまり が書きました。
コメントを残す