「アンコウの七つ道具」鍋を彩る珍味の紹介

 

アンコウ鍋は「鍋の王者」といわれるほど、通好みのあじわいです。

また、「東のアンコウ西のフグ」と呼ばれる冬の代表的な味覚です。

アンコウは食べられないところがなく、調理の後は「くちびるだけ残る」ともいわれます。

いろいろな部位を「アンコウの七つ道具」と呼んで珍重(ちんちょう)しています。

なんでわざわざ「七つ道具」と呼ぶのでしょうね。

アンコウについてのあれこれをみてみましょう。

 

 

アンコウの七つ道具は・・・

アンコウの七つ道具

水戸市 居酒屋八丁Webページより

アンコウ・・・

姿もユニークですが名前もなかなかです。

しかも食用の部位を「七つ道具」と呼ぶのもなかなか変っていますね。

七つ道具は

①肝臓・・・キモ・アンキモと呼ばれます。アンコウはキモを楽しむ魚として、身肉よりも珍重されます。

なんと、アンコウの体重の1/3を占めるそうです。「海のフォアグラ」とも呼ばれ、しかも、フォアグラのように太らせたものではなく、天然の状態で大きくなったものです。

身をさばくときには何はともあれ、キモを先に取り分けます。キモをとられたアンコウは卸値が急下降するとか。

②身・・・身肉です。「だい身」「柳身(やなぎみ)」とも呼びます。白くてプリプリしています。フグのようにから揚げにしてもおいしいです。

柳身は頬の肉が柳の葉に似ているところからついた名です。そこから身肉そのものも柳身とされます。

③えら・・・コラーゲンが豊富で鍋やブイヤベースなどのようなスープにしてもおいしくいただけます。

④尾びれ・・・「とも」といわれます。漁船の後ろを「トモ」と呼ぶところからついたようです。

⑤卵巣・・・別名は「ぬの」。産卵を控えた3月頃になると卵で満たされます。アンコウ鍋に入れるとさらに栄養価がよくなります。

⑥胃袋・・・「水袋」ともいわれます。牛や豚の胃のような弾力があります。

⑦皮・・・アンコウの皮は食感が「通」に好まれています。鍋にも合いますが、ボイルして酢みそで和えてもさっぱりとおいしくいただけます。

となります。

くちびるの他にも腸・目・骨が残ります。

腸と目は食べられないわけではなく、あえて食べない部位とされます。

アンコウの栄養

あんこう

グロテスクな見た目です

アンキモの栄養

アンキモはアンコウの肝を蒸したものです。

フォアグラと並ぶ珍味とされています。

ビタミンA、B12、D、E、セレンなどが豊富に含まれています。

アンコウの選びかた

アンコウの季節になると家庭用に食べやすく切ったものがスーパーに並びます。

新鮮でおいしい切り身のアンコウは以下の点に注意して購入しましょう。

  • 身にツヤがあり白っぽいピンクをしていてにごりがない
  • 見るからにプリプリしていて弾力とハリが感じられる

キモを使った料理

アンコウのキモはとろけるような舌触り味わいがあります。

また、北陸以北で捕れたアンコウのキモはさらに味が濃厚といわれます。

鍋だけではなく「アンコウのとも酢」と「アンコウのとも和え」も知られるようになりました。

漁師さんはキモに一手間かけて珍味として楽しんでいます。

とも酢

フライパンにキモを入れ弱火でから煎りしてほぐします。

すり鉢に入れて味噌、酢、砂糖を加えてすり混ぜる。

一口大に切った皮と身肉をゆで、粗熱(あらねつ)が取れたらそのまま冷蔵庫でひやし煮こごりを作る

煮こごりを「とも酢」でいただきます。

とも和え

キモはフライパンでから煎りしてほぐし、野菜類とアンコウの身肉を合わせていただきます。

他にも「ポン酢和え」のほか、寿司ネタとしても人気です。

アンコウのつるし切り

アンコウつるし切り

大洗観光協会公式Webページより

上の写真は「アンコウのつるし切り」を大勢のギャラリーの前で披露しているところです。

寒い時期においしくなるので、みなさんしっかり着込んでいますが、その前で全身を白衣で包んでさっそうとした包丁さばき・・・カッコいいですね。

10kgを超えるアンコウは身体が柔らかくその上ヌメヌメとしていてまな板の上ではさばきにくいところから考え出されたものです。

大きな鉤(かぎ)に口を引っかけて、エラとヒレを外してから口のまわりから切れ込みを入れて、皮をはがしていきます。

我が家でも小さなアンコウを買って、部屋に物干し竿を渡してアンコウをつるして切ってみたことがあります。

プロの魚屋さんのように包丁が切れないせいで、ほとんど切れませんでした。結局、テーブルの上でまな板で切りました。

「見るとやるでは大違い」を実感した思い出の一コマになっています。

切り身を購入して、気軽に家庭でアンコウ鍋を楽しみたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

☆管理栄養士 すずまり が書きました。

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ABOUTこの記事をかいた人

管理栄養士のすずまりです。 食べものの文化的な側面など「おとなの食育」の観点から書いています。